【芸術】マイキー・ガルシアの切れ味抜群なボクシング【作品】

選手分析
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ロマは例えるなら精密機械、訓練されたボクシング。デービスを例えるなら猛獣、野生のボクシング。
マイキーは例えるなら芸術です。一つ一つの技術が鋭利に研がれています。

GGG研究の次は大好きなマイキー研究でもしようかな。

マイキーの凄さをまとめていきます。

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殴り合いに没頭

一流選手が試合中に集中していないなんてことはないので当たり前のことなんですけどね。

マイキーは殴り合いに没頭します。
何かに没頭することで起動する強力な「自動システム」が潜在能力を引き出します。
そのために必要なもの、一つは「睨み」です。

僕はクドゥラ戦の後から目がおかしくなって相手をはっきりと見ることができなくなりましたので、その強力さを知っています。

相手の動きへの反応が鈍くなくなりました。

当時は何故か反応が落ちているとは感じていましたが、睨みが原因だとは思っていませんでした。
でも今、指導者として平仲ジムでボクシングを教えるようになって確信を持つことができました。

最も外界からの情報を収集する臓器だからこそ、脳が強く反応します。

瞬きをせず相手を睨むことで人間の潜在能力が解放されます。

マイキーの眼光は現役でも屈指。

GGGと同じ種類の集中を感じます。

これは練習で鍛えられる能力です。

バッグ打ちで目をつぶると実戦でも自分のパンチにビビッて目をつぶることになります。

マイキーは攻撃中に目をつぶりません。

パンチを打ちながら相手を睨みつけてください。

打てるものなら打ってみろ、痛い目に合わせてやるのジェスチャーでもあります。

鉄壁ディフェンス

次に技術を見ていきます。
マイキーのディフェンスは鉄のようにみっちりと敷き詰められてタイトに締まった、まさに鉄壁のディフェンスです。

基本姿勢。

奥脚と背中の作るラインが「く」身体全体のシルエットが「K」になっています。

股関節(ケツ)にのった姿勢です。

カネロやカシメロ、左のクロフォードと比べると、シルエットは弱いですが、ケツに乗って股関節の奥行きを保った姿勢になっています。

強調するとこんな姿勢ですね。

カネロ、サウスポーのクロフォードは特にケツに乗り込んでいます。

距離感

マイキーはかなり距離感がいい。
第一ラウンドのカネロ並みの感覚を持っていると思います。
カネロは1ラウンドに情報を集めたら距離を詰めていくのでマイキーほど距離感の良さを感じることはありませんけどね。

マイキーは相手のパンチがぎりぎり殺せる位置取りをしているので、相手のパンチを本当にハエでも払うかのように叩き落とします。
また、絶妙な距離にいることで相手は踏み込んでいくのにストレスを感じるはずで、それが心理的なディフェンスになってます。

奥で捌く

マイキーは、というか現代型の一流選手はほとんどそうですが、奥で捌きます。

この絶妙な位置取り。
ケツに乗って股関節の奥行きを作り出したポジション。

届きそうで、でも届かなさそうな。

行ける気はするんだけど、不安を覚える位置。

この距離でハンズディフェンスによって相手の攻撃を防ぎます。

絶妙な距離を保って射程に入った相手を打ち落とします。

これ、紙一重の首振りで躱してますからね。
どんな集中力してんだよほんとに。

上の最小限のディフェンスで攻撃を無力化した後すかさずカウンター。

超一流以外はこのカウンターで撃墜されます。

ホントマイキーはエコ。

超鋭利な攻撃

手数は少ない

マイキーは手数は少ないんですよね。
切れ味と精度でこれをカバーしています。

「手数!手数!」ってボクシングでは言われますけど、マイキーが相手より手数のでる試合なんてないです。
それなのに激戦区を4階級制覇しています。
もちろん手数は大切なんですよ。GGGなんて相手の3倍は手が出ます。
でも、バカの一つ覚えじゃ墓穴を掘ることになる。

マイキーは手数を出して相手を混乱に陥れるような戦略ではないので手数は必要ない。

必要最低限の手札を切るだけでいい。
このタイプも嫌ですよ。

淀みない振り子リズム

マイキーって左と右の足を踏みかえてリズムを作ります。
カネロも似たように前後のリズムを作るんですがは割と大きくゆったりしています。
マイキーのそれは小さく速いです。

カネロのメトロノームは「カチン、カチン、カチン、カチカチカチカチ」って攻撃の瞬間にリズムが速くなります。

マイキーのメトロノームは「カチカチカチカチカチンカチカチカチカチカチン」って感じで微妙にリズムが変わります。

一流選手には共通していますが、リズムが淀みなく止まることがありません。
力が抜けているからです。
力が入るとどうしてもリズムに一瞬の間が空いてしまって、それが相手へのテレフォンになります。

マイキーの左手首見てみると分かりますがリラックスさせています。
口をだらしなく開けたり、首とか手首をぐりぐりやるのって力み防止に繋がりますよ。
テクニックとして覚えておくといいかもしれません。

踏み込み

マイキーの踏み込みは瞬間移動です。

踏み込みは滑るような体重移動で、まるで瞬間移動です。
エンジンを唸らせた速さではなく、無駄を徹底的に省いた水が流れるような自然な速さ。
相手の驚き方から察するに、マジでテレポーテーションしてます。

マイキーの特徴的なジャブについての考えを述べていきます。

マイキーはジャブで身体が開き、その動作で右半身に強いタメを作っています。

地面を押す時間が長いとこんな風に自然に体は開きます。
上半身の慣性と股関節筋群の収縮方向、大腿骨頭の向きが強調した動きだと思います。

ハムケツ推進力を利用した全身の連鎖収縮による効率的なエネルギー交換が起こる自然な動作はこうなると考えています。

GGGも似たように体が開いて上半身にタメを作ります。

このタメが次のパンチのエネルギーです。

この姿勢はかなり特徴が表れていますよね。
右に強いタメが作られています。

ピョンと跳ねるようなものではなくスライドするような踏み込みだと自然とこうなると思います。

投球のように奥脚で地面を強く長く踏んだ場合、慣性力に腕が引っ張られる(SSC)ので自然と上半身が開いてタメが作られます。

左の微妙な変化

後マイキーは左の位置を変えてジャブの角度を変えています。
内山高志さん、メイウェザーとかもこの技術を使いますね。

おでこに付けて振り下ろしたり、顎に付けて伸ばしたり。

淀みない股関節ふみふみリズムと体重移動でこれをやられると見えないでしょうね。

世界最高の左フック

左フックが特徴的な選手は最近だとライアン・ガルシア、カネロが思い浮かびますが、僕にとって最高の左フックはマイキーです。

ジャブとほぼ同じ出所、モーションから放たれる左フックなので、左フックの初動がジャブのフェイントになっています。
フックは外側から叩くパンチなので、普通は初動で腕が外側に開いてしまい相手に読まれてしまうんですが、マイキーの打法は普通の選手とは違っていて、ほとんど外側に腕が外に広がることはなく、楕円形に近い起動で顔面へ飛んでいきます。

初動がジャブと同じって誰もが欲しい魔法のパンチだと思います。
面白いように相手が騙されます。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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