室伏ゴロフキンベテルビエフ その二

技術運動理論
漫湖公園筋トレ部

申し込みリンク

パーソナルトレーニング応募ののリンク

大胸筋による上腕トルクの至適角とリリースポイントが何故ずれるのかを考察し、その結論を基に室伏ベテルビエフゴロフキン打法の合理性を解き、その強さの秘密を暴きます。

最後まで読む過程で運動やボクシングの技術に関する理解が深まるような構成にしようと思います。

室伏打法

前提となる知識から。

スポンサーリンク

ブレーキ効果

並進する物体の端に急ブレーキをかけた場合は並進運動は回転運動に変換されます。

ブレーキにより逃げ場を失った並進の力とブレーキした力が合成されます。

スポーツ指導の現場で曖昧に使用される「キレ」の具体的な説明として最も整合的だと思います。

ところで「ブレーキ効果」は僕の造語です。

偶力(couple of force)とは、平行で同じ大きさ、かつ逆向きの2つの力が、同一直線上にない状態で物体に作用する一対の力のことです

運動量保存則は、物体に外力が働かない(または外力の和がゼロ)場合、物体系全体の運動量の総和(ベクトル和)が衝突や分裂の前後で一定に保たれる物理法則です。

AI

二軸打法は股関節と肩関節のブレーキ効果により運動量を末端へ伝達します。

運動量の単純な定義
$ \boldsymbol{p}=m\boldsymbol {v}$

ウィキペディア

定義式より、運動量$\boldsymbol{P}$を一定とした場合、質量$M$が低下するほど速度\boldsymbol{v}は上がります。

すなわち運動量保存則より
全身(質量大)→体幹(質量中)→腕(質量少)
と、末端へ行くに従い速度が上がります。
ブレーキが甘い場合は運動量が全身に分散するので末端(拳)の速度は上がりません。

井上尚弥の「パンチは引く」の解釈はここから導けます。

キレ⇒静と動の速度差
井上尚弥の動きのキレと彼の破壊力の関係を説明する一つの視点です。

ブレーキ効果⇒波

運動連鎖

運動連鎖は以上の運動量の交換の話であり、鞭が加速する原理です。

関節間で運動量を交換する時は、速度差に伴う伸張性収縮の大きな筋肉のエネルギーも取り出していますから、伝達の過程でエネルギーをロスしないなら、末端へ行くごとに運動量は増加します。すなわちパンチの撃力は増加します。

上は所謂「連動性」の物理的な説明と生理的な説明を接続した説明です。

「連動性は大切」。

こう”言いたがる”指導者山程います。その人たちは「連動性」が何かを知っているでしょうか?単にかっこいい言葉を使いたいだけではないでしょうか?

耳を澄まして彼らの心の声を聞いてください。たった5秒であってもそれに人生を消費している事実を忘れてはいけません。

 

ここからが本題。

リリースポイントと大胸筋トルク至適角のギャップ

その一でリリースポイントと大胸筋による上腕トルクの最大値はズレていると説明しました。

このズレ考察し、皆さんが利用可能なエネルギーを取り出します。

既述の運動連鎖のグラフを思い出してください。
運動量を末端へ伝えるのには時間がかかります。

投球では肘を小さくおりたたみます。それは腕のモーメントアームを小さくし、物理的に腕を軽くする為の工夫です。

$\displaystyle {\boldsymbol {L}}=\sum _{i}m_{i}({\boldsymbol {r}}_{i}\times ({\boldsymbol {\omega }}\times {\boldsymbol {r}}_{i}))=\sum _{i}m_{i}({\boldsymbol {\omega }}r_{i}^{2}-{\boldsymbol {r}}_{i}({\boldsymbol {r}}_{i}\cdot {\boldsymbol {\omega }}))$

ウィキペディア

慣性モーメントは回転のしにくさ。
回転軸からの距離rが伸びると慣性モーメントLは大きくなる。

腕を伸ばしたまま振り回すのには、腕を畳んだままそうするのと比較するとかなり大きなトルクが必要になる。具体的には質量の距離の二乗倍です。

常人にはそのようなトルクは生み出せない。だから腕を畳みます。

腕を畳んで関節間で運動量の交換を行う場合は既述の偶力が必要になります。

また、偶力によりエネルギーを交換するにはブレーキが必要になり、ブレーキはそれを完了するまでの時間を要求します。すなわち、関節が増えるほどブレーキの回数は増え、その分の時間がかかってしまいます。

すなわち腕を畳んだ場合は大胸筋による最大トルクが発生する水平内転角に突入する前に、大胸筋は収縮を止めて上腕の回転を止める必要があります。

慣性モーメントを小さくしようと腕を畳めば畳むはど、それを広げるのに時間がかかります。すなわち、水平内転が最大値トルクに突入する前に回転をやめる必要が生まれます。

おそらくはそれが大胸筋至適角とリリースポイントほギャップ。

一方で室伏やゴロフキン、ベテルビエフのような外れ値個体は違います。

1.上腕と胸郭を繋ぐ肩の腱や筋肉が太い
2.慣性に負けて上腕を振動させないほど太い前鋸筋と小胸筋
3.慣性モーメントにより重くなった腕を振り回す股関節と体幹の筋力

を満たすせん断力に耐えられるならむしろ、彼らのようにモーメントアームを伸ばすことは利用できるエネルギーが大きいことを意味しますから、パンチの破壊力は増します。

伸張性収縮と短縮性収縮の比較
特徴 伸張性収縮(エキセントリック) 短縮性収縮(コンセントリック)
筋肉の長さ 伸びる(引き伸ばされる) 縮む(短くなる)
力の役割 ブレーキ、耐える、下ろす動作 動作、持ち上げる、加速
発揮される力 大きい 比較的小さい
筋負荷・筋肉痛 高い(筋肉痛になりやすい) 低い(筋肉痛になりにくい)

せん断力(Shear force)は、物体(部材)の断面に沿って、両側から互いに逆向きにずらすように作用する平行な力のことです。

AI

室伏広治とゴロフキンとベテルビエフ
ベテルビエフとゴロフキンは腕を殆ど畳まずに放り投げます。室伏広治の投球動作と似ていませんか?その理由を考えます。肩甲骨ロック室伏広治投法「腕を畳む」動作は、"単純化するなら"モーメントアームの回転半径 $r$ を小さくして慣性モーメント $...
スポンサーリンク
Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

股関節おじさんをフォローする
スポンサーリンク
スポンサーリンク
シェアする
股関節おじさんをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました