WIISの公理主義的実数論を読み進めていると、再び公理主義とは、との疑問が頭をもたげてきました。それは直観としては、仏教の縁起に似た、認識(≒数学or論理)の規則をより抽象的に捉えようとする試みだと解釈しています。
ウィキペディアの英語版にヒルベルトの定義を見つけたので、それに我流で解釈を与えて行きます。
もうひとつ引用した本を参考書にしています。数学の記号的な厳密さをできる限り排除しようと努力してくれたような、つまり、日本語で直観的に捉えられるように噛み砕いてくれたような内容です。言わんとしていることが腹落ちしやすいと感じています。
引用した本と下のウィキペディアの引用からヒルベルトの心の中を推理します。
Hilbert’s axioms are a set of 20 assumptions proposed by David Hilbert in 1899 in his book Grundlagen der Geometrie[1][2][3][4] (tr. The Foundations of Geometry) as the foundation for a modern treatment of Euclidean geometry. Other well-known modern axiomatizations of Euclidean geometry are those of Alfred Tarski and of George Birkhoff.
ヒルベルトの公理はユークリッド”幾何学”へ現代的な解釈を与えたもの。だから点とか線とか面で表現されているんですね。
Hilbert’s axiom system is constructed with six primitive notions: three primitive terms:[5]
point;
line;
plane;
英語が苦手な場合はグーグルに翻訳させてください。違和感のない自然な翻訳がされます。AIすげ。
ヒルベルトの点、線、面は、議論の「対象」を容れる容器としての役割が持たせられた無定義語で、僕たちの社会でい一般的に用いられる「点」「線」「面」を指しているのではありません。
人間関係や物理空間も定義さえ満たせばヒルベルト世界として扱えます。ペンと紙で導いた規則が物理世界で応用できるのは、現時点では物理的なマクロ空間がヒトの認識の規則で表せるから。現実のマクロ空間とヒトの認識空間は、進化の過程により、だとは思いますが基本的には整合的で展開されています。
原始時代はだからミクロ空間を見る必要がなかったので、そことは整合が取れないのだと推理しています。
緩和休題。
「点」「線」「面」は対象を容れる無定義語の宣言。
次は対象の間に見いだせる原始的な三項関係が宣言されす。
and three primitive relations:[6]
1.Betweenness, a ternary relation linking points;
2.Lies on (Containment), three binary relations, one linking points and straight lines, one linking points and planes, and one linking straight lines and planes;
3.Congruence, two binary relations, one linking line segments and one linking angles, each denoted by an infix ≅.
1は単純に三項関係の定義。Betweennessを中間性と訳します。そして、その場合はその性質を宣言することに焦点が当てられているだろうと推理できます。
認識できる対象はそれぞれがそれぞれに対して接続可能な関係を持つ、つまり、それは三項関係として解釈でき、そこには中間と見なせる対象がある。すなわち順序を要請する三項関係と見なせます。
ヒルベルトの意図を推理するなら、三角形や順序(因果関係)と呼べる性質を宣言していると見なせるかなあと。
2のLies on (Containment)は解釈が難しい。「上にある」なので、包含関係や束縛関係のことかなと。線は点を含む(=上にある)。面は点を含む。面は線を含む。
それらは「含む(上にある)」の具体的な意味は捨像されるはずなので、厳密には「対象の間に何かしらの関係が認識できる」との宣言であるはず。
点と線、線と面という(あくまてわも容れ物)、異なる形状を認識可能な対象の間には、何かしらの関係が見いだせる。それはすなわち包含関係である、という言い回しだと推理します。
点を集めると線が形成され、その線を集めると面が形成されます。
無次元は一次元に、一次元は二次元に、二次元は三次元に、という風に、ヒトは対象を二項関係(包含関係)として、あるいはそれを拡張した三項関係(包含関係)として解釈できる高次の認識を持ちます。この定義はそれができることの要請だと解釈しました。
I. Incid
ence
1.For every two points A and B there exists a line a that contains them both. We write AB = a or BA = a. Instead of “contains”, we may also employ other forms of expression; for example, we may say “A lies upon a”, “A is a point of a”, “a goes through A and through B”, “a joins A to B”, etc. If A lies upon a and at the same time upon another line b, we make use also of the expression: “The lines a and b have the point A in common”, etc.
全ての二点A,Bには線aがあり、それは両者を含むみ、AB=BA=aと表現する。
「点Aは線aの上にある」「線aは点Aを含む」「線aは点A,Bを通る」「aはAとBを接続する。」などとも表現される。点Aが線分aとbの上にある時、線分a,bはAを共有する(交わる)。
「線」に付いての言及です。
点と点の間に見いだせる何かしらの関係としての線が宣言されます。そして、それは右から見ても左なら見ても性質が変わらない(同値)ことを要請しています。
中間性(順序)の要請と矛盾する気がしましたが、ABCそれぞれの二項関係が変化しないのなら、順序は逆から読み上げられるだけなので変化はしませんね。一先ずは納得。
2.For every two points there exists no more than one line that contains them both; consequently, if AB = a and AC = a, where B ≠ C, then also BC = a.
前段は二つの点は全て、「線」の関係にあること要請。二点を用意すれば必ず線が引けて欲しいですよね。ヒトが認識するマクロ空間ならそれは可能です。極小のミクロでなら、点と見なせる対象が現れたり消えたりするようですが。
下段は少し分かりづらい。自信を持ってこうだ、と解釈するのは難しいです。
全ての点において、AB,ACを含む線が唯一線分aしかなく、かつAB=a,AC=aであり、B≠Cであるなは、BC=a。
記号(点)が異なっていても同じ線分は同じ線分である、ってこと?また、同じ線分の両端の点は別々の対象あるってこと?
取り敢えず現時点では思考が及ばないのでこう解釈します。
3.There exist at least two points on a line. There exist at least three points that do not lie on the same line.
一つの直線には少なくとも二つの点がある。同一線上でないような点が少なくとも三つのある。前者は線と点の関係で、後者は次の平面を定義する準備ですかね。
4.For every three points A, B, C not situated on the same line there exists a plane α that contains all of them. For every plane there exists a point which lies on it. We write ABC = α. We employ also the expressions: “A, B, C lie in α”; “A, B, C are points of α”, etc.
同じ線上にないような三点点A,B,Cを包含するのが平面である。点を結ぶことにより平面を表現できる。
5.For every three points A, B, C which do not lie in the same line, there exists no more than one plane that contains them all.
同一線上にない三点A,B,Cを包含するような面がある。線と面は異なる対象であり、かつ線は面に包含されることの要請だと感じます。
6.If two points A, B of a line a lie in a plane α, then every point of a lies in α. In this case we say: “The line a lies in the plane α”, etc.
平面上にある線の点は全て、線を包含する平面に包含される。これも対象の間に現れる包含関係の形態を要請しています。
7.If two planes α, β have a point A in common, then they have at least a second point B in common.
二つの平面が平面が重なる(AがBの上にあるなど)ならば、二つ以上の点を共有する。
There exist at least four points not lying in a plane.
一つの平面上にないような点が少なくとも四つのある。三次元空間の宣言?
疲れたので今は終わり。
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