パンチには様々な流儀がある

技術選手分析

今回は色んなパンチを見ていきます。
パンチの打法一つとっても色んな流儀、思想があることを感じてください。

力いっぱいダイナックに体を使うスイング、コンパクトに力を集約させるスイング。
それぞれに長所と短所があり、見方次第で可能性は無限に広げられます。
抽象化すると骨格立ちして前鋸筋が効く軌道(長濱流ゼロポジション)と動作(長濱式ゲンコツ)で肩甲骨を”投げている”という共通点はありますが、その要点さえ押さえていればあとは好きにやれば良いと思います。色んなスタイルを競った方がボクシングは面白くなってファンが増えますしね。

長濱式はあくまでも「楽に強く速く」が理念ですが、別の理念を元に発展した技術があっても良いと思います。

以下色んな流儀の打法と簡単な解説です。

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色んな流儀

ロシアンスタイル

ゲンナディ・ゴロフキン
42勝(37KO)2敗1分

所謂ロシアンスタイル。
ゴロフキンといえば、というパンチですね。
ダイナミックに全身を動員します。正確にゲンコツで急所を打ち抜けるのはある程度スピードをおさえて狙い撃ちしているからです。

バッグ打ちミット打ちの段階で繊細にコントロールしてると予想します。

アベル・サンチェスの元で練習していた時の映像。一々を丁寧に打ってる印象を受けます。豪快な印象のあるGGGですが、パンチは拳の角度を変えてガードを迂回させたりと神経質な繊細さも感じます。

選手がこの打法を好む場合、僕なら正確さを要求する練習を用意します。ゆったりとで良いのでゲンコツの硬いところでサンドバッグに貼ったシールを狙わせる。ガードを迂回させるパンチを実戦に近いドリルで覚えさせたり。

コスタヤ・ズー
31勝(31KO)2敗

GGGと同じロシアンスタイルですが、GGGよりもコンパクトに加速させるので手打ち感が強い。
このスピードだとある程度のパンチのコントロールは失うので、GGGのようなゲンコツの繊細さの実現は難しそうです。が、相手の反射的なディフェンス、防衛的な力みより先に打ち抜けるからなのか、バコーンと綺麗に倒します。

僕はどちらかといえばGGGよりはこっちが好き。

メキシカンスタイル

フリオ・セザール・チャベス
108勝87KO6敗2分

メキシカンスタイルのスウォーマー。
爆発的なスピードはありませんが、その代わり休みなく打ち続けることで相手をギズアップさせます。
ゆったりと回転させて相手を観察しながら正確にガードを迂回させる、コンボが主体の攻撃になります。

僕がトレーナーで選手がこのスタイルを希望するなら、ミット、サンドバッグ、マスではスピード以上に正確さと角度の多彩さを要求し、それが実現できる練習の構造を考えます。

アルフォンソ・サモラ
33勝(32KO)5敗

チャベスと同じくメキシカンスタイルですが、大きなスイングでダイナミック。カネロとチャベスの間くらいですかね。

脇腹を潰して左右に体を振りながら作り出すパンチの角度に特に特徴があると思います。

GGGも同じように大きなパンチが得意ですが、GGGは遠距離、サモラは中近距離が得意と微妙にスタイルが異なります。

サモラのように中近距離でドカドカ打ちたいなら、大げさにフェイントで相手を脅かして接近してから組み立てた方が持ち味が生きるかと思います。カネロがジャブよりフェイントを起点に攻撃を組み立てるように。

野生のボクシング

ジェラルド・マクラレン
31勝(29KO)2敗

ダイナミックな全身運動のフルスイング。
フルスイングはディフェンスの面で否定されますが、きちんと手打ちできるなら、それだけ破壊力が増しますから抑止力として効果を持ちます。
マクラレンレベルの全身運動をを試合でできる度胸があるなら、むしろそれは長所ですよ。彼のような狂気じみたフルスイングはやりたくてもできませんから。

マイク・タイソン
50勝(44KO)4敗2無効試合

タイソンも全身運動です。
フッフ主体で相手のパンチを潜ってジャンプ。野生の人類の戦いってこうだったんじゃないかと思わせてくれます。
GGGなどのロシアンスタイル、チャベスのメキシカンスタイルからは高度に訓練された技の機能美を感じますが、マクラレンとタイソンからは野性を剥き出しにした生命の躍動感としての美しさを感じます。

何のどこに美しさを感じたのかがあなたの個性で、他の誰もが否定したとしてもあなただけはそれを否定せず、肯定すべきです。
なぜならそれは神から与えられた、他の誰も持っていない、あなただけの審美眼だからで、それを追求することがあなたの生に与えられた役割だからです。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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