ドネアの眼光とロマのジェスチャー

選手分析

ボクシングの根底はコミュニケーションだと僕は考えています。
ポイントを取り合うゲームではありません。
相手の心を支配するゲームです。
これを理解していないと失敗します。

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ボクシングはコミュニケーション

ドネアの眼光

ドネアに限らず一流選手には当たり前に見られて、いわゆる普通の選手には見られない特徴があります。
それは凝視です。

一流選手はパンチが交錯する場面で瞬きしません。
当たった時に反射的に目をつぶりますが、次の瞬間には相手を見据えています。

弱い選手、普通な選手はパンチを打ちながら、ディフェンスをしながら頻繁に瞬きをします。

この傾向はほかのスポーツ、恐らく野球やサッカー、バスケットボール、テニスなどでもいえると思います。
緊張する瞬間はストレスで瞬きが増えます。しかし、それは集中していない証拠でもあります。
瞬きをしない。これは最も競技力に直結した「技術」ではないかと思います。

鋭く相手を睨みつけることで精神面を強化する情動反応を引き起こすことができますし、同時にコミュニケーションを円滑に進めることができます。

またそれだけでなく、瞬きをしないことで集中力が高まります。
体が勝手に動くようになります
一流選手との最大の違いは僕は集中力だと最近感じています。
ディフェンス、カウンター、パンチの精度。
一流選手は脳の能力を最大限引き出す方法を知っているに違いありません。

ロマのジェスチャー

「ロマがコミーをコーナーへ送り返す態度は今まで見た中で最低のディスリスペクトだ」
とつぶやいています。
この行為のスポーツマンとしての是非はここでは一旦無視する必要があります。

なぜなら、これは一流ボクサーの心理戦とも取れるからです。
ロマはコミーに主従関係を叩き込んでいるんです。
降参するのが身のためだと、態度で示しているんです。
同時にジャッジや観客に対する意思表示でもあります。
「このリングのボスは俺だ」と。

ボクシングはパンチの交換によるコミュニケーションです。
相手を完全否定し自分を完全肯定する行為。
僕はこれはボクシングに限らないとも考えています。

本当にぶっ倒れるKOはほとんどありません。
ほとんどはどちらかが勝負を諦めて決着します。
一流選手同士の戦いがKO決着になりにくいのは技術力が高く、致命打をもらいにくいという面もありますが、どちらもコミュニケーション能力が高いことも強く関係していると考えています。
絶対に折れない。だから判定決着になる。

競技者で競技力が伸び悩んでいると感じる方は「ボクシングはスポーツ」という視点を「ボクシングはコミュニケーションである」と変えてみることをお勧めします。
新たな発見があるはずです。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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