テオとサリドのロマ封じ

戦略
戦略選手分析

以下の記事でサイド選手がロマチェンコ選手との中間距離での受け返しをしない被弾上等の攻撃が精密機械を狂わせた、ロペス選手はフィジカルとショートジャブ、カウンターを生かしてロマチェンコ選手の中間距離でのフェイントやリズムを潰したとお話しました。

今回は二つの試合の共通点を抽出してみます。

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リズムを作らせない

ロマチェンコ選手の得意な間合いは中間距離で、その距離での速いリズムでボディーフェイントやダブルジャブを使って揺さぶりをかけてきます。
この駆け引きが強く、また引き出しが多いのでこれに付き合うとどんどんパニックに陥ります。
慌ててロマチェンコ選手を遠ざけようとリードハンドを伸ばすと、そこに尋常でなく速いカウンターを飛ばしてきます。

そのカウンターを嫌がってその場で足を止めてしまうとコンビネーションに繋げていきます。

起点となる中間距離での攻防に付き合わされるとどんどん駒を落とされていってギブアップせざるをえなくなります。

サリド選手もロペス選手もロマチェンコ選手が得意としている中間距離でのリズムを封じていたと思います。

サリド選手はやや泥臭いやり方で、ロペス選手はスマートな方法で。

ロマは被弾を嫌う

まず特徴として、ロマチェンコ選手は被弾をかなり嫌います。
それゆえにあのディフェンスの能力なんですが、被弾を厭わない精神も時にとても大切です。

被弾を厭わないボクサーは僕が知っている限りでパッと思いつく選手だとGGG、ナバレッテ、ネリ、比嘉大吾、ノニト・ドネア、アンディー・ルイス、パッキャオですかね。
メキシカンスタイルのボクサーに多いですね。

余談になりますが打たせずに打つを是とする現代ボクシングでは大きなリスクを許容する性質は割とニッチな部類で、それもあって番狂わせとか起すイメージがあります。

サリド

サリド選手は被弾覚悟、相打ちのタイミングでパンチを出していきました。
そうなると被弾を嫌がるロマチェンコ選手は下がらざるを得ません。

パンチを打つ場合、どうしても足が止まってしまうからです。
ロマチェンコ選手がパンチを出したタイミングでせーので一緒に打ってくるので、どうしても被弾を嫌がるロマチェンコ選手が下がって組み立てざるを得なくなります。

サリド選手の得意なスタイルとロマチェンコ選手のスタイルが上手くかみ合ってしまった結果、ロマチェンコ選手はペースを握れなくなってしまったのだと考えています。

ロペス

ロペス選手はパンチ力と瞬間的なスピードは大きくロマチェンコ選手を上回っていました。
スピードとパワーを薄めて持続させるロマチェンコ選手と違って一瞬で爆発させるような戦方なので局面だけ切り取ると圧倒できるんですよね。

ロペス選手はそのアドバンテージを生かして常にロマチェンコ選手に緊張感を与え続けました。
この試合のロマチェンコ選手の動きはかなり固く、中間距離でのリズムにも緊張があるのを感じました。

ロペス選手のジャブです。

ロペス選手はこの時後ろの股関節に乗っています。
つまり、右のハムケツに力が溜まった姿勢です。

左ジャブを伸ばしていますが、体重移動は起こさずに右股関節に乗ったポジションを保っているのでいつでも右が打てます。

この姿勢には常に右の雰囲気が漂います。

現役だとカネロ・アルバレス選手やカシメロ選手がとても分かりやすいと思います。
特にカシメロ選手は顕著で、この姿勢のまま踏み込んで右を強振します。

また、このポジションは頭部を相手から遠ざけられるという利点もあります。

ディフェンスと右の強打を担保した姿勢で断続的にジャブを伸ばし、脅しをかけながら前進することで、ロマチェンコ選手が得意の中間距離に留まることを許さず攻防の起点となるリズムを潰していきます。

ジャブの場面です。

後ろの股関節に体重を残したままです。

ジャブで体重移動をほとんど起こさないので、後ろに体重を乗せたそのまま高速でき切り返せます。

前後や左右の体重移動から姿勢を立て直す時間がいらないので一瞬です。

カウンターまでを前提としたジャブです。

相手のジャブの戻りに合わせて距離を潰していくロマチェンコ選手に対しては有効な技術の組み合わせだと考えられます。

被弾を嫌うロマチェンコ選手は後半、被弾を覚悟するまでに時間を要しました。

覚悟を決めてからは互角でしたね。

共通点のもう一つはボディーブローです。

ボディーブロー

サリド選手もロペス選手もボディーブローを多用していました。
ロペス選手はサリド選手の戦いを見てボディーブローを取り入れたのだと思います。

ロマチェンコ選手はガードも高く、フットワークやヘッドムーブメントが抜群で本当にディフェンスが上手いんです。
現役でもトップクラスのディフェンスだと思います。

顔面でパンチを受けることはほとんどありません。
負けた試合でも傷はなく綺麗なままです。

ロマチェンコ選手の顔面を派手に弾くイメージは全く湧きません。
ポイントを奪うならボディーブローだと思います。

ロマチェンコ選手もサリド選手もボディーブローを上手く使ってポイントを奪っていきました。

まとめ

ジャブ&カウンター、爆発力でプレッシャーをかけたり、被弾覚悟戦法でロマの攻撃ルーティンの起点を潰した。

ポイントを奪うためにはボディーブローが必要。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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