二軸打法の力学的な解説をします。
二軸打法
二軸の位相差による並進運動
「二軸」の対照として、一般的な打法を便宜上「一軸」と呼びます。
前回の記事で、二軸の合成による並進運動の近似の話を軽く触れました。
もしかしたらそれだけだと理解できない方がいるかも知れないので補足します。
下がそのイメージ画像です。
AIに説明して作らせようとしましたが、デコレーションしすぎるので自作しました。
物理的な二軸の意味だけを取り出しています。
下の画像を頭の中の仮想空間で動かして、抽出すべきを情報を取り出せるのかを試してみてください。頭の体操です。

二軸の並進1

二軸_並進2

二軸_並進3
答え。
二軸に必要なのは位相差。回転の開始時間のズレ。
パンチの場合なら、股関節が先行して回転し、それを肩関節が追従する構造が必要になります。

小括。
股関節と肩関節の二軸による回転運動は、位相差により並進運動に変換される。
前回の議論に接続すると。
並進運動は拳に入力される運動量のベクトルの向きを一致させ、力積(パンチ力)を大きくする。そして、その為には二軸の位相差が必要になる。
一軸(≒一般的なパンチ論)は、位相差を作り出せません。パンチを並進させられません。物理的にエネルギーの漏出を引き起こし、パンチ力を、すなわちボクサーを弱くします。
一軸のような、ボクサーを物理的、生理的、解剖学的に弱くするだけの価値観、技術観はボクシング村に溢れています。
わざわざ名前を言及はしませんが、世界チャンピオンのトレーナーもこの手の価値観を垂れ流しています。
このように誤った情報を垂れ流す人に権威が与えられてしまう理由を、たまたま天才と出会っただけの人に権威が与えられてしまう理由を考えてみてください。
そのような構造は子孫の未来の為に破壊すべきです。

位相差を作り出すもの
閑話休題。
肩関節と比較すると、股関節は大腿骨→脛骨を通してダイレクトに床から力を受けます。
物理的に床反力はハムケツに先行して到達し、反射的な収縮(骨盤の回転)を開始させます。
また、肩関節の回転が始まる為には、背骨と肩甲骨を介する必要があります。
背骨のたわみによる最初の遅延、次に宙に浮いている肩甲骨による二度目の遅延、が構造的に起こります。
この物理的な遅延は解剖学的、生理的にパンチ力へ寄与しますが、主題ではないので省略します。
物理的な構造が力の伝達の遅延を起こし、股関節と肩関節の位相差を作り出します。
次に神経伝達システムが二軸の位相差を作り出します。
これはパンチが「手打ち」である必要にも繋がります。
進化的に人体は近位から遠位に運動量を伝達するような設計になっています。そうやって運動量を伝達する遺伝子を自然淘汰が選んだから。
鞭が分かりやすいと思います。
鞭は近位から遠位へ、無数の関節のブレーキ効果により運動量を伝達していきます。
例えば、あなたは走る時に一々「アキレス腱の硬さ」「足底筋膜の張力」などを意識しないはずです。
「細かく関節を制御している!」と豪語する人が時々いますが、それは錯覚です。
所謂「スリッピングアウェー」も本能的に制御されています。「間に合わないッ…スリッピングアウェーッ…!」みたいな感覚で僕に反論してきて論破されたアホがいました。そうならないように気をつけてください。
神経システムは、近位から遠位へ、物理的な波を形成するように設計されています。

疲れたので二軸の話は一旦終わります。

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