【フラット?】奥足の踵は上げる?【フォアフット?】

運動理論
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奥足のつま先を上げる。
僕はこれをずっと勘違いしていました。
最近は踵を上げるのは間違っているんじゃいかと考えています。
僕の間違いとその理由を共有しておきます。

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長濱陸の誤解

一体なぜ僕は間違っていたのか。
それは『母指球で立て』という考えか方が当たり前となっていて、疑いを持っていなかったからです。
一種の信仰です。それも悪い方の。

ちょっと前に野木トレーナーに踵で地面を押せと言われました。
それでハっとしたんですが、僕は盲目的に踵を上げていたような気がしたんです。

で、少しじっくりどっちがいいのか、母指球荷重と踵荷重。
『フォアフット』と『フラット』。
考えてみたんです。

結論として、踵荷重が正しいのではないのかと考えるようになりました。

人間は両足にはそれぞれ役割があります。
歩く時は支持脚(軸脚)と遊脚(前へでる脚)の役割が異なります。
ボクシングでも同じようにパンチを打つ時の蹴り脚と軸脚で役割が異なります。

別の記事で軸足の母指球荷重については扱っていますので、パンチを支える時の軸足の荷重の考え方は下の記事を参照してください。
今回は「地面を押す時の母指球荷重」について考えていきます。

拇指球荷重は前腿のブレーキを強める

当たり前のことですが、確認しておきます。

つま先を上げるとそれと連動して膝も曲がります。
それに伴って大腿四頭筋が緊張してしまいます。
踵で立った時とつま先で立った時に前腿とふくらはぎの緊張を比べてみてください。
つま先で立つ方が緊張するはずです。

この画像のように膝を曲げずに前腿を伸ばして拇指球に荷重すると当然ながら余計に力みます。

こんな不自然な姿勢をしている人がいるのは思えませんが、一応。

つまり、踵を上げるとどうしても脚が緊張します。

脚の緊張は全身の緊張へ繋がります。
仮にどんなに脱力していると感じられていても、です。

前腿が緊張するとどうなるか。
僕の理論を読んで共感、理解していただいた方ならすぐに理解できると思います。
ブレーキが強まるんです。
簡単に復習します。

左図の大腿四頭筋を見てください。
膝を曲げると寛骨と膝蓋靭帯に付着した大腿四頭筋が伸張されて活性化されます。

ボクシングの場合はスタンスの幅や姿勢によって大腿四頭筋の膝関節伸展の力の向きは変わるので、一概には断言できませんが、基本的に前腿が活性化されると前へ身体を推進しにくくなります。

つまり踵を上げると前腿が緊張してしまうか、伸張されてブレーキが強まってしまうんです。

逆に骨盤前傾位で脚を伸ばして踵に乗ると大殿筋とハムストリングスが伸張され活性化されます。

筋繊維の長さと筋力の関係

バランスから

上の記事でもお話していますが、「人間の骨格は踵で立つことを前提」としています。
なので、踵に体重を乗せた方がバランスが安定します。
言うまでもないですよね。
つま先で立った姿勢と踵で立った姿勢、押し相撲した場合、どちらが勝つか?を考えればいいんです。
答えは瞭然、踵が勝ちます。

このことからも踵荷重で構え、踵荷重で地面を蹴ることが合理的だと言えるはずです。

踵からつま先へ

もしかすると考えるまでもないことかもしれませんが、踵で立つ前提の元、進化してきた人体は踵で立った場合に最大出力を発揮できる構造をしているんです。

以下の動画を見てください。
スポーツではウェイトリフティングが地面反力を使うノウハウに関しては他の競技を圧倒していると思います。
オリンピック選手の身体能力テストでは瞬発系(垂直飛びなど)はウェイトリフターが上位を占めます。

というわけなので、ウェイトリフターの荷重から筋力発揮までを見ていきます。

どの選手も踵で荷重してバージルを持ち上げ始めます。

踵荷重で股関節屈曲。
臀部と裏腿に力がタメられます。

臀部と裏腿にタメたエネルギーを使って股関節を伸展しています。

そしてバージルを持ち上げた瞬間に踵が上がります。

これから分かることは踵からつま先へ体重が移動しているということです。
ただ注意してほしいのは、つま先が上がるのは股関節の伸展に合わせて自然と上がっているだけで、意識的に上げているのではないということです。
クリーンをやると自然とそうなります。

腓腹筋の筋力発揮から

今度はふくらはぎの筋力発揮の側面から見ていきます。
結論から言うとふくらはぎ(腓腹筋)の力を最大限使うためにも踵荷重が必要だと考えます。

先ほど筋は伸張された状態が力が発揮しやすいとお話しました。
ふくらはぎの腓腹筋は踵が地面に着いた状態が最も伸張されます。
踵が浮いた状態は、力こぶを作るとそれ以上力が入れられないのと同じように、ふくらはぎが収縮して筋力の発揮が難しい状態です。

以下の図のように踵荷重からつま先へ体重を移す過程でふくらはぎは最も伸張されます。
この時ふくらはぎの筋は伸張反射を起こし、アキレス腱にはエネルギーが貯蔵されます。
SSC』により強い力で足首が伸展し、勢いよく身体が推進されます。

人体最大の腱であるアキレス腱の力を最大限発揮する為にも踵は地面に着けた方がいいんです。

競技力とは別の話かもしれない

ただ素早く前後左右にステップしようとすると自然とつま先荷重になります。
ボクシングでは素早いステップは重要になります。

なので、踵荷重と母指球荷重は戦略に適合させる必要があります。

踵荷重の方が大きな力を発揮できますが、母指球荷重の方が細かく動けるかもしれません。
注意が必要なのは母指球荷重は意識しないということです。
自然に立とうとすれば踵荷重(フラット)になるはずです。

母指球荷重で素早い動きを実現することは悪いことではないはずですが、力みの原因となる意識的な母指球荷重は良いことではないと考えます。
つまり「速く動こう」と意識して、自然に母指球荷重になるのは問題ないですが、「母指球荷重で素早く動こう」というのは随意的な運動になり力みに繋がるので良くないということです。

まとめ

運動中は自然と母指球荷重になる場面もあるので、「意識的」に踵に乗る必要はありません。
大切なのは『母指球荷重』『踵荷重』を意識せず自然と動けることです。
母指球荷重であれ、踵荷重であれ、随意的な運動は緊張に繋がり、ふくらはぎだけでなく全身の機能性を低下させます。

常に踵を上げて立つ癖がついてしまっている場合は改善する必要があると考えます。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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