母指球荷重は常に悪か

よもやま話
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母指球荷重は良くないとお話してきました。
「力を発揮する」「体を支える」ということに関して母指球荷重は向いていないだろうと僕は考えています。
しかし完全な悪ではありません。

過剰に母指球荷重を否定してしまったような気もしています。
母指球荷重は状況において自然と現れます。
例えば素早く移動しようとする時、足への大きな衝撃を吸収しようとする時は自然と踵が上がると思います。

※僕の言う踵荷重は足全体を意味します。
母指球荷重の問題点を表現するためにあえて踵荷重と呼んでいます。

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自然体で動け!

踵荷重

まず既述のように母指球荷重は自然と現れます。
僕が否定しているのは普通に構えた姿勢で踵を上げたり、または踵が接地していても母指球へ体重を乗せようと意識することです。

以下の記事でもお話したように人体は安定して自立するためにバランスを保持する仕組みがあります。
バランスが崩れると転倒防止の姿勢反射が起こります。
姿勢反射によりバランスの保持に運動に必要な筋力が横取りされた結果、全身の出力の低下を招きます。

僕はこの姿勢反射を抑えて全身の筋力を運動へ動員できることが、非常に重要だと考えています。

骨格立ちによる「姿勢反射」の抑制と脱力による不随意の「サイレントピリオド」。
それをきっかけとした、重力による強力な筋弾性の利用「SSC」と効率的なエネルギーの伝達「運動連鎖」。
それこそが「自然で合理的な運動」であるとすら考えています。
この話の全体像については別の機会に解説してみます。

普通に立つ場合、母指球に荷重するというのは自然ではないんです。
踵を上げるなんてもってのほかです。
「速く走る」「高く跳ぶ」「重い物を持ち上げる」など大きな筋力が必要な動作を想像してください。
ウェイトトレーニングをしたことがあるかたなら高重量の「スクワット」「デッドリフト」を想像してみてください。
踵を上げたままできますか。

できるわけがないんです。

たったこれだけで説明が終わるほど簡単な結論だと思います。
人間の身体は自然な姿勢で力を発揮するように作られているんです。
踵を上げたり母指球に荷重するのが自然なら、そうなるべく淘汰圧がかかるはずで、自然と馬や猫などの四足歩行動物のような母指球荷重になるはずなんです。

二足歩行になった人間は支持面を大きくするために四足歩行動物が上げている足首を地面へ付けました。
こうすることでどうにかバランスを保持できるようになったんです。

その前提の元何百万年もの自然淘汰にさらされ、無駄が削がれてきたんです。

踵に乗せて歩く、立つのが自然なんです。
母指球はあくまでも踵からつま先へ、力の流れる道です。

母指球荷重

じゃあ母指球荷重が全てダメかと言うとそうではありません。
僕が常に言っているのは「膝を使うな」でも「母指球に乗るな」でもありません。
「自然に立て」「自然に動け」です。

自然に立てば最大最強の関節である股関節が自然と使われるはずです。
不自然な姿勢である膝屈曲、母指球荷重を行うと不自然な動作が誘発されます

僕が後楽園ホールやボクシングジムで感じる違和感はこれだと思うんです。
不自然な姿勢による不自然な動作の誘発。

自然に立って強い力を発揮しようと思えば理想的な動きになるはずだと考えています。

人間の学習の根幹はは赤ん坊の頃の学習です。
教えてもないのに自然と立ち、自然と歩け、自然と走れます。
赤ん坊は言語が理解できないからこそ、感覚に従います。
大人の動くイメージを記憶しそのイメージを頭で再現し、それを再現します。

快の感情に従うからこそ、最も楽な姿勢で最も楽な動きを無意識に学習して実践できます。

拇指球荷重が楽なら子供の頃からそうしているはずなんです。

脱線したので話を戻します。
素早く動こうとすると自然に母指球に荷重されます。
それは全く問題ありません。
アキレス腱の弾性を利用しようとする自然な動作です。

まとめ

踵荷重や母指球荷重は良し悪しではありません。
どちらも必要です。

僕が言いたいのは自然に強く速く身体を動かせる姿勢を取るべきだということなんです。

ただし、変な癖がついているなら直した方がいいかもしれません。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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