下の記事の補足。
どうして左図のように胸が閉じるようしてにパンチをねじ込むこと大切なのかって話が分かりにくい気がしたので。
両肩甲骨の外転
この回転力を生む筋肉の協調とその背後の文脈には何んとなくの仮説があります。その辺の詳しい話は別の機会に譲ります。
この胸を閉じて腕が捻られる連動は、走りや跳躍、ラケットやクラブ、バットのスイングといった腕を振る動作では常に重要な働きをします。要するにほぼすべてのスポーツですね。トップアスリートはこの連動によって力を生み出していると僕は予想しています。
逆に運動が苦手な人には構造的に逆の回転力が発生します。
力が体の内側へ集められるのがアスリートで外側へ広がるのが普通の日本人。
その辺は追々やっていくとして、両肩甲骨外転が何故重要なのかです。
「ドサドサ歩き」の記事でも解説していますが、僕の観察では黒人や身体能力のポテンシャルの高い人はドサドサ歩きます。
頭を左右に振って股関節ラインに質量を乗せて骨格に体重を乗せたがります。
股関節に体重を預けられるようになるとこの感性は理解できます。背中の力が抜けて楽になるから。普段どれだけ力んでいるか分かってきます。
恐らく左のクロフォードのように骨格で体を支える感性を持っていないことが腰痛や肩こりに繋がっているのではないかと。
ドサドサできないのは、背を高く見せようと背筋を伸ばしたり、まっすぐ伸びた背骨がキレイだと勘違いしたり。人種的な原因だったり。複雑に絡み合ていると思います。
他にも膝下だけを動かす着物を着ていた時代の価値観や床へ座る日本的な文化の影響もあるんじゃないかと思います。沖縄は観光客や米軍人をはじめ土地柄外国人を頻繁に見ますが、日本人は足が外側へ広がって歪んでいるように感じます。同じアジア系と比較しても。なので文化的な影響かと。
閑話休題。左図の瞬間の骨盤は左(クロフォードから見て)の大腿骨にぶら下がっています。
左脚に支えられる形で骨盤は自由落下。
運動では骨盤を水平回転ではなく、落下の勢いを利用した斜め回転です。床を強く踏めるから。当然この歩行動作の延長線上にパンチの動作はあります。
股関節に全身が乗り込んで左の脇腹が潰れているのが分かりますね。骨盤は左の股関節にぶら下がって左足が床を強く踏みます。
やや右側へ骨盤は倒れて、左脚にぶら下がる形に。
GGGもデービスもタイソンもみんなそうです。
床を強く踏み、大きな床反力を利用するためです。
姿勢反射の回転方向
両肩甲骨が外転するのは左脚で床を強く踏むためです。
腕が強く前へ投げられるとその勢いで体も振られますよね。何もしないとバランスを崩して転んでしまうので、防衛本能による反射で自動制御が働きバランスが保たれます。
黒は重心、黄色の矢印は骨格を伝う床反力。
ガード腕の肩甲骨もパンチ腕と一緒に外転させ、上半身の重さを前方へ移動させた勢いを床に反発させています。
GGGと逆の連動が起こる長岡です。
紫と白色のグローブが映っていることから、ガード腕が後ろ側(オレンジ矢印)へ投げられる形になっているのが分かります。
この連動が起こるのはガード腕の肩甲骨が内転(背骨側へ移動)しているからではないかと考えます。
△が肩甲骨の動きですね。
背中を縮めてパンチを打つのが弱いパンチ、背中を広げて打つのが強いパンチの動作です。
皆さんはどちらですか?
大半の方は長岡と同じように胸が開くパンチになると思います。
パンチ腕の運動量を相殺するためにの、ガード腕の肩甲骨を内転(胸を開く)させる反射が起こっています。GGGとは逆に後ろ側、背中から股関節に乗ろうとするわけです。パンチする時の姿勢反射の方向が違うってこと。結果的にガード腕は外側へ振られます。
これは後述しますが、姿勢が影響しています。みぞおちを潰して胸椎を後湾させられないから。
GGGのガード腕の動きについては下の動画を参照ください。
みぞおちが潰れる骨格立ちができると肩甲骨が体の側面へ押し出されるように外転します。元の質量の配置が前側なので、パンチを打った時の姿勢反射は前側へ質量を集めようとします。
視覚的にはGGGのように胸を閉じるような形になります。ガード腕を前へ巻き込んで、床反力を増大させ、パンチ腕の運動量を相殺するためです。
みぞおちが潰せない場合は胸椎の後湾が起こらないので元の配置が背中側です。その場合は肩甲骨の内転で胸を開くような形で姿勢反射が起こります。
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