ロングフックと戦略性
打ち方はさんざん説明しているで割愛します。一言で言うと、脇腹(大腰筋)を収縮させて上腕三頭筋を主体に、前へ拳を投げます。
上腕二頭筋が主体になると巻き込むようなパンチとなり、前へ拳を投げられず、側頭部(≒三半規管)や目を狙えません。
僕の指導経験によれば、大半がフックの主体を上腕二頭筋だと思っています。それがフックの苦手意識を生み出し、大きな機会損失を生み出しています。
技術論はこの辺にして。
今日はロングフックの戦略性の話。
冒頭の動画では、ジャブと同じような距離でフックを打っているのが分かると思います。
ジャブの距離でフックを打たれると相手は対応を迷います。迷いは動きを止めさせます。
相手がそうしてくれる間で、あなたは相手を観察し自らの手札を眺められます。駆け引きを試す時間的精神的余裕が生まれます。
「ジャブをフェイントにしてフック?」「フックをフェイントにジャブ?」「フックをフェイントにストレート?」などとなど。相手の裏をかく方法を無意識が直感し、提示してくれます(フロー)。
ロングフックが打てるとボクシングの「チェスゲーム」や運動における自動制御、自動思考「フロー」を理解しやすくなると僕は考えています。
上のフックは前の脇腹を収縮させてフックを打っています。距離を稼いだり、コンボに織り交ぜたりして使うことが多いパンチです。
下のフックはコンボとしての利用頻度も高いですが、相手を引きつけてのカウンターとして使うことが多いパンチです。
強度の高い実戦では結果的にカウンターとなることが多いと思います。
技術的な要点は脇腹の収縮と三頭筋の収縮で拳を前へ飛ばすこと。
ロングフックとオープンマインド
パラエストラ天満では、あえて様々な形のフックを練習しています。
冒頭で紹介した打ち方だけがフックなのだ、と参加者が「バカの法則」にハマらないような練習の構造にしています。
何があなたに適しているのかは、試してみて初めて分かります。前者の打ち方がストレスなく効果が高いかもしれません。むしろ後者がそうかもしれない。いやむしろ、二つを織り交ぜる器用さこそが、あなたに与えられた他者に勝る武器かもしれない。
頭で決めつけていたら分からないことです。
「〜とはこうだ」
と決めつけて、自らが持つ可能性に対して心を閉ざすことは、論理的にあなたの技術と精神を脆弱にする不毛な行為です。
例えば、あなたが「これは自分自身ではない」と感じること。それにあえてチャレンジすることも可能性を引き寄せる重要な要素です。
食わず嫌いせず、流れに身を任せてみること。神(運命)から与えられた仕事に対しては前向きに向き合うこと。神は意味があってそうしています。そして、その仕事は時に、あなたが知らなかった、あなたの真に強力な姿と出会わせてくれるはずです。
ファイトはしたくない。アウトボクシングは嫌い。スイッチヒッターになるつもりはない。ストレートが大切だから。トレーナーに言われているから。社会がそうだと言っているから。
ヒトの認識を劣化させるガラクタです。
仮に、試してみてそれが肌に合わないと感じるのなら、それはそう。
それが認識できればフラフラすることはなくなります。その経験は次の判断を起こす足場となり、行動を迅速化し、資本の浪費を回避させます。
神(運命)に逆らわず、自分でも知らない自分を探してみることが、人生の点と点を接続します。
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