限界費用
定義
微分の形式。
限界費用
$\displaystyle {\frac {d\ T\!C}{dx}}={\frac {d\ C(x)}{dx}}=C'(x)$
総費用$TC$を生産量$x$で微分したもの。
ある数量から後1個製造するのに必要な費用を導ける。
平均費用と比較するとその差が分かりやすい。
一般的に生産物1つ当たりの固定費は生産量が増加すると低下する。
生産量を増やせば固定費を分担する製品数が増えるから。
大量生産すれば一つ当たりの製造費は安くなる。また、大量に仕入れれば仕入れ先が値引きもしてくれる。収穫が逓増する。
平均値を用いた場合はこの性質が反映されない。だから予測を誤る。
また、ある段階から物理的に増加速度か
費用>利益
になる。仕入れ先の割引にも限界がある。
規模の経済(Economies of Scale)とは、生産規模や事業規模を拡大することで、1単位当たりの製造・仕入れコストが低下し、競争力が向上する効果。
収穫逓増
労働や資本などの投入量を増やすと、それ以上の割合で生産量(収益)が増える現象。収穫逓減
通常、農業や伝統的な製造業では、特定の要素(土地や機械)を固定したまま投入量(労働力・肥料)を増やしても、一定水準を超えると追加的な収穫は減少します。AI
例
単純化すると、作物の収穫量は作付面積に比例する。肥料は作物の代謝能力や土が許す限りなら撒くだけ成長を促進する。
しかし、作物の密度を上げすぎると互いに成長を阻害し合う。肥料もある段階から効果が無くなるか負の作用をもたらす。
ある段階から増加率が
費用>利益
になる。
後述するように、平均値ではこの性質に対応できない。
設備を限界まで稼働させれば一日当たり後一つ多く作れると仮定。
この場合は5年計画なら
1×365×5×利益
の機械費用が生まれる。
他にも例えば
取引先「後一つ200円で追加できる?」
と言われた場合。
平均費用を100円とするとやるべきだが、仮に既に機械を限界まで稼働させていたなら、余分に一つ製造したことが故障確率を跳ね上げてしまう可能性がある。
限界以上に設備を稼働させてしまい、修理に1万円かかる機械トラブルの発生確率が5%高まると仮定なら
修理費用:1万円×0.05+0×0.95=500円
100+500=600
600-200=-400
断るべき。
設備の稼働時間を労働時間に置き換えたりもできる。
長時間労働を許容することが労働者の怪我や精神疾患、離職確率を高めてしまい、その保障や補充の費用の増加が売り上げの増加速度を上回るならやらない方が良い。
平均値で考えるなら、その分の賃金が発生するだけ。判断を誤る。
限界費用=ある瞬間の費用の変化率
を考えるのが大切な理由がなんとなく理解できる。
ヒトの線形の認知(平均値)が判断を誤らせるのはイェンセン不等式と似た構造。
平均費用を用いると、費用の増大、及び機会費用の垂れ流しに気が付けない蓋然性がある。
例題
固定費:10
生産量:x
$\dfrac{10}{x}$
$\dfrac{10}{x+h}+\dfrac{10}{x}×\dfrac{1}{h}$(微分)
$\dfrac{x-(x+h)}{(x+h)x}・\dfrac{1}{h}$(乗法逆元)
$\dfrac{-h}{x^{2}+xh}・\dfrac{1}{h}$(乗法と加法逆元)
$-\dfrac{1}{x^{2}+xh}$(乗法逆元)
$-\dfrac{1}{x^{2}}$(極限)
変化率(傾き)がマイナス。
つまり、生産量を増やすほど費用は低下する構造。
$x=1$ : 速度は $-10$
次の1単位でコストが一気に10下がる。
$x=10$ : 速度は $-0.1$
次の1単位でコストはわずか0.1しか下がらない。
$x=100$ : 速度は $-0.001$
費用の減少(変化)率はほとんど変化しなくなる。
要するに大量に作るほど原価は安くなるが、その速度は生産量の増加に伴い鈍化していく。
限界費用(微分)の考え方は、平均費用では捉えきれないコストの構造を明らかにして、際々の攻めを許す。
別の製品を考える。
総費用$:TC$
限界費用$:MC$
$TC = q^2 + 10q + 50$
$MC = \frac{d}{dq}(q^2 + 10q + 50) $
$= 2q + 10$
$MC:q=10⇒30$
$MC:q=20⇒50$
$MC:q=30⇒70$
上から1個当たり
3→2.5→2.333…
生産する程に費用が増す。
期待費用(Expect Cost)とは、不確実な事象において発生する可能性のあるコストに、それぞれの確率を掛け合わせて合計した平均的な見積もり費用です。
AI
まとめ
農業なら肥料を撒くほど収穫高は上がるが、ある量からは作物や土はそれを吸収できずに費用だけが増加する。
撒いた肥料(費用)と生産量(利益)をグラフなどで常に監視さていれば、ある段階から効果の物理的な限界に達して費用だけが垂れ流されるのが見える。
あるいは、本当はもっと作付面積(利益)を無駄にしてしまうのを見過ごす。
限界費用(微分)の考え方を用いれば、厳密に無駄を削減し、この畑は後どの程度作物を生産できるか?の答えを導ける。
費用関数を適切に定義できた場合、限界費用を算出することで費用、及び機会費用が跳ね上がるリスクを回避できる。
また、限界費用は雰囲気ではなく、費用の構造を教えてくれる。
イェンセン不等式はヒトの線形の認知が「分布の形状」という、重要な変数を消去してしまうことを教えてくれましたが、微分と限界費用の概念も同様に、僕らが「平均」で押しつぶしてしまう重要な構造を教えてくれます。



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