外野の声との接し方

トレーニングメンタル

ここでの外野の声は「スパーリングをしている当事者以外」と定義します。

外野の声に従う必要はありません。あくまでも「頭には入れておく」程度。
その最中やその先に起こることの結果と責任はボクサーに帰属します。仮に外野の声に従って損失を被ったとしても、彼らはそれを保障しません。良くて慰めの言葉だけ。その程度の他人事です。
だからこそ、ボクサーは自らで判断すべきです。

「トレーナーの指示に従ったから負けた」「ジムのせいで上手くいかなった」などは言い訳です。

ボクシングも人生も一度しかありませんから、心から納得しない方法に従う暇は一秒もありません。法に定められていないにも関わらずそうするのなら、それは自分自身に対しての無責任であり、緩やかな自殺です。

ただし、親切心からそうしている人もいますし、時に何気ない外野の声が現状打破のヒントになることはありますから、完全には無視せず、頭には入れておくべきではあります。でもその程度。責任を持たせていない他人の言葉はそれ以下でも以上でもありません。

以上がボクサーの態度だと僕は考えます。

次はトレーナーが実戦中に「ああしろ、こうしろ」と言う行為。
それは時にボクサーをパニックへ陥れる行為です。仮にそれができる状態で、やる価値があるのならやります。

自動車教習所で助手席の補助者が「右見ろ!左見ろ!信号見ろ!アクセルはもっと強く踏め!スピードを上げろ!」なんて言ったらどう感じますか。
試験中に先生が「名前は書いたか?誤字は無いか?一文字一文字確認しろ!結果は人生を左右する!」なんて言い出したら良い点を取れますか。

萎縮して、できることもできなくなりませんか。外野は当事者の立場に立って声をかけてあげるべきです。

もちろん、トレーナーとボクサーには個々の関係性がありすまから、これを一般化はできません。怒声を浴びせた方が上手くいくボクサーもいます。
しかし一方で、萎縮して上手くできなくなるボクサーもいます。

選手よって性質が異なることを理解し手段を使い分けられるのが優れた指導者だと僕は考えます。

また、自分にとっての正解が他人にとってはそうでないこともあります。

上手く伝わらないのなら、怒気を強めるのではなく別の手段で訴えるべきです。

自分の欲求と他人の期待を切り離せていない大人は多くいます。
若いなら特にその確率は高まります。だから、怒声を浴びせて上手くいかないと感じたのなら、即座に方針転換して別の手段で訴えるべきです。

そして、そんな若者にはボクシングの前に自他の区別を教えてあげるべきです。

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ボクサーはボクサーで自分を守る必要があります。会長やトレーナーの言うことは絶対ではありません。

仮に自分の主張こそが絶対だと言い切るのなら、親や家族であろうと関わるべきではないと考えます。あなたのポテンシャルが搾取されます。

腕が良くても血が上りやすい場合やあえてそのやり方を試している場合もありますから、一概に否定はできません。

ボクサーは「はいはい。頭には入れとくわ」程度で受け流して身を守るべきです。操り人形になってはいけません。

僕は他人の期待よりも自分の意思を大切にしますので、無理なものは「無理だ」と伝えるし、今のやり方が快適だと感じるのならそう伝えます。ただ、頭には入れておきます。時に助言されたことを閃いて咄嗟に実践できることはあります。
自分の考えに固執し可能性に心を閉ざすのも馬鹿げています。

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運転免許を取得している方なら理解できるはずです。ある程度の経験をこなせば、助手席の補助者以上に運転手は状況を正しく判断できます。
助手席でごちゃごちゃ言われた方がイラついて混乱します。気が弱いと萎縮して体が動かなくなり事故に繋がるかもしれません。

我は我、彼は彼。
ボクサーはボクサー、トレーナーはトレーナー。
異なる存在であり、異なる魂と目的を持ちます。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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