「左を制する者は世界を制する」この格言はかなり有名ですが、調べてみると誰が言ったのか分かっていないようです。
ここ最近で一番驚きました。
「蝶のように舞い、蜂のように刺す」は偉大なモハメド・アリを形容する有名な言葉ですが、上記の言葉も有名な言葉でボクシングをしていない人でも聞いたことのあると思います。
今回はジャブの参考になるゴロフキン選手を解説します。
左を制する者は世界を制する
パワージャブ
めっちゃ強いジャブ打ちます。
『パワージャブ』とか呼ばれたりします。
スピードがあるわけではないんですが、モーションが小さく、リズムを変えてくるので画面越しでもいつ飛んでくるのか読みづらいです。
それであのパワーなんで相手がかわいそうですね。
ジャブが当たって「痛ぇ…」と思ってたら右のロングフックがズドン。
完成されたワンパターンです。
バリエーションが豊富だとは思わないですが、やっぱりタイミングを外すのが上手くて当たるんですよね。
運動連鎖による破壊力
まずはジャブの強さについて考えてみ見ます。
何故強いかですが、色んな側面があります。
ゴロフキン選手をパッと見ただけでいくつか思いつきますが、今回はそのパンチの打ち方に着目してみます。
その前に前提となる知識を提示しておきます。
赤丸でかこった各関節のスピードが落ちる減速局面はブレーキがかかっていることと同義です。
詳しくは「ブレーキ効果」のリンクを見てください。
以下のジャブ特集の動画を見ながらゴロフキン選手がジャブを打ちだす瞬間の動作を詳細に分解してみます。
ジャブを放つ瞬間にまず最初に動き出すのは体幹です。
右足で地面へじわりじわりと力を加えて、その反力で前方へ体幹がゆっくりと動き始めます。
さらに体幹が動いた直後にもう一段階体幹が加速しています。
これは肘の伸展を開始する前に、右足で一気に地面を蹴り強く身体を押し出しているということです。
簡略化するとこんな感じです。
少し地面を押して体幹が微妙に前へ動く(体重移動開始)
↓
思い切り地面を押し出して体幹をさらに加速させる
↓
肩に力を伝わると肘を一気に伸展させて前腕を加速
↓
拳を衝突させる
ゴロフキン選手は持ち前のパワーに加えて、体幹から肘、拳へと丁寧に加速させているんです。
リズムとモーションで意表を突く
ゴロフキン選手のジャブは微妙なリズムの変化とその動作の小ささから相手から察するに、相手はかなり読みにくいと思います。
まず動作の小ささですが、ゴロフキン選手はジャブを打つモーションに入ってから、実際に打ち出すまで見た目の変化がほとんどありません。
微妙に変化するだけです。
しかもそれが「ゆっくり」とです。
アハ体験動画が分かりやすいと思いますが、人間は「微妙な変化」を感じ取るのが苦手なんです。
消費税が少しづつ上がっていくと心理的な抵抗が少なくなるみたいにです。
ゴロフキン選手のゆっくりとした微妙な体重移動は相手にジャブが放たれたことを気がつかせません。
これがモーションが無いことの重要性ですね。
次に攻撃のリズムです。
このブログでは再三話していますが、リズムの変化がボクシングにおける騙し合いの基盤であると僕は考えています。
上の試合の例だと、ゴロフキン選手はプレッシャーをかける時「前⇒後ろ⇒前⇒後ろ(タン・タン・タン・タン)」のゆっくりとした小刻みなリズムがあります。
これはほとんどの選手が意識的にしろ無意識的にしろ刻んでいるリズムだと思います。
ゴロフキン選手が上手いのはこのリズムの変化のさせ方です。
上記のリズムを「前⇒後ろ⇒前・前(タン・タン・タタ)」みたいな感じで微妙に変えて相手の意表を突いています。
まとめ
ジャブで大切なのは速さよりリズムの変化と大袈裟なモーションがないこと。
打つ前に腕を下げたり、打ち込むリズムが一定だったりすると相手に読まれる。
ゴロフキン選手のパワージャブはゆっくりと丁寧に身体を連動させることで破壊力を強化している。
丁寧な連動が強烈なパンチを生み出す。
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