【手打ち打法】意識的な動作の害 重力と慣性力から【サイレントピリオド】

運動理論

以前の記事の復習と補足をします。
ウェイトトレとスポーツの違いから、人間の運動において重要なのは内部ではなく外部のエネルギーであると解説しました。

重力と慣性力を上手く利用する仕組みが人体には備わっています。それはサイレントピリオドと呼ばれます。
サイレントピリオドと二つの力の関係性について解説する前にその二つの力について解説します。

重力は頻繁に耳にするのでなんとなく理解できると思いますが、慣性力は馴染みのない概念だと思います。しかし運動を理解するうえでは重要な概念です。

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サイレントピリオドによる慣性力と重力の利用

慣性力

物体には慣性と呼ばれる性質があります。
外部から力が働かない限り動いてる物は動き続け、止まっている物は止まり続けるというものです。

等速直線運動をしている物体には力は働いていません。動いているので何かが押し続けているという印象を受けますが、実際には外力は働いておらず慣性という性質により運動を開始した時の「速さ」「向き」という情報が保存されているだけです。
止まっている物体も外部から情報が書き換えられない限り、止まったままの情報を保存し続けようとします。

慣性が理解しやすいようにたとえ話をします。
無重力空間で宙に浮き摩擦力が働かない地球を思い切り踏むのを想像してください。
地球はビクともしません。慣性が働いているからです。
この時、地球を踏みつけた人の力に逆らって地球をその場に止めておいた見かけ上の力が「慣性力」です。
「見かけ上の」というのは実際には質量が大きすぎて人間の生み出せる力では動かすことができないことを意味しており、真の意味で力が働いているわけではないからです。
この動かしにくさはニュートンの運動方程式で記述できます。

{\boldsymbol {F}}={\frac {\mathrm {d} }{\mathrm {d} t}}(m{\boldsymbol {v}})
Wikipedia

$\frac{d}{dt}$は時間で微分したものを表すので、この場合は時間を含んでいる速度の微分を意味します。
速度の微分は加速度を意味するのでこの運動方程式の意味は
$力 = 質量 × 加速度$
となります。
また、この式を変形すると
$\frac{力}{質量} = 加速度$
となります。
同じ量の力で物体を押した場合、質量が大きくなればなるほど加速度を持たせるのが難しくなることを示しています。
人間が地面を踏む程度の力の量では地球の質量に加速度を与えることができないことを意味します。
この方程式に由来した物体の動かしにくさが慣性です。

重力

重力はここでは地球が地球上の物体を引き寄せる力と思ってください。
地球上の物体には常に重力が働き、地面へ落下させようとする力が働いています。
$F = \frac{GMm}{R^2}e_r$

左辺のFは重力で右辺の$e_r$は単位ベクトル、Gは重力定数で$R^2$は半径の二乗、mは地球上の物体の質量でMは地球の質量です。
大気を考慮しない場合、地球の重力下では物体は形や質量に関わらず一定の加速度99.80665 m / s2で毎秒加速していきます。

以上が重力と慣性力の解説です。
ブレーキ効果による加速、サイレントピリオドによる爆発的な運動を説明する際に必要になる知識です。

重力の補足
直観的には重い物体の方が早く落下するような気がしますよね。
しかし実際には同じ高さから落下させた場合、物体は重さに関わらず同じ時間に着地します。
この点に関して不思議に思う方のために補足します。

と言っても、式を見てみると理由は一目両全です。
左辺は書き換えるとmaになります。
$F = ma = – \frac{GMm}{R^2}e_r$
邪魔なmを消すために両辺をmで割ると
$a = – \frac{GM}{R^2}e_r$
地球の質量は当然ですが変化なし、重力定数は文字通り定数、物体と地球の半径は変化しますが、地球の大きさを考えれば誤差の範囲。$e_r$は単位ベクトルなので1と同じ意味だと思ってください。
とすると$\frac{GM}{R^2}e_r$は常に一定とみなせます。

それを踏まえた上で
$a = – \frac{GM}{R^2}e_r$
の式を見ると重力加速度aは常に一定で変化しないことが分かります。
この方程式から分かる通り重力によって生み出される速度は物体の質量に依存しません。
次に慣性から考えてみます。

数学で観た場合の重力加速度の意味は理解できますが、なぜそんなことが起こるのかってことまで知りたくなるのが人情ですよね。

その理由としては式にも表れているような気はしますが慣性、質量の動きにくさが影響しています。
重力は正確には万有引力と呼ばれる、質量を持つ物質全てに備わる性質に由来しています。
質量を持つ物体は引き合います。
実際には地球だけが僕達を引き寄せているのではなく、僕達も地球を引き寄せています。
地球の質量がでかすぎて、僕達が及ぼす程度の引力ではビクともしないだけです。

つまり、速く落ちようとする事実には変わりないんだけど、慣性って性質によって重い分だけ動きにくいってことが言えます。地球が引っ張ろうとする分だけ重いってことですね。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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