生体内でエネルギーが産生される描写 その四

トレーニング運動理論
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解糖系による無酸素的ATP再合成

生体の運動におけるエネルギーは、主にATPからリン酸基を切り離した時に発生するエネルギーで賄います。

その三まではごく短い時間の瞬発系の運動で動員される「クレアチンリン酸のリン酸基のATPへの転移(ATP再合成)」を見ていきました。

このクレアチンリン酸の分解によるATP再合成は運動開始後の数十秒でクレアチンが枯渇しその限界を迎えます。

その後に活躍するのが解糖系と有酸素系のエネルギー産生メカニズムです。
一般的にトレーニングによる向上を狙う回路の本丸です。

5. 解糖系および有酸素代謝による持続的再合成:

運動が持続する場合、PCrf(クレアチンリン酸)の枯渇に伴い解糖系(グリコーゲン分解)およびミトコンドリアの有酸素性リン酸化(電子伝達系・ATP合成酵素)が本格駆動し、継続的に $\text{ADP}$ から $\text{ATP}$ を再充填します。

その一

グルコースは体や脳のすぐ使えるエネルギー源(単糖類)であり、グリコーゲンは余ったグルコースを動物が体内にためておくための貯蔵用のかたまり(多糖類)です。グルコースがたくさんつながるとグリコーゲンになります。

Gemini

グルコースからリン酸基を切り離してエネルギーを調達します。

1. グルコースのリン酸化と分解:基質の準備とエネルギー投資

筋グリコーゲン(または血中グルコース)が酵素分解され、グルコース-6-リン酸を経てトリオースリン酸へと変換されます(この過程で初期投資として1〜2分子のATPが消費されます)。

2. 基質レベルのリン酸化(★ATPの再合成):酵素反応による高エネルギー基質の生成

代謝中間体(1,3-ビスホスホグリセリン酸やホスホエノールピルビン酸)が持つ高エネルギーリン酸基が、ADPへ直接転移(基質レベルのリン酸化)されます。これにより、グルコース1分子から正味2分子のATP(グリコーゲン起点の場合は3分子のATP)が再合成されます。

3. ピルビン酸から乳酸への還元:NAD+の再生と高強度運動の維持。

酸素供給が追いつかない高負荷運動時、解糖系を持続させるために必要な $\text{NAD}^+$ を確保すべく、ピルビン酸は乳酸脱水素酵素(LDH)によって乳酸へ還元されます。この際、$\text{NADH} + \text{H}^+$ が消費されて $\text{NAD}^+$ が再生され、解糖系が停止するのを防ぎます。

3が難しいので補足します。

少しだけ単純化

暗記しやすいように最後の3を単純化しました。

グルコースの分解

  • $NAD^{+}$はグルコース分解過程から電子を引き抜く

通常のバケツリレー

  • $NAD^{+}$が糖から取り出した高エネルギーな電子$e^{-}$と水素イオン$H^{+}$を受け取ってNADHになり、ミトコンドリアへ運ぶ
  • 本来は燃料であるピルビン酸もミトコンドリアへ入り、クエン酸回路で大量のATP合成

限界突破モード(ミトコンドリアの渋滞)

  • 運動からのエネルギー要請が高い場合、解糖系のスピードが限界突破しミトコンドリアの処理能力を超える
  • 電子を渡せないNADHが細胞質で大渋滞を起こす
  • このままだと空の$NAD^{+}$が底を突き、解糖系がストップする危機的状況

ピルビンさん(酸)の神対応(乳酸への変化)

  • 本来はミトコンドリアで燃やされて大量のATPを合成されるはずだったピルビン酸が、急遽「NADHの渋滞解消(電子の受け皿)」に回る
  • ピルビン酸が電子を引き受けて乳酸に変わることで、$NAD^{+}$が復活
  • おかげで解糖系だけは維持され長く動き続けることができる

NADH「ビルピンさん…」

代表的なトレーニングプロトコル

高強度の解糖系代謝を最大限に働かせつつ、意図的に不完全回復を挟む設定が基本となります。

  • レペティショントレーニング(最大運動)

    • 強度: 全力(100%出力)

    • 運動時間: 30秒〜60秒(例:300m〜400m走、最大ワットバイク等)

    • レスト: 3分〜5分(完全回復させず、過酷な代謝環境を維持)

    • セット数: 3〜5セット

  • ショートレスト・高耐性インターバル

    • 強度: 準最大(90〜95%出力)

    • 運動時間: 40秒

    • レスト: 60秒〜90秒

    • セット数: 4〜6セット

実施時の留意点

  • 神経系・心肺への負荷極大: 運動生理学的に最も肉体的・精神的負荷が高いトレーニング手法です。

  • 期分け(周期化)の必要性: 基礎的な有酸素能力や解糖系の絶対パワー(最大速度など)が低い状態で実施しても効果が薄いため、シーズン前の最終仕上げ段階(試合1〜2ヶ月前)などに限定して導入するのが一般的です。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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