マイケル・ジョーダンの跳躍から学ぶ身体操作

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僕はボクシングに限らず色んなスポーツをすることと見ることが好きです。
時々ボクシングに生かせる発見があります。

僕の父親はバスケットボールの国体出場選手だったので、よくバスケットボールの話をしていました。
バスケットボールの選手はみんなそうかもしれませんが、マイケル・ジョーダンビデオが家にありました。
何度か見せてもらったことがありますが、その時思ったのは「マイケル・ジョーダンってふにゃふにゃしてんなー」です。
特に相手を抜き去るとかダンクシュートを決める時です。
舌は出しっぱなしだし、跳びながら足も空中を走るかのようにふわふわ動いていました。

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達人マイケル・ジョーダン

疾走する時に舌を出すのって危険ですよね。
噛むと千切れます。

ジョーダンはきっと顎の力すら抜けていたんだと思います。

舌を出すと力が抜けるという科学的根拠もあるみたいです。

その時は見た目の印象をそのまま感じていただけでしたが、今ではその理由が何となく分かります。
ジョーダンは別に意識して舌を出していたわけではないそうで、自然と出てしまうと発言しています。
今回はジョーダン跳躍から学びたいと思います。

映像を見返して思うのはマイケル・ジョーダンは爆発的な瞬発力だけではなく、ネコ科の動物のようなしなやかさを持っているってことです。
ジョーダンはシュートを遮ろうとした相手のディフェンスの腕を空中で躱します。

Michael Jordan – The Best of the Best HD

しかも一度ならず2度も3度も相手のディフェンスの腕を躱します。
シュートを放つ複雑な動きをしながら、相手のポジションや動きなど視界から入力される情報を処理しているってことです。
推測の域を出ませんが、脚がふわふわ動いていることからジャンプした後のジョーダンは脱力し慣性によってゴールまで身体が運ばれるのを待つだけなんだと思います。
身体も脳もリラックスしているので脳の資源には相手のディフェンスに対応できるだけの余裕があるはずです。

これができるのも無駄な身体内部の情報処理を削減してくれる脱力のお陰だと考えます。

ジョーダンの跳躍

跳躍について見てみます。

普通高く飛ぼうとすると大きく屈んで足に力を溜めますよね。
バスケットボールは相手との駆け引きを行う対人競技なので行動の迅速さが求められます。
ジョーダンの身体捌きは一瞬です。
一瞬で相手を抜き去りダンクを決めます。

時間をかけて丁寧にやればジョーダンくらい跳べるアスリートは普通にいると思いますが、ジョーダンが凄いのは走りながら、ディフェンスを躱しながら、ボールを持ちながら、短時間であの跳躍ができることです。

走りながらの小さな屈曲だが、強力な股関節伸展を起こす

画像にしてみて驚きましたが、ジョーダン跳躍は本当にはんぱじゃないですね。
時間にして0.1~0.5秒くらいの股関節屈曲だと思います。
しかし、そのわずかな時間にこれだけの跳躍を生み出す股関節伸展の力を溜めているんです。
この跳躍を実現している股関節と膝関節をよく見てください。
僕が一番驚いたのはここで、1m近く(それ以上かも)跳躍しているのに膝関節は殆ど曲がっていないことです。
このことから分かることは、ジョーダン跳躍は股関節による屈曲と伸展動作が主であり、膝関節の役割は力向きとスティフネスの調節であろうということです。
何故股関節伸展だけでこれほどの跳躍ができるのか、その理由を脱力をベースに少し考えてみます。

大腿四頭筋による膝関節伸展

跳躍を行うのは股関節と膝関節の伸展です。

大腿四頭筋というのは体の前面にある筋で骨盤と股関節、膝関節をまたいで脛骨(すね)に付着しています。
大腿四頭筋が収縮すると骨盤側に脛骨が引き寄せられ、膝関節が伸展します。

この時地面から返ってくる力の向きはやや後ろと上向きになります。

ハムストリングスによる股関節伸展

もう一つ、そして最重要なのがハムストリングスによる股関節伸展です。

ハムストリングスは骨盤と脛骨と腓骨(どっちもすね)の裏に付着し、これが収縮すると脛骨が骨盤へ引き寄せられることにより、股関節後ろ向きに伸展します。
※ハムストリングスが収縮するとエビぞりみたいな感じになる。

この時地面から返ってくる力の向きは前と上向きです。

同じように跳躍を行う方法にも大まかに2通りの体の使い方があり、大腿四頭筋とハムストリングスの筋力の合力の配合方法は無限です。
ハムストリングス主動でもいいし大腿四頭筋主動でもいい。
しかしながら、研究や実験により走行や跳躍などの競技で結果を出している選手はハムストリングスの活動が大きいと報告されてます。
一つの要因としてハムストリングスの地面へ加える力の向きが挙げられます。
股関節の伸展は上と前方向に身体を推進してくれますが、膝関節の伸展だと上と後ろ方向になり進みたい方向と逆向きの力(ブレーキ)をかけてしまいます。

Michael Jordan – To Fly

大腿四頭筋の脱力とハムストリングスによる股関節伸展

ジョーダンはハムストリングスによる股関節伸展がメインです。
ほとんど膝関節は屈曲させていないことからも明らかです。

大腿四頭筋とハムストリングスは対の関係になっています。
ハムストリングスを強く収縮させて股関節を伸展させようとする時に、力みがあると大腿四頭筋は股関節を屈曲させようとするので、ハムストリングスによる伸展を阻害してしまいます。
ハムストリングスの力を効率よく股関節の伸展に使えません。

既述のように人体の構造的にも走りや跳躍、またボクシングにおけるパンチの特性からもハムストリングスを主動にして、大腿四頭筋はあくまでも補助的な役割として利用する方が効率的です。

次にジョーダンの背骨を見てみます。

脊椎のの脱力

以下の記事でも脱力によって重心が移動し、それが地面へ加える力の総量を大きくし跳びあがる時の推進力になっていると説明しました。

上の記事で猫の脊椎のしなりの話をしました。ジョーダンの背骨もしなります。

地面を蹴って反力を受ける瞬間です。
この瞬間は下半身の筋に力を入れて下半身は硬いバネになっているはずです。

この次の場面では脊椎がぐにゃりと曲がってみぞおちが突き出しています。

何が起きているかと言うと、下半身の重みが上へ動いているんです。

きっとジョーダン体は下半身の重みに押されて少し高さを稼いでいるはずです。

もし跳びあがった瞬間も身体が固いままだと、重心の移動が起こりません。

重いハンマーを振り回すとそれにつられて身体が引っ張られますよね。

あれと同じように下半身が上へ移動するとその分だけ身体を推進してくれます。

身体意識により筋をコントロール

とは言ってもハムストリングス主動の跳躍や走行をしろなんて言われても困りますよね。
どの筋を使っているかなんて普通は意識しません。
大腿四頭筋をとかハムストリングスを使い分けるという意識はとても難しいんです。

でも僕はコツを掴みました。

どうやってこれを優位にするか、どうやって鍛えるかはまたの機会に解説します。
鍛えることは比較的簡単ですが、使うのが難しい筋です。
ハムストリングスのSSCが使えること、その感覚を覚えることが各種のスポーツにおける一段階上のレベルへの入口だと僕は考えています。

ハムストリングス主動と思われるボクサー

沢山いると思いますが、パッと思いついた選手を挙げます。

ゲンナディ・ゴロフキン

今度解説しようと思います。
ゴロフキン選手の脚がスーパーボールのように跳ねる理由でもあります。

ガーボンタ・デービス

攻める時も守る時も腰がぐるぐる回ります。
これはハムストリングスによる左右の股関節伸展が行われているからだと思います。
デービス選手のバランスがいいのも、動作のベースが上半身の前後移動ではなく骨盤の回転運動がメインなのでパンチで上半身が流れにくいんじゃないかと考えています。

Davis vs Avila FULL FIGHT: April 1, 2016 – PBC on Spike

まとめ

脱力はパフォーマンスの底上げをする超高度な技術でコツを覚えるのが難しいです。
でもトップアスリートはみんなこれが上手いんです。

ハムストリングス主動の股関節の伸展を覚えると競技力が圧倒的に上がります。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人
ストイック長濱

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
WBC世界同級34位
WBO-AP同級3位
角海老宝石ジム所属

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