蟻地獄視点のフック

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フックを考える

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ゴロフキンのリングを小さくするフック

「蟻地獄」は、逃れようとするほどに足場が崩れてしまう戦略的な構造を指しています。

分かりやすいのはロマ、GGG、カネロのシステム。

ロマチェンコシステム

上の動画はロマの戦略を単純化、視覚化したものです。一言で言うなら高度な後出しじゃんけん。

後出ししよりはむしろ、手練手管で相手に先出しさせている、が正しいとは思いますが。

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カネロもロマと同様のワンパターンがあるように見えます。

カネロの攻防の要「振り子歩き」

一流が上記の、一見すると対処しやすそうなワンパターンに収斂していくのは、恐らくは一人のボクサーが生物としてボクシングへ投下できる体力、時間に限界があるからだと思います。
その制約下で勝ち続けるには、蟻地獄と同型の戦略以外はあり得ないのでしょう。

哺乳類と魚類が海では準同型になるようなこと。

ボクシングという海で生き残っているスタイルに類似性が見られるのは、海のと同様の圧力にボクサーが晒されているから。

逃げ道を塞ぐ意味のフック

蟻地獄視点でGGGを見れば、フックの意味はパンチの打ち分けという意味には留まりません。

相手の足場を崩す構造になっていると考えられます。

相手がGGGのプレッシャーから逃げようとする程、フックに近づいていかなければならない論理的な構造に見えます。

逃げる⇒横へ動く
フック⇒横から殴られる
という論理的な含意は
逃げる⇒殴られる
と変形できます。
逃げようとするほどにロングフックの軌道は小さく避けにくく、また物理的に強く殴られてしまうわけです。

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逃げようと藻掻くほど強く殴られてしまう、すなわち逃げるほど足場が崩れてしまう論理の蟻地獄になっていると考えられます。

ゴロフキンの側頭部⇄顔面コンボ
ディフェンスを担保するゴロフキンのジャブ

また、GGGのジャブを防ごうとすればロングフックに殴られ、フックを防ごうとすればパワージャブに殴られ、という風に、ロングフックの話でも取り上げましたが、これもまた一つの蟻地獄になっているのが分かります。

だから単純なワンパターンを相手は防げずにバタバタ倒されるのだと考えられます。

ゴロフキンの内外上下コンボ

また、ゲンコツでゴツゴツ当てる技術も敵の守りの資源を限界まで分散させる自己強化になっていると解釈できます。

つまり、
殴られたくないから守りに注力⇒GGGは伸び伸び狙い撃ち⇒相手はさらに守りにくくなる⇒さらに守りに注力⇒伸び伸び狙い撃ち…
自己強化。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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