隠れながらジャブ

技術選手分析

隠れる

ディフェンスを担保するゴロフキンのジャブ

昨日の記事から繋がる話です。

GGGが右脇腹を収縮させて頭を遠ざけながらジャブを放つのが分かりやすい場面をまとめました。
ジャブはほとんどのボクサーが最も多用するパンチなので、最もそのタイミングを掴まれやすい、すなわち最もカウンターされれる確率が高いパンチであると言えると思います。皆さんのプロの試合の観察や実体験とも整合するのではないでしょうか。カウンターするのも、されるのも、高確率でジャブです。

GGGのジャブは以上の前提から導かれた動きだと考えられます。

ボクシングを知らない人の自然な動きとも言えるかも。

いつ爆発するか分からない爆弾を触ること、沸騰する鍋の蓋を開けること、あるいは蜂の巣を触ることを想像してください。危険を遠ざけたいあなたは少しでも顔を遠ざけて腕を伸ばそうとするはずです。
僕はその感情こそがボクシングの根底にあるものだと考えています。

GGGはジャブに合わされるカウンターを何度も躱します。
それができるのは、常に心が本能的な臨戦態勢にあるからで、それは「殴られたくない」という感情に根差していると考えられます。誰でもそうですが。
要するに、自然な感情に任せていると。

始めてのスパーリングか、あるいは無理やり剛速球ノーコン投手の練習相手に駆り出されたか、強豪校のサッカー部のゴールキーパーをやらされたのを思い出すか想像してみてください。自然にGGGのように危険から顔を背けたくなるはずです。

恐らくはGGGのジャブと昨日考察したロマステップの根は同じです。それは「恐がる」「嫌がる」という自然な感情。その感情が安全な動きを導きます。

フォアマンやメイウェザーのディフェンスを思い出してください。どこか子供が玉遊びを恐がる仕草に見えるのは僕だけではないはずです。

彼らは自然体だからこそ迅速に対応でき、パンチをもらわないと解釈することもできます。

以上の推論は、自然な感情に体を任せてしまうことが合理的な技術を引き寄せてくる、と言い換えることもできると思いませんか。もしかしたら、それに全てを任せてしまうことが一流の技術を引き寄せてくるのかもしれないとすら、思えてしまいます(フロー)。

既存の型に囚われないパッキャオ、ハメド、マイダナ、ロイジョーンズ、フォアマン、メイウェザーなどの一流ボクサー。
あるいは岡清やラマヌジャンのような、既存の発想に囚われない問題の認知とその解決を行う一流の数学者。
僕には、彼らから感じられる規則の一致が偶然とは思えません。

ボクシングの基礎基本という虚構、ないしは社会の「こうあるべき」が、ボクサーと日本人のポテンシャルを抑圧しているのでは、との強い疑念を持っています。

ロイ・ジョーンズのスリップカウンター
メイウェザーのプルカウンター
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隠れるパンチと二軸

顔を背けるようにして打つ場合、必然的に肩甲骨平面が相手を向きます。
すなわち拳の加速度を高めます。
GGGのように顔を隠しながらのジャブは攻防の両面において合理的なんです。

普遍的なジャブ観である気がしますが、所謂、顔の前で打たせるジャブは、攻防の両面を弱めます。

正面を向くと顔面の急所が相手に露出するので相手は殴りやすくなりますし、肩甲骨平面内を腕が滑走しないので、パンチ力は弱まります。

ロマチェンコの守備を担保したジャブ
ロナルド・ライトのハードジャブ
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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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