オルランド・サリド vs. ワシル・ロマチェンコ 何故、精密機械は狂った?

選手分析
選手分析

この試合はサリド選手が約1kg体重が超過で王座を剥奪されています。

勿論色んな意見がある試合だと思います。
「体重オーバーして試合で勝ったと言えるか~?」とか「ローブロー打ちすぎ」とかですね。

試合見た感じだと結構サリド選手反則打もありました。

とは言え、それを言ってしまうとこの試合の話ができないので、そこは触れずに両者の戦い方について分析していこうと思います。

最初に言ってしまいますが、体重が重かったサリド選手が有利であったことは間違いありません。

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分析

1ラウンドはロマチェンコ選手がやや優勢ですが、2ラウンドからサリド選手が得意なラフな戦略を実行してきました。
ロマチェンコ選手はラフなサリド選手の体当たり攻撃にかなり手を焼きましたね。
これは体重がサリド選手が重いことも影響しているのかな?とも思いました。

サリド選手の戦い方については下にまとめてあります。

ロマチェンコ選手はディフェンスがかなりいいので、サリド選手のパンチを受けるってことはほとんどないんですが、サリド選手のラフな戦術の対応に追われてなかなか攻めることができませんでした。
結果的にいつものように手が出ないままズルズルポイントを失ってしまった形ですね。
ロマチェンコ選手のフットワークやクリンチがジャッジや観客の目に消極的な戦術に映ったという側面もあると思います。
僕の目にもそう映りました。

後半戦の7ラウンドはサリド選手が休んだのでロマチェンコ選手の左が何発か刺さりました。
ここからペース変わりそうな雰囲気もあったんですけどねー。

サリド選手は休んだ後はまた攻め始めます。
ロマチェンコ選手はペースを握れません。
サリド選手が疲れてきてもラフな戦術になかなか対応できず、そのままズルズルといってしまいました。

サリドのロマチェンコ潰し

細かいやり取りはしない

リズムが速く、フットワークとハンドスピードに優れたロマチェンコ選手は差し合いと駆け引きがかなり強いので、これに付き合うとなかなかペースを握れません。

サリド選手は差し合いはしません。
かなり低い姿勢で頭から突っ込み、フックを振りながら一緒に体当たりして距離を潰しました。
歩くように腕を振り回すので、ちょっと不格好なんですが、効果的でしたね。
ガードに当たろうが空振りしようが、とにかく前へ歩いて体当たりでロマチェンコ選手の足を止めます。
これでロマチェンコ選手が強い差し合いを封じました。

パンチを受けようがお構いなし。

これも大事ですね。
ロマチェンコ選手のリードハンドのカウンターを嫌がると、それに阻まれてしまってなかなかペースを握れません。
だけどサリド選手は軽いパンチなら気にせずで突っ込んでいきました。
簡単そうにやってますが普通はこんな戦い方できません。
動きが止まってしまったり、怯んで仕切り直しになってしまいます。

そうやってロマチェンコ選手の足を止めたらフックを連打。
ベルトラインより下もバンバン打っていました。

近距離でロマチェンコ選手は乱戦に巻き込まれるのを嫌いクリンチとフットワークで捌きますが、その分攻撃の時間を作れませんでした。

サリド選手はかなり低い姿勢から突っ込んでボディー狙いを徹底。

この低さで突っ込まれるとパンチは打てません。

頭から突っ込む

この場面もロマチェンコ選手はサリド選手の頭に注意が向いています。

ボディーを狙われているので余計にディフェンスの資源が分散します。

ギリギリサリド選手のパンチは外れましたが、危険なパンチでした。

ロマチェンコ選手はボディーを守っています。

カシメロ選手の記事でも書きましましたが、頭から突っ込むと相当なパンチへの注意が削がれて対応が遅れてしまうんです。

ラフだからといって過小評価できない戦術です。

打ち終わりは頭こんな感じになり、ロマチェンコ選手は得意なコンビネーションを打てません。

サリド選手はこの体勢からボディーだろうが腿だろうがお構いなしで連打。

ローブローも沢山打っていました。

とは言え簡単にできることではありませんよ。
ロマチェンコ選手の速いパンチを受けるのを嫌がらずのしのしと進まなきゃならんからです。

『肉を切らせて骨を切る』

総括

アマチュアのトップ選手がプロになって苦戦するタイプってサリド選手だと思います。
いや、アマチュアのトップとか関係ありませんね。
サリド選手みたいなタイプは誰だって苦戦させると思います。

敗因を色々考えてみましたが、一つはロマチェンコ選手のストッピングパワー不足にもあると思います。

もし一発で効かせるパンチがあれば、サリド選手もあんなに強引ではいられなかったと思うし、もし強引になったらなったで倒せます。

ロマチェンコ選手の戦略は軽いパンチだからこそ成立すると考えていますが、やっぱり一発のパワーも用意しておかないと相性次第ではこんな結果もあり得えますもんね。

※二度目ですがサリド選手は体重をオーバーしています。
体当たりはかなり強かったのできっと重かったと思います。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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