構え方とパンチとスタイルの関係

技術選手分析

打法と構え方の関係についての長濱説です。

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パンチと構え方とスタイル

分かりやすくカネロとゴロフキンで説明します。

まずはゴロフキンから。

ゴロフキンの打法

ゴロフキンのパンチは拳の硬いところ、中指と人差し指の第3関節で正確に急所を打ち抜くのが特徴で、この技の練度が彼を唯一無二の存在にするのを助けています。

いわゆるロシアンスマイル。ゴロフキンの拳は手の甲が上を向いて相手に飛んでいきます。
この打ち方が強いのは単純に硬い場所を当てられるのと肩甲骨を強く動かせるからです。

詳しくは肩甲骨の内転、外転と上腕の内旋凱旋の連動を参照してください。
腕を捻る、いわゆるコークススリューブローが強いのは回転力が加わるからではなく、腕の内旋に肩甲骨が連動して強く動くからです。
投球動作で腕を強くスイングすると腕が捻られますが、それは肩甲骨が強く動くからです。
上腕内旋→肩甲骨外転
肩甲骨外転→上腕内旋
何れが起点になるにせよ、連動が起こります。

ゴロフキンが強く肩甲骨を外転させられるのは、腕の内旋を効かせているからとも前鋸筋が強く、肩甲骨を強く動かせるからとも言えると思います。
このスタイルが好きなら練習前のエクササイズを取り入れると良いかもしれません。

ゴロフキンがゲンコツを正確に当てられるのは腕をそれができる程度に腕を楽に構えて自由にさせてるからです。

遠間からパワージャブで相手のバランスを崩してから強く踏み込んでいくゴロフキンの戦いに合理化されて打法だと考えられます。

後述するカネロはハイガードで腕を固めてある程度の自由が失われる為、ゴロフキンと比較すると腕の動きに制限が加わっています。

カネロの打法

以下の動画のようにカネロは手の甲を横へ向けてゲンコツをヒットさせます。
これはハイガードでプレッシャーをかける戦い方に合理化された打ち方だと考えられます。

カネロの構えは手の甲が相手、または横向きです。
この構えからパンチを立ち上げて強く腕をスイングしようとすると、ゴロフキンのように内旋を強調する時間はありません。
動作が完了する前に拳は衝突します。

また手の甲を上に向け、内旋を強調したゴロフキンのようなパンチの場合、肩甲骨平面は肩甲骨の外転に伴い前面へ移動してきますが、カネロのように手の甲を横へ向けた場合、ゴロフキンと比較すると肩甲骨の外転が弱くなり、肩甲骨平面は体の側面へ留まります。
カネロはこれを強く体を回転させることで補います。

カネロのパンチがゴロフキンよりダイナミックに体幹を回転させるのは、肩甲骨平面で相手を捉える為に体幹を横へ向けたいから、という無自覚の理由があるのだと予想します。

スタイルが動作に制限を加えて打法を作っていると言えますし、因果関係を逆転させて打法が可能なスタイルへの制限をかけているとも言えます。

技術論ではなくフローを信じろ

結論。
技術、戦略を一元的な視点で考えると可能性が制約され強くなれない。個々の技術、戦略は他と密接に繋がったネットワーク(全体 )として成立する。

カネロがゴロフキンの打ち方にこだわればきっと動きはギクシャクするし、ゴロフキンがカネロの打ち方にこだわればスタイルの一貫性が壊れます。

人それぞれの個性に合わせて合理的な方法は微妙に異なり、故に一つの動作の固定観念は可能性を奪います。

誰かの正しさにこだわるのではなく、快不快の感情に集中してください。それは合理を引き寄せる強力な知性です。

正しさへの執着を捨てるには自分の個性(直感)を否定せず肯定し、愛することが必要になります。

僕が世界観や姿勢を大切にするのは、それが技術的な制約を生み出す一方で、逆に開放もするからです。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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