
続き。
姿勢と技術
骨盤が前傾すると脚が伸ばされることはその三で説明しました。詳しくは上のリンクを見てください。
今回は骨盤前傾と上のゴロフキンの踏み込みとの関係、そして、骨盤が前傾しないことが導く非合理の自己増殖についての長濱説を述べます。
これまでを復習します。
骨盤前傾⇒脚が伸びる
骨盤前傾⇒ハムケツの筋力向上
また、体の推進力を競うのがスポーツであると解釈するなら、競技能力と股関節の強さには論理的には相関があると考えられます。
従って
骨盤前傾⇒ハムケツの筋力向上⇒推進力向上⇒競技力の向上
と推論できます。
これはロマゴン、カネロ、メイウェザーなど、高い競技能力を持つ一流が直立した時にピンと脚が伸びる事実とも整合的です。
ここまでが復習。以下からが長濱説の続き。
脚が伸びる場合は大腿四頭筋は縮みますから膝関節の力は弱まります。
すなわち、骨盤の前傾は股関節を活性化させ、かつ膝関節を非活性化させます。この場合は膝関節の伸展による上と後ろ方向への力が弱められ、かつ股関節の伸展による体の前方向への力と骨盤の落下運動が強調されると言い換えられますから、骨盤の前傾が強い場合は、踏み込みの推進力は高まり、かつ下のワイルダーやカネロのように、沈み込むような動作になると考えられます。

一方で腸腰筋が弱く骨盤が後継する場合は上記と逆に作用します。すなわち、膝関節の活性化、かつ股関節の非活性化です。

この場合は膝関節による上方向へのベクトルが強調されますから、ボクシングがビョンビョンします。
技術体系への影響
ワイルダーやカネロのような沈み込む踏み込みはピョンピョンするそれと比較する場合、相手の意識に映る変化が小さくなると考えられます。
また、変化が小さい場合は、相手があなたの踏み込みを察知するのが遅れる、と仮定します。
この仮定はあなたの経験とも整合すると思います。
例えば勾配の緩い坂道でブレーキをかけ忘れ場合に、変化の緩やかさ故に車が動いているそとに気が付かない、など。他にも、徐々に引き上げられる消費税を消費者が察知できない、あるいは日本は明らかに貧しくなっているが、その変化が比較的に緩やかである故に国民はそれに気がつけない、などが典型です。
急激な増税や貧富の差の拡大であれば、国民に容認されないことは想像に容易いですよね。緩やかに変化する場合は本能は欺かれます。搾取されていても気が付きません。
閑話休題。
「動作の変化が大きい場合は相手にそれを察知される確率が高まる」という推論が真だと仮定するなら、骨盤前傾と後傾とでは、必然的にその踏み込みの手順に大きな差が生まれてしまうと考えられます。
それは腸腰筋の太さがボクサーが獲得できる技術論体系に差が生み出すと言い換えられます。
前者はフェイントなどを使わず、単に踏み込みの出力を上げていけば相手の反応速度を上回れるかもしれません。
後者は推進力が弱い故にひと手間もふと手間も必要かも知れません。そもそも、カネロや井上尚弥のように「踏み込む」ことができず、殴られながら我慢して近づく、という選択肢以外は取り得ないかも知れません。
さらに、前者は後者がひと手間ふた手間の技術を獲得する時間をパンチやディフェンスへ投下できます。
例えば、後者が「ワンツーが怖くて打てない」と足踏みしている時間で、前者は「ツーワンを試そう」「ワンツースリーを試そう」と、次々に可能性を広げていけます。
しかし、踏み込みが”構造的に”できない後者は延々とワンツーが打てないことに足を取られます。
これが根性論の温床であるとすら、僕は考えてしまいます。
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