システマチックなボクシングを考える

戦略技術選手分析
カネロの攻防の要「振り子歩き」

カネロのボクシングシステムが分かりやすいようにまとめました。

何度も解説しているので、詳解はしません。

1.左脇腹収縮攻撃ポジション
2.右脇腹収縮防御ポジション

カネロは1と2を入れ替えながら相手に迫ります。1は、頭は相手に近いですが腰が引かれて脚は相手から遠くなっているので、相手の攻撃に素早く対応できます。

このポジションを打たれた瞬間にカウンターしている場面を載せました。

カネロのディフェンスを担保した攻撃ポジションを警戒し、相手は手が出しづらくなります。
カネロは下がる相手を追いかけ、ロープに追い詰めると顔を近づけて相手を覗き込み、攻めてこなければすかさず攻撃。

カネロほどのシステマチックな蟻地獄戦略は見たことはありませんが、彼のと同様のシステムは北米、中南米の選手によく見られます。

ところで、アメリカの黒人と白人はスタイルが異なります。白人はヒスパニック系、あるいは建国の価値観の影響が残されているからか、男らしさを好む印象。
黒人はバカにされてきた歴史の影響なのか、インテリジェンス(知性)を好む印象。

中南米系は特にフェイントを好み、強打とフック系で組み立てます。

ジャブと細かいパンチで組み立て、フットワークを好んでボクシングを組み立てるロシアヨーロッパ圏は、米大陸のボクシングからは異なる心を感じます。

「ボクシング」という大枠は同じですが、真に通る価値観とそれが組み立てる細部が異なるイメージ。

「美しさ」を写実的に描く西洋画、抽象的に描く日本画。主語から線型に意味が組み立てられる英語、主語を省略し、要点となる言葉から放射状に意味が広がる日本語みたいな。

西洋画も日本画も大枠は「美しさ」とい同じ感情を表現しているはずですが、異なる何かを見せられているような気がします。 僕はボクシングも同じように見えます。つまり、国ごとに異なる魂を感じます。

閑話休題。

何が言いたいのかというと、以上のようにシステマチック(体系的)にボクシングを考えると、可能性を広げられる、ということです。

体系的な特徴としては、次のようなものがあります。
・情報や知識、事象などが互いに関連している
・全体として一貫性がある筋道を立てて組み立てる
・矛盾や飛躍がない
カネロのボクシングは、現役では一際理路整然としているように感じます。
攻撃と防御が隙間なく繋がれ、矛盾や飛躍がありません。
僕が得意なだけかもしれないので、他人にもそうすべきだと断言してしまうのは難しく感じますが、物事を一つの秩序だったシステムとして考えられることは重要で常に有益です。
自分のボクシングを一つの秩序として捉えられたら、何をどう変化させれば、自らの理想とする姿が引き寄せられてくるのかを逆算できます。
逆に、それができないなら、行きあたりばったりでよく分からないものが出来上がります。
小学生の頃の絵や工作を思い出してください。幼さ故に物事を体系的な秩序として捉えられず、行き当たりばったりで製作してしまいます。途中から思い描いていたイメージから酷く乖離し、嫌になり投げやりになってしまいます。
物事の完成を見ずに途中で投げ出してしまうのは、すなわち、何故うまくいかないのかを考えられずに癇癪を起こすのは幼児性です。幼児性は常に人の足を引っ張ります。
結論。ボクシングをシステム化せよ。
振り子歩き
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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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