【なぜロマは】ワシル・ロマチェンコ vs. テオフィモ・ロペス【躊躇った?】

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大人気ロマチェンコ選手の試合です。
僕はロマチェンコ選手の勝ちを予想していました。

しかし結果はロペス選手の勝利。
判定については色々言われていますがロペス選手の勝ちで良かったと思います。

ロマチェンコ選手のパターンを簡単におさらいします。

この試合を一言でまとめると「百戦錬磨のロマチェンコにとってもロペスのスピードとパワーは誤算だった」です。

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ロマチェンコのパターン

このブログでは散々ロマチェンコ選手の解説をしていますが、少しだけ復習をします。
ロマチェンコ選手が得意な形を詳細を無視して解説します。

リズム

まずは速いリズムです。
横に頭を動かしたり前後ステップしたりと絶えず動いています。
この速いリズムがロマチェンコ選手の生命線です。
速いリズムに合わせてパンチを外してフェイントをかけてと攻防の要となっています。

フェイント&カウンター

速いリズムで絶えず動いて相手を攪乱しながら、隙を作り出します。

具体的にはダブルジャブやフェイントを多用します。
それに釣られて相手が出てきたところだったり、慌てて打ったジャブを外してその戻りの合わせて踏み込んでいって距離を詰めます。
この時は軽いですが、ジャブや左ストレートのカウンターを当てるので相手は一瞬動きが止まります。その瞬間に距離を詰める感じですね。

序盤は後述するロペス選手のジャブでこの得意の形を防がれていたと思います。

コンビネーション

カウンターを当てて相手の動きを止めると一気に踏み込んで横に回り込んだり、その場で速いコンビネーションを放ちます。

もしもロマチェンコ選手のカウンターで足を止められてしまうとコンビネーションまでがセットになります。
一息で打ち込む速いリズムのコンビネーションなので、足を止めて防ぐのは困難だと考えられます。
一度ロマチェンコ選手に懐に入りこまれてると張り付くように近い距離をキープできるフットワークがあるので、しつこく追いかけてきます。
なので最初の一発目をフットワークで外さないと守勢に回らされる苦しい展開になります。

ロマチェンコの誤算

スピード&パワー&ディフェンス

ロペス選手のスピードとパワーは半端じゃありませんでした。
スピードが売りのロマチェンコ選手をスピードで上回っていたと感じました。
そしてパワーもすごかった。
ガードの上からでも消耗しそうパンチでガシガシロマチェンコ選手を削りました。
アマチュア何百戦、オリンピック連覇のロマチェンコ選手と言えど、ロペス選手のパンチには怯んでしまったってことですからね。
『ロマチェンコデータベースにすら存在しないスピードとパワー』。
ホントやばい奴ですロペス選手。
スピードとパワーを警戒していつものボクシングができませんでした。

次にディフェンスですね。

最初は慎重に立ち上げるだろうと思っていましたが、想像以上に慎重な立ち上がりでした。
中谷さんがロペス選手は距離が遠く感じたとヤフーニュースの取材で答えていましたが、同じことをロマチェンコ選手も感じたのだと思います。

ロペス選手はパンチとKOの派手さのイメージで攻撃的な選手だと錯覚してしまいますが、基本的には後ろ足で身体を支える後ろ重心です。
攻める瞬間に一気に前へ重心を動かして距離を詰めていきます。

これは実は体幹の強いトップファイターの共通点の一つです。
臀部を伸張したまま後ろ足に乗れるので、後ろ重心でも強いパンチが打てます。
カネロ・アルバレス選手やデービス選手が好例だと思います。
画像を見てください。
後ろ足で身体を支えると足は近いのに頭部が遠くなります。
向かい合うとロペス選手の距離が遠く感じる要因だと分析しています。

既述のようにロペス選手は股関節を二軸的に使い、後ろ重心の右軸でも強いパンチを打つ技術とフィジカルがあるのでロマチェンコ選手は迂闊に踏み込めなかったんだと考えられます。

2軸ボクシンングについて

ショートジャブ&カウンター

上の画像の場面と同じものです。
重心を後ろに残して頭部を遠ざけたままジャブを放っています。

この時腕は伸びていますがパンチは当たっていません。
相手の顔面は狙わず、鼻先やグローブを狙うジャブです。
僕は重心の移動がほとんどないこんなジャブをショートジャブと呼んでいます。
ロペス選手はこのショートジャブを多用していました。

このジャブの利点は後ろに重心を残しているので相手のパンチに対して安全な距離を稼げること、それから重心の移動が小さいので、上半身を制止する動作が小さくなることです。

ジャブにカウンターを狙われてもすぐさま少し後ろに上半身を引いてディフェンスできます。

加えてロペス選手は後ろ重心で強いパンチを打てるフィジカルと技術があります。
これによりカウンターを打ちながら距離を詰めるロマチェンコ選手の得意なパターンを潰せます。

またこのジャブの利点はそれだけではありません。
ロペス選手はこのジャブでタイミングを計って、続けて右を打ち込んでコンビネーションに繋げることもあります。
つまりロマチェンコ選手は常にロペス選手の右に備えなければなりません。

またジャブを放ち続けることでロマチェンコ選手がリズムを作ろうとするのを妨害できます。
ロマチェンコ選手は得意なリズムの立ち上げを尽く潰されるのでジャブの度にやり直さざるを得なくなり、思うようにいつものリズムが作れず手が出なかったのだと思います。
ボクシングでは攻撃のリズムはかなり大切です。
これがないと攻められませんし、守りの質も落ちます。
海外では試合のセコンドが「リズム!リズム!」と絶叫するのをよく聞きます。
当てることが目的ではなくロマチェンコ選手の攻撃のリズムを崩し、またロペス選手が踏み込んで右を打ち込むタイミングを計るためのジャブです。

ロペス選手はジャブでロマチェンコ選手が快適なリズムを作らせず、また常にジャブを放って右を狙っている雰囲気を感じてロマチェンコ選手は下がらざるを得なかったと考えます。

ロマチェンコ選手が下がらされた理由をまとめると。
ロペス選手のジャブ&カウンターにロマチェンコ選手は攻撃を躊躇い続け、ロペス選手の前進を阻めなかった。

またロペス選手のジャブには常に右が続く気配があり、加えてあのスピードとパワーなので下がらざるをえず、得意なリズムを作る心と時間の余裕を失ってしまったと考えます。

フットワーク

もう一つの僕の考える勝利の鍵はフットワークです。

既述の通りロマチェンコの攻撃で足を止めてしまうとパンチをまとめられたり、サイドに動かれたりして不利な態勢を作らされます。

ロペス選手はロマチェンコ選手が踏み込んできた瞬間にカウンターを打って、ミスをしてもすかさずステップバックすることでロマチェンコ選手に追撃を許しませんでした。

これはかなり速くてロマチェンコ選手は追いかけられませんでした。
多分強引になら行けたと思いますが、カウンターの抑止が利いていて躊躇している間に逃げられてしまったんだと思います。

ボディーブロー

頭部の守りの固いロマチェンコ選手選手に対してボディーブローを用意していました。
ボディーブローは直撃はしませんでしたがガードの上から出も効きそうなパンチに加えて、左右のフックや右のストレートにジャブとかなり多彩に狙っていました。

肉体的なダメージは分かりませんが、精神的にはロマチェンコ選手はかなり痛めつけられていると感じました。

このパンチがポイントを奪ったパンチだと思います。

まとめ

体格差パワーとスピードを生かしたプレッシャー。
ショートジャブにカウンター。
そしてボディーブロー。

ロペス選手は元々後ろ重心ですし、ショートジャブを多用するカウンターパンチャーです。
今回はいつもの倍以上ボディーブローを放ちましたが、基本的にはロペス選手のナチュラルなボクシングがハマったように感じた試合でした。

勝敗に関しては納得です。
僕の採点では僅差でロペス選手でした。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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