「顎を上げるな!」は本当に正しいの?

運動理論
運動理論

「顎を上げるな!」とよく言われますね。
でも顎が上がると言えばメイウェザーや井上尚弥選手といった超一流の選手が思い浮かびます。
顎が上がるのは常に悪いことなのか。

史上最高とも評される男は顎が上がります。

メイウェザー選手ほどではありませんが、アルバレス選手も強いパンチを打つ時に顎が上がります。

今回は顎が上がることの良しあしではなく、顎が上がる理由を考えていきます。

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股関節を伸ばすと顎は上がる

何故顎が上がるのか考えていきます。
僕の考えではこれは悪い癖でも何でもなく、むしろ股関節を伸ばすのが上手いからだと考えています。

何故なら、股関節は骨盤を介して背骨と連結しているからです。

これが分かりやすいですね。

股関節を限界まで伸ばすウェイトリフティングでは顎は当然上がります。

股関節が強く伸ばされると、骨盤が前へ動きます。
その力が腰椎から胸椎、頸椎へ伝わっていきます。

しかし、頭部は慣性の法則によりその場に留まろうとするので、必然的に顎が上がってしまうんです。

姿勢反射

あと一つは身体のバランスを崩して怪我をしないために起こる人間の防衛本能があります。

股関節を強く伸ばして骨盤が前へ移動するということは身体重心が前へ移動するということです。
もし、そのまま骨盤につられて頭部が一緒に移動するとバランスを崩して転倒してしまいますよね。
それを防ぐためには首を反らせて頭部の質量を後ろに移動させることでバランスを保つ必要があります。
そして、この姿勢制御は僕達の身体では自動的に行われているんです。

姿勢反射とか平衡反射と呼ばれ、人間の本能です。
以下の図のように骨盤の前後動と逆に頭部は動きます。
そうやって身体のバランスを保っているんです。

これが自動的に行われるのは以下の記事でもお話したように、人間の最優先事項は転倒防止だからです。

骨格の配置によってバランスをとることで姿勢反射による反応を最小限に抑制し、最大限の筋力を運動へ動員する。
「骨格立ち」へと繋がる僕の運動理論の根幹でもあります。

制御してはいけない

以下の記事でもお話しました。
無理に顎を引くとどうなるのか。

アメリカの少年で史上最速のイングラム君は股関節が強く、骨盤が前へ強く動くのでその代償として顎が上がります。
人類最速のウサイン・ボルト選手もそうです。
顎が上がります。

人類史上最速の男はみぞおちが突き出し顎が突き出します

イングラム君も極端に顎を上げた姿勢です。

こんな姿勢になるのは股関節が強いために骨盤が強く押し出されるからだと考えています。
つまり、股関節と直結した骨盤に全身が押されるので、見た目としては骨盤が何かに引っ張られるような姿勢になってしまいます。

もし無理やり顎を引かせるとどうなるのか。
姿勢反射により保たれていたバランスが崩壊します。

頭部が引かれるのはそれが最も効率がいいからです。
最もいい方法を奪うとなると、他の非効率な方法で身体のバランスを保持しなければならないので姿勢の保持に必要とされる筋力が大きくなります。

無意識レベルで大きな筋力がバランスの保持に動員されてしまうんです。

パンチを打つ時は仕方がない

じゃあずっと顎を上げていいのかというとそうではありません。
股関節が伸びるのはパンチを打つ時です。
なので、股関節を強く伸ばすパンチを打つ時は仕方ないかなーと僕は考えています。

パンチが強いことは相手の攻撃への抑止にもなります。
プレッシャーがかかるからです。
井上選手やカネロ・アルバレス選手のパワーが相手の攻撃に対する抑止として働いて、ディフェンスを強化していることは間違いありません。

まとめ

パンチを打つ時に顎が上がるのは仕方がない。
パンチが強いこと、速いこともディフェンスになる。
目に見えるだけが全てではないし、史上最高のディフェンスを持つメイウェザーも顎は上がりますし、日本史上最強の井上選手も顎が上がります。

見た目の印象だけで顎が上がるのを悪いと判断するのは、逆に攻撃という最大のディフェンスを奪う行為になるかもしれません。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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