最近とても面白い打法を発見して、その件で考えていました。
発端は長岡と新垣というプロ志望の大学生でした。
僕のパンチは捻じれているって言うんです。
ジャブやストレートが螺旋を描くように伸びていると。
僕の次が新垣です。
ボクシング歴3か月くらいでスパーリングも数える程度しかしたことないのにエグイパンチ打てます。
平仲ジムの選手だと長岡の成長が著しく一番成長しているかなあって思っていましたが、最後方から新垣が猛追してきました。年末には先頭集団に合流しそうな勢い。
1月に一緒にバッグ打ちしていた長岡はこのインスタの新垣を見て震えたと言います。
成長の加速度が2番目に大きい長岡がそう言っていることからも新垣の加速度がいかに並外れているかが分かってもらえると思います。
最初から今みたいな鋭いパンチが打てたわけではありません。
3か月で急成長できている要因の一つは彼の巨大なエンジンである骨格的ポテンシャルの可能性を見出した僕が、時間、労力、知識といった資本を大量投下しているからです。
新垣は試行錯誤して自然に強くなれるタイプですが、ひとまず今は道に迷わぬように僕が整備した道を全力疾走させています。
さらなる要因が新垣の忍耐力。
最高のエンジンがあってもガスがなければ走れません。
新垣のタンクは一杯まで忍耐力、情熱というガスで満たされています。
練習時間はかなり長いし超ハードです。やれなんて言われなくても顔が真っ青になるまで激しいバッグ打ちができます。
琉球大学に通いながら、勉強とトレーニングの合間を縫って僕のインスタの動画をスロー再生し観察するほどの情熱をもってボクシングに打ち込んでいます。ボクシングを始めたばかりで癖がなく僕の理論が体に馴染みやすいってのもあると思いますが、手打ち打法がどんどん体に馴染みんでスピードとパワーが増しています。
まだまだ洗練できる余地があります。骨格のポテンシャルはこんなものじゃない。
新垣の本性はこんなものではないでしょう。
ちなみに身長181cm、78kgある男です。彼は覚えておいて損はない。
スーパーウェルター級のチャーロと殴り合いができるポテンシャルがあります。来年か再来年に新人王を狙いますので、応援お願いします。
話を戻します。
自分では気が付いていなかったんですが、確かに腕が捻られているなって思いました。
何故パンチが螺旋を描くのかを考えてみたので、その考察を共有します。
考えながら思いついたのが上記の記事の内容です。
広背筋は上腕の停止で捻じれていて、収縮すると腕の内旋させます。
この捻じれが上腕を内旋させる作用を持ちます。
で、選手に僕がやっているように内旋させながら打ってみてくれと伝えると面白いことにストレート系のパンチでリーチが伸びて衝撃が増しました。
複数の選手に現れた現象で「ん、なんだこれは」と思いました。
リーチが伸びたとは具体的には肩甲骨が外転して前へスライドする現象が起きたってことです。
ずっとそのことが頭に残っていて頭の片隅で考えていました。
家に帰って肩甲骨、肩関節周りの筋肉を眺めていて閃きました。
構造を使う
広背筋
広背筋の停止の捻じれは腕を上げる(肩甲骨の上方回旋と上腕の外転)が起こると青い矢印への回転力(上腕の内旋)を生みます。
この時点で意味ありげでゾクゾクする構造をしていますよね。
次に前鋸筋
前鋸筋
前鋸筋はこれです。
ボクサーが発達しているのでヒッティングマッスルだと言われます。
この筋肉は肩甲骨を前へ引っ張ります。
鎖骨と肩甲骨を繋ぐ肩鎖関節(支点)と前鋸筋(力点)の位置関係から推察するに、前鋸筋の収縮は肩甲骨の外転(前へのスライド)と同時に肩甲骨の上方回旋(背中を上へ持ち上げる)を起こします。
結果的に肩甲骨が上腕を前へ押し出すので広背筋の停止が引っ張られて腕が内旋します。
これらを総合すると前鋸筋の収縮は上腕の内旋、肩甲骨の外転と上方回旋を起こすことが考えられます。
GGGは肩甲骨が前へスライドし、上腕の内旋が起こっています。
一言で言えば手の甲が前を向いている。
恐らくGGGにとっては手の甲は前を向くのがナチュラル。
前鋸筋と肩甲骨の連動が強調された骨格なのでしょう。
どこかで見たことのある骨格ですよね。
そうです。四則動物の前足です。
肩甲骨が外転して肩甲骨が前へ出れば出るほど連動して前足が内旋していくってことですね。
四則動物は爪、蹄が前を向いています。
GGGは超動物的な骨格だと言えます。
腕を捻じりながら伸ばすと肩甲骨の重さが乗る、拳が軽く推進できると感じるのは、腕を捻ることで広背筋の干渉を抑えて前鋸筋が効きやすくなり肩甲骨がスライドしやすくなるからじゃないかと推察しています。
以下上腕の内外旋と肩甲骨の内外転、上方回旋、下方回旋の連動の動画。
背中が腕に巻きとられて上からぶさるような動きをしているのが視覚化されていると思います。
「内旋を伴いながら伸展する」のが腕の自然な使い方なんだろうってことです。
いわゆるコークスクリューブローは技名なんて必要のない、むしろ前提となるパンチなのかも。
選手たちのパンチの衝撃が増したのは新たな技術を習得したというよりは、先入観が取り払われて自然なパンチを習得しただけ。
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