戦略と戦術、スキルセットとスキル

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スキルセット

ここでの『スキルセット』とは『スキル』と区別して使います。
その人が持つ全てのスキルを組み合わせたものを『スキルセット』とここでは呼びます。
パワーやスピード、持久力や打たれ強さ、性格なんかもその人の持つ広義の『スキル』です。

今回は戦略と戦術、その為に必要なスキルセットに関して考えていこうと思います。
例えばガードが高いというのは常にいいことだとされています。
確かに大体においていいことだとは思います。
でも『ガードを上げるってことに全く欠点はないのか』ということに関しては盲目的で全く議論されていないんじゃないかと思います。

もう一つ別の例え話をします。
パンチが強いのはいいことだと思います。
でも『パンチが強いことは常にいいことで、欠点はないのか』ここについてはあまり議論されません。

戦略と戦術

ここでの『戦略』とは最終的な目標を達成するための計画だと定義しておきます。
目標が『判定で勝つ』なら色んな戦略があります。
「インファイトの手数で押し切る」「アウトボクシングのヒット数で上回る」などなんでもいいです。
戦術は戦略を遂行するための具体的な実行上の手段です。

例えてみると『判定勝利』が目標なら戦略は「ヒット数で上回る」、その為の戦術は「足を使って距離をとる」とか「クリンチでインサイドを封じ込める」などです。

戦略に合わせた戦術、そしてそれを遂行できるだけのスキルセットを構築すべきだと僕は考えています。
戦略と戦術が矛盾してもいけませんし、戦略を完遂する以外のスキルは必要ありません。

選択と集中

ガードが高い

ガードを上げるってのは相手に打たせないため『戦術』です。
足を使って左右に動くのも打たせないための戦術です。

メイウェザー選手は足を使って左右に相手を揺さぶります。
足で距離をコントロールします。

この時高く腕を上げていると動きにくいですよね。
脚と腕は連動して動きやすいバランスを作るように遺伝子にプログラムされています。
本能的に行われる動作で、例えば歩くときに「前に出す足と手が逆になる」、転びそうな時に「腕が動いて身体重心を変える」、チーターのような四足歩行の動物が高速で移動している時に「しっぽを動かして重心移動させることよってバランスを保つ」ような動作のことです。
身体重心は関節により質量を移動させることで大きく変化します。

フットワークをスムーズにそして素早くするためには腕と脚の連動が不可欠です。
だからこそガードを上げたままより下げた方が動きやすいのです。
腕を上げたまま走ると速度がでないのと似たような理由です。

また左手を下げることにはさらに利点があります。
パンチが出しやすくなります。
パンチが出しやすいことには利点があります。
カウンターの速さと強さを補強します。
カウンターは『物理的』意外に、『心理的』にも相手の攻撃を抑止します
例えば鋭いカウンターを持つ選手には簡単には踏み込めません。
相手に考えさせる時間を作らせます。
その時間で危険な状況を脱する時間を稼ぐことができるのです。

つまりカウンターと組み合わせれば、「腕を下げる」戦術は相手の攻撃を心理的に防ぐディフェンスに寄与します。
さらにメイウェザー選手のフィリーシェル(ショルダーロール)スタイルは左手を下げることで腹部を守り、顔を相手から遠ざけることにより頭部を守っています。

つまりフィリーシェルにおいて左腕を下げた状態は『ガードを上げた状態』なんです。
メイウェザー選手はディフェンスの戦略上、戦術的に腕を下げているだけです。

また、メイウェザー選手は状況に応じて戦術を変えます。
プレッシャーをかける時には腕を上げます。
プレッシャーファイターであるカネロ・アルバレス選手や村田諒太選手がハイガード戦術を使っているのと同じ理由だと思います。

ロマチェンコ

力積

ロマチェンコ選手は軽いパンチを高い回転力で繰り出していきます。
これを基準に強いパンチはの欠点は何か考えていきます。

パンチの強さは要するに拳の運動量です。
運動量は『力積』により変化します。

力積(I)力(F)×時間(t)

で表されます。
力積で表されるようにパンチを強く打つ(力積を大きくする)には強い力(F)を一瞬で生み出すことも重要ですが、長い時間(t)拳へ力を伝えるというアプローチ重要になります。

運動量は物体の運動の激しさです。
運動量の変化は力積の大きさで表せ、左図のピンク色の四角形の面積が力積です。
Fは力の大きさ、tは時間。
大きな力か、長い時間物体に力を加えると力積(面積)が大きくなります。

僕が見たハードパンチャーの選手も当然、力学には逆らえません。
時間から『力積』へのアプローチも重要です。
つまりパンチを繰り出して拳を目標に衝突させるまでの時間は足を止めて地面から反力を受け続ける必要があります。
ロマチェンコ選手が打ちながら動ける、速いコンビネーションが打てるのはこの部分でをある程度犠牲(このようなトレードオフは常に起こる)にしているからだとも僕は考えています。
そしてその時間的なアドバンテージを活かして相手の死角となるポジションへ移動します。

つまりパンチを受けないための戦略として強いパンチを使わないのです。
パンチを強く打たないことで素早い動きを担保しています。
強く打つとあのフットワークは使うのが難しくなり今のような変幻自在の動きは難しいはずです。

ロマチェンコ選手もメイウェザー選手も同じです。
戦略に戦術を適合させているんです。
戦略と戦術を矛盾させてはいけません。

戦略とスキルセット

戦略を遂行するために必要なスキルを集めるべきです。
がむしゃらに「あれもこれも」と取り入れていては時間を浪費します。
自分の戦略は何で、その戦略を強化する為には一体どんな戦術足りていないのか。
それらの組み合わせがスキルセットであり、あなたの『強さの正体』です。
どんなスキル組み合わせて、スキルセットを構築すれば戦術間の相乗効果を起こせるのか。
同じ人間とは思えないPFPの強さの正体は一つ一つのスキルの練度とスキル間の相乗効果です。

練習と同様にただ漠然と自分の核となる戦略を考えてはいけません。

まとめ

戦略に戦術が適合しているか?
これもしっかり考える必要があります。
戦略と矛盾した戦術の組み合わせでは相乗効果は起こりません。
むしろ損ねてしまっている可能性すらあります。

何を戦略の中心に据えるかはまた別の機会にお話ししたいと思います。

そして戦略は計画です。
予め用意しておかなければなりません
当然計画は上手くいかないことばかりです。
戦略を完遂する為に、必要な戦術は一つではありません。

長くなりそうなので今日はこの辺にしておきます。
もっと踏み込んだ話は別の機会にお話します。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人
ストイック長濱

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
WBC世界同級34位
WBO-AP同級3位
角海老宝石ジム所属

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