パフォーマンスを大きく左右する「運動のイメージ」と指導者としてのデビュー戦について

プライベート運動理論

金城寛季と一緒に戦いました。
指導者としてのデビュー戦。

判定負けでした。

言い訳をさせてください。

一緒にやったのは1ヶ月。
一緒に走ったのは3回。

もう2ヶ月一緒にやれば金城は勝てた。

僕の体感としては継続的なトレーニングの成果が出るのは早くても半年かかります。
来年、トレーニングの成果が現れ始めます。
金城のキャリアは来年から飛躍します。いやさせます。

そのためにも今回の負けた原因を掘り下げて探っていきます。

僕の経験上、表面的な問題だけに囚われると、またそれ自体を修正しようと試みるほど問題は増えてしまいます。
大切なのは根本的な原因を取り除くことです。

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問題は根本から直す

繰り返して強調しますが問題の表層からのアプローチは、僕の経験上問題を増やすことに繋がります。

「大振りだけ」を無理やり矯正すると今度は出力が小さくなり「パンチの抑止力が効かなくなる」などの問題を引き起こします。
力が出せないから、それを補おうと大振りになっている可能性があります。
この場合の根本的には「出力が小さい原因」を改善しなければなりません。
出力が小さい原因は筋力にあるのか、動作自体にあるのかを再び考える必要もあります。

「ガードが低い』もただそれだけを直そうとすると別の問題に繋がってしまう可能性があります。

例えば右投げの投球時に左腕(グラブを付けた方)が自然と体幹から遠ざかるのは、体幹から遠ざかろうとする投球腕(ボールを持つ方)とのバランスを取るためです。
人体にはバランスを保とうとする姿勢反射があります。
つまりパンチを打つ方の腕に連動して自動的にガードが下がっている可能性があるのです。
この場合、根本的にはガードではなくパンチを打つ方の腕を修正する必要があります。

表出している問題を直接矯正しようとすると、力みや身体の連動性の低下につながり、パワーやスピードを失わせ、それがまた新たな問題となって表出し負けることになります。

だからこそ問題を解決するときは常に根本的な原因を取り除かなければなりません。

僕の分析では、金城の表層に現れているのはディフェンス、スタミナ不足です。

そしてその根本的な原因になっているのは力の立ち上げ方とパンチのイメージだと考えています。

試合の客観的な内容

身内の試合なので客観視できているのか怪しいですが、自分の試合以上には客観視できていると思います。

3ラウンドまでは良かった。
腹も顔面も効かせて、吉田選手を追い詰めました。

しかしチャンスで大振り、ガス欠。

そこからは復活した吉田選手にダウンを奪われるなどポイントを失い続けました。

疲れたことが表面上の原因ですが、さらにそれを掘り下げていきます。
なぜなら、金城が6ラウンドで疲れるわけはないからです。
彼の走りを見れば瞭然です。

手数を出していたわけではないのでペース配分でもない。

では何故疲れたのか。

大振り

原因の一つは大振り。
これはずっと感じていたことです。

金城は体当たりのようにパンチを打ちます。
それゆえに運動連鎖が不完全で拳の速度にスパイク(速度-時間のグラフが鋭利になることの例え)を作れません。
記事の下に拳のスパイクが鋭利(運動連鎖が上手い)な選手をピックアップして載せました。

僕は彼のパンチのイメージが原因であると考えています。
腕を鞭にして拳をぶつけるイメージではなく、体当たりして身体をぶつけるイメージでパンチを打っているのではないかと。

1ヶ月間改善に取り組んできましたが、完全に修正することはできませんでしした。
バッグ打ちでは左のパンチだけなら鞭のように打てます。
しかし緊張感が高まるスパーリングなどでは元々のイメージが表へ出てくるんです。

体当たりのようなパンチで見た目は全身を使うから派手です。
脳も強いパンチが打てていると錯覚します。

しかし、体当たりのイメージでは拳と体幹の運動量の交換が起こらないので、直感に反して拳の速度が出せません。

車の急ブレーキで体が投げ出されるのを想像してください。
高速の車が完全に制止すると、ブレーキ効果によりその運動量がドライバーの体に移動します。
ブレーキが強ければ強いほどドライバーは強い力でフロントガラスへ叩きつけられます。
これがスポーツの加速原理です。

直感に反して、身体をぶつけるのではなく、身体の運動を制止せなければ拳の速度は出せないんです。

また大振りだからタメで相手に攻撃を察知され、空振りも目立ちました。
体当たりパンチだと空振りの時は全身の質量を筋力で制止しなければならず、無駄なエネルギーの浪費に繋がります。

腕をしならせるパンチなら、空振りしても腕が伸び切った衝撃により背中のSSCで腕の運動は制止されます。
伸張反射、腱の弾性力を利用するSSCはエネルギーの利用効率が高くまた、一瞬で筋肉が弛緩するので筋ポンプ作用によって乳酸を循環させ、運動に必要なエネルギーを生み出すATPの合成を促進します。

つまり、結論としてパンチのイメージが作り出す悪循環により体内のエネルギーを失い続けた結果のガス欠なのだと僕は分析しているんです。

イメージありき

イメージが脳を動かし、身体を動かします。
つまりイメージありきなんです。

運動が苦手な人の原因は筋肉の繊維がどうこうとか、骨格がどうこうというより、脳が作り出した運動の抽象的なイメージそのものであると僕は考えています。

例えば膝が運動の主導であるイメージを無意識で持っていること。
これは散々このブログで僕が述べていることですね。
※知識として理解しているのと感覚として知っているのは全く違います。
スポーツの動作は股関節に導かれて行われます。

もう一つは筋力こそが力のイメージであること。
無意識的にそうなっていることもあります。

簡単に言いうと、ウェイトトレーニングのように筋肉の収縮が体の速度を生み出しているというイメージです。

これが大きな間違いであることはウェイトトレーニングの記事でもお話ししました。
反動動作とウェイトトレーニングの違いを思い出してください。
一般的な末端を加速させるようなサッカー、バスケ、野球、テニス、ボクシングなどのスポーツでは必要なエネルギーの半分は慣性力や重力など外部(SSC)に求めます。

パンチのイメージ

僕にとって理想的なパンチのイメージは鞭です。
全身をどれだけ鞭のようにイメージして使えるか。

かなり多いのが、体当たりのようなイメージで身体ごとぶつけていくようなパンチです。
パンチはしなり、鞭のように身体を使って打ちます。
腕だけしならせて打つようなイメージです。

体当たりパンチは一見すると派手で強そうですが、鞭のようなパンチと比較して運動量が腕に集約されていないので衝撃力は小さいし、無駄に疲れます。

一見して手打ちの理想的なパンチ

初心者は身体を大きく使えという記事では全身を使ってパンチを打てとお話ししているので、矛盾するように感じるかもしれませんが、矛盾しません。
全身を使って体当たりするのではありません。
ブレーキ効果を思い出してください。

体幹を急停止すると慣性によるブレーキ効果で腕に体幹の運動量が移動します。

力みを誘発するイメージ

次にいきなり力を立ち上げようとするイメージです。
これは力みにつながりますし、筋力の立ち上がりの原理を理解すれば非合理的であることが理解できます。

筋力は「ガっ」と立ち上げるのではなく、「フゥー(クレッシェンド)」と立ち上げます。
ウェイトトレーニングが分かりやすいかもしれません。
ガっと力を込めると大した力は出ません。

意識的な収縮では筋力はゆっくりと立ち上がります。

またいきなり力を出そうとすると全身が力みます。
その力みの筋力は重力や慣性力に干渉して腕にマイナスの加速度(ブレーキ)を与えます。

僕はこれら上記の鞭、筋力立ち上げの原理全て、拳を加速させていくイメージで完結させています。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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