股関節に乗る
素早い動きについて解説します。
重心
重心というのは物体の重さの中心だと考えてください。
そして、それは物体のただ一点にのみ存在していると仮定されます。
簡単に重心の性質を解説します。
物体は重心で力を受けた時は真っ直ぐ進む(並進)運動を行いますが、重心を外れて当たった場合、回転運動をします。
この時の回転は重心を軸として行われます。
簡単な例え話をします。

バットの黒い点が重心です。
この重心にボールが当たった場合、ボールは勢いよく飛んでいきます。
既述のように、ボールが重心を直撃した場合、ボールがバットを回そうとする力は小さいので、グリップを持つ手へ加わる衝撃はほとんどありません。
なので打者は簡単に飛ばせたような感じがするはずです。
しかし重心をズレるとボールの衝撃は重心を軸としたバットの回転力に変換されます。
その回転力は重心から遠いほどグリップエンドを強く回そうとする力になるので、グリップを持つ腕に強い衝撃が加えられることになります。
手は痺れるのにあまり飛ばないといった感じです。
力を加える場所が重心に近いほど強い力でボールを飛ばせます。
直感的に理解できると思います。
ボクシングでも「前重心」「後ろ重心」のように「重心」という言葉は頻繁に登場しますが、ざっとこんな性質があるんです。
そしてこの重心は変形しない硬い物体においては位置は常に一定で、変化しません。
身体重心
重心は当然身体にもあります。
物体が割れたり、曲がったりしなければ重心は変化しないと述べましたが、逆に身体のように変形する物体はその質量の変化に応じて重心が移動します。

人体の重心は右の人のような直立時には骨盤付近にあります。
左の人のように腕と腿を持ち上げた場合、身体重心は動きます。
この場合、質量の移動した方向、つまりは前と上に重心が移動します。
股関節屈曲など、質量が前へ大きく移動した場合などは身体重心は体の外に出ていくこともあります。
先ほど「重心に力を当てると云々」という話をしたので、「物体の外に出るってどうゆうことだよ」と混乱するかもしれませんが、そんなものだと思ってください。
まとめると、
重心は質量の中心にある
無重力など他に力が加わらない場合、かつ変形しない硬い物体である場合、物体は重心に力を受けるとまっすぐ進みむ
重心を外れた場合、力を加えた位置が重心から遠いほど強い力で重心を軸として回転する
重心は物体の外にあることもある
です。
補足
「当てられない重心てなんだよ」という方のために簡単に補足します。
以下は読み飛ばしても問題ありません。
「物体の中心である重心が外へ出る」と聞くと奇妙に感じるかもしれませんが、重心はあくまでも人間が勝手に存在していると仮定した概念です。
「意識」、「エネルギー」、「力」、みたいなものです。数百年前はこの世界には存在していませんでした。
空気中の原子が鼓膜にぶつかった時の感覚を「音」と定義しているのと一緒です。
人間の五感を通して世界を理解しようとした場合、厳密さを排除した方が理解しやすいので、あると仮定されています。
「そもそも存在していないものが外に出るってどうゆうことやねん」
と混乱してしまうかもしれませんが、あくまでも人間がこの世界を理解しやすくするために開発した「道具」だと思ってください。
エネルギーや力、意識のように実在はしない概念です。

コメント
長濱さん
お世話になっております。先日は詳細なご回答いただきありがとうございました。またお礼のお返事遅くなり大変申し訳ございません。
先日の質問の件については私の方でも現在考察中ですので、長濱さんの続きの解説にてまた議論させていただきたく。
閑話休題、本題目の股関節に乗るについて質問です。結論から申し上げると理想的な接地においてはやはり踵は上がるのではないかということです。蹴る瞬間の踵が上がる1フレーム分スピードが上がるからというのが根拠です。
拇子球立ちと踵接地はボクシングに限らず陸上や他のスポーツでも頻繁に議題に上がる話と思います。この折衷案がおそらく陸上短距離で言われるフラット接地(踵をつけている感覚で踵を浮かす)というものかと考えています。
イメージとしては以下の動画のものを想定しています。
①: https://m.youtube.com/watch?v=UEyqevrRUbg
②: https://m.youtube.com/watch?v=TVoftQj-32Y
また長くなり大変恐縮です。以上についてお時間ある際にご意見いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
素早い動きではつま先で接地の衝撃を吸収するのが自然だと思います。
アキレス腱や土踏まずのアーチ構造も衝撃を吸収するような構造をしています。
走行やロマのようなスタイルの連続したステップでは自然と踵は上がるはずですし、デービスのようなボクシングだとどっしりと構えるべきです。
動画(長いので一つ目は途中まで)にある勝ちポジションや浮き身、母指球荷重という考え方はつま先で重心を作っていくような方法で、日本人的な発想なのかな?と感じました。
しかし、常に踵を浮かせた姿勢を継続していくと体が浮き上がるようなパンチになると経験上感じています。
陸上短距離の選手がやや前側(脛骨の真下で荷重だと思います)で接地し、相撲やウェイトリフティングなどは股関節を屈曲し踵側に乗せています。
運動のスタイルに合わせて変えていくべきだとは思います。
が、つま先ではなく脛骨の下、足全体ではやや踵側かつ、やや外側ではないかと思います。
前回の質問の答えについてはまだ続きがありますが、現在指導中の選手の悩みの解決を優先させていただいています。
今回のような議論はとても面白いですね。
このブログで掲示板のようなものを作ってみようかと考えましたが、どうでしょうか。