【ロング】僧帽筋と大胸筋の連動 打撃のベースは投擲動作【フック】

戦略
戦略運動理論

骨格の構造から考察して股関節と肩甲骨は連動すると以下の記事でお話しました。
今回は大胸筋と僧帽筋の連動という側面から股関節と肩甲骨の連動の理由を考察していき、動物の中で唯一人間にだけ与えられた「投げる」という動作がいかに重要であるかを解説します。

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大胸筋と僧帽筋の機能を考察

ここから述べるもの僕が勝手に考えているだ長濱説なので正しいかどうかの判断は読者様にお任せします。

これは僕が何となく筋肉図鑑を眺めていて(常軌を逸した趣味)気がついたことを元にしています。

これは僧帽筋です。
白い線が筋繊維の向きです。

僧帽筋の上部繊維は上から肩甲骨を吊り上げる、中部繊維は横から、下部繊維は下から肩甲骨を背骨へ引き付けるように繊維が走っています。

僧帽筋は肩甲骨を固定する働きもあるので、上部繊維が肩甲骨を吊り上げる方向なのは理解できます。
でも、下部繊維は何故下へ向かって繊維が走っているのだらうか、と僕は思ったわけです。

筋繊維の収縮方向が力の向きです。
何故上下に別れているのか。
一見すると力が分散して非効率に見えます。

僧帽筋の上部と下部繊維の共通点は肩甲骨の上部に付着していることです。
ここから推察するに僧帽筋の目的の一つは肩甲骨の上方回転です。

僧帽筋全体の収縮は左図の矢印の向きに肩甲骨を回転させます。

同時に肩甲骨と連結している肩関節も上へ引き上げられます。

次に僧帽筋のある背中の反対側、人体の前面にある大胸筋と僧房筋との奇妙な関連性について見ていきます。

フリーで使える適切な画像が探せなかったので、雰囲気だけ。

これは大胸筋です。
筋が入っていますよね。
僧帽筋と同じような付着の仕方で、ねじり込まれるように腕の付け根に付着し、上部、中部、下部繊維の全てが僧帽筋の収縮と同じ方向へ肩関節を回転させる働きがあることが窺えます。

大胸筋全体は、収縮させるとこんな風に肩を回転させるような構造をしています。

これは見方を変えれば肩を上げることで大胸筋の全体の筋繊維の向きが一致することも意味します。

力の向きは上から斜め下へ。
振り下ろすような動作で筋繊維の向きが一致するんです。

丁度、肩関節がこんな角度になると大胸筋の繊維全体の向きが一致するのがご理解いただけると思います。

僧房筋と大胸筋の回転の向きの一致。
これは偶然の一致ではないと思います。
人類における投動作の重要性を物語る構造ではないでしょうか。

背骨と僧帽筋

以上を踏まえた上でさらに踏み込みこんで解説します。

背骨と肩甲骨

少し分かりにくい画像ですが、以下の画像で説明します。

オレンジ色の矢印は背骨を前へ押し出す力だとイメージしてください。
先ほどの僧帽筋を思い出してほしいのですが、背骨が前へ押し出されると背骨に付着している僧帽筋が引っ張られます。
僧帽筋が背骨に引かれることにより、肩甲骨も背骨へ引き寄せられます。

この画像を思い出してください。
背骨が前方へ押され、僧房筋全体が引っ張られるということは僧帽筋により肩甲骨が上方回転を起こすということです。

つまり背骨の伸展により肩腕が上へ持ちあげられる構造があるのではないか?ということです。

大胸筋

すると大胸筋側はどうなるのか。

背骨は肩甲骨を上へ回転させながら伸展するので、同時に肩関節も上へ持ちあげられます。

記述のように腕を上げると大胸筋の筋繊維の向きが一致するんです。

大胸筋全体で収縮の向きが一致するということは、上から斜め下に振り下ろすような動作によって大きな力を発揮できるということです。

同時に脊椎の伸展により大胸筋が伸張され、反射により強い力で大胸筋は収縮します。

この僧帽筋と大胸筋の関連性はとても面白いと思いませんか?

股関節を強く伸展させると背骨を介して僧帽筋が肩甲骨を上方回転させ、また肩甲骨の上方回転の向きは大胸筋の筋繊維、つまり発揮する力の向きを一致させる効果があるんです。

股関節の伸展から腕を振り降ろすまでの動作が連動する一貫した論理が見い出せます。

GGGのフックは肩甲骨のスライド、上方回転がとても分かりやすいと思います。

強い股関節の伸展による背骨の伸展が僧房筋の伸張反射を引き起こし、肩甲骨と腕が持ち上げられ、肘が上がります。さらに僧帽筋の反射による収縮により今度は大胸筋の伸張反射が引き起こされ腕が強く振り下ろされます。

股関節の強い伸展から僧帽筋と大胸筋の伸張反射までが連動するんです。

この部分は肩甲骨と肩関節の上方回転により畳み込まれてい大胸筋が広げられ、筋繊維の収縮方向が一致していることが分かりやすいと思います。

大胸筋の筋繊維と腕の運動方向を一致させることで強烈な打ち下ろしが可能になります。

投動作が人間の闘争のベース

どんな怪力の猛獣でも人間と同じような速さで物を投げることができません。

ゴリラが本気で投手を目指しても、骨格の構造上、少年野球の控えのピッチャーの足元にも及ばない程度が限界でしょう。

回りくどくなってしまいましたが、投擲こそが人間の闘争における基本動作となっているってことです。
狩猟においては石や槍を投げていたと考えられますが、メスの奪い合いなど人間のオス同士の闘争は投動作を使った石や棒での殴り合いだったと思います。
そして、動物のメスの奪い合いが命の奪い合いではないことを考慮すると、死に至るような石や棒での闘争は太古の自然ではまれだったと思います。
拳による闘争、おそらく投動作を応用した拳を振り回す打撃動作「フック」がメインだったはずです。

男性ホルモンであるテストステロンやそれに類似したホルモンが拳を大きくし、頭蓋骨の目のくぼみを深く、顎を大きく頑丈に、また僧帽筋に男性ホルモンの受容体が多い理由も投擲動作の重要性を示しているかもしれません。
フックによる闘争を前提とした身体の構造を男性ホルモンが形成します。
僧帽筋は目に見えやすいですが目に見えない腸腰筋や臀部も男性ホルモンの受容体が多いはずです。

ロングフックの重要性

投動作は歩行と違い誰にでもうまく行える動作ではありません。
現代では物を投げることはほとんどなく身につけるのが容易ではないためです。
歩行や走行と違うのは、人体には「投げる」という可能性だけを与えられているということです。
つまり練習しなければならないんです。

しかしこれまで述べてきたように僕たち人類はフックを強く打つ可能性を持っているんです。
他のパンチに比べてフックが強く打てるのもそういった理由だと思います。

フックを強く打つ技術を習得することでストレートやアッパー、ボディーブローが相乗効果により強化されます。
強いフックを警戒しないわけにはいかない相手は他のパンチへの守りが手薄になるからです。

フック以外のパンチが当たり始めると、今度はフックへの守りが手薄になります。
ここへきてようやく最強のパンチ、フックが当たるようになります。

まとめ

投動作をベースとしたフックを生かすことが勝利の戦略のカギ。
ストレートばかりにこだわってはいけない。

大胸筋上部、中部、下部で発揮する力の向きが一致することが打ち下ろしのパンチが強くなる一つの要因だと考えています。

脇を締めるというのも常に正しいか?ということはありません。

特に強いパンチ、ロングで打ちたい場合は。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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