ジェイソン・モロニーを分析 カシメロより強い?

選手分析
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ヤフーニュースの記事です。
10.31のハロウィーンに両選手の対戦が計画されていて、井上選手のビザは降りているので試合はほぼ決定なんだとか。

「カシメロじゃないんかい」分かります。僕も同じです。

モロニーって誰やねんって人の為に僕が少し解説してみます。
戦績は21勝18KO1敗でKO率はなんと81%です。
身長は165cmなので井上選手とほとんど変わりません。

今回参考にした試合は以下の二つ。

一つはWBSS準決勝で行われた試合で唯一の負けになっている『エマヌエル・ロドリゲス vs. ジェイソン・モロニー』と一番最新の『ジェイソン・モロニー vs. レオナルド・バエズ』です。

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分析

KO率ほどのパワーはありません。
はっきりとパワーを活かす選手ではなく、相手の良さを消すスポイラーです。

守りの固さ

ロドリゲス選手との試合ではキレのあるロドリゲス選手のスピードに上回られてカウンターを何度も合わされていましたが、高いガードと打ったら動くといった基本的なことを徹底する習慣で、まともにパンチを当てられることはありませんでした。
また足を止めて打ち合ったりロープに詰まったりと基本的にリスクのある行動はしません。

ロドリゲス選手はモロニー選手のパンチに対して超危険なタイミングでカウンターを狙っていたんですが、モロニー選手のガードを下げない、打ったら動くの習慣によってこれをギリギリ防いでいました。

パンチを空振りしたら頭を下げながら体を寄せてロドリゲス選手の追撃を防ぎます。
このディフェンスは徹底されていて完璧にこなしていました。
相当な準備を感じました。
ロドリゲス選手のコンビネーションが始まってしまってもがっちりしがみついてクリーンヒットは許しません。

多分この状況ではこう、この状況ではこう、と決めていたであろう手際の良さでしかもミスをしませんでした。
なかなかできるものではありません。
試合中のモロニー選手の集中力は並外れたものを感じました。

心身のスタミナ

ロドリゲス選手が後半が疲れて動きが落ちた来たところで一気にペースを上げました。
「よしいくぞ」と決意してからは分かりやすくペースアップし、かなりしつこく追いかけて後半にも関わらずそれまでの倍くらいの手数を出しました。

「いくぞ」と決意してからの頭の切り替えの速さと行動に移すまでの速さがモロニー選手の集中力と心身のスタミナの豊富さを物語っています。
モロニー選手に弱みを見せてしまうと一気にそこから崩されます。

特に後半は危険です。

揉み合い

これが要注意かなと思います。
ロドリゲス選手に対してはかなりしつこくクリンチしていました。
ただ相手の動きを封じるようなクリンチではなくて、腕を絡めて押したり引いたり、そこからパンチを狙ってきたりと相手の体力を消耗させるようなクリンチです。

ロドリゲス選手に対してのクリンチの上手さと言うか手際の良さから察するに相当なクリンチの練習を積んできたか、ずっとその戦術を使い続けて熟練しているかのどちらかです。
このどちらだとしても要注意ですね。

この手の戦術はボクシングでは常に大きな戦果を上げている事実があります。
井上選手の出入りのフットワークのスピードで本気を出せばしがみつく前にその場を離れられると思いますが、ロドリゲス選手みたいに足を止めて迎え撃とうとすると揉み合いに巻き込まれちゃいそうです。

まとめ

ガードが高く、打ち終わりも離れていてもとにかく足を止めずに動き回る。
それでいて豊富なスタミナと上手くいかなくても挫けて弱気にならず淡々と戦略を遂行できる辛抱強いメンタル。

以上の強みを踏まえるとモロニー選手から感じたのは、明確に勝ち切る選手ではないけど、誰が相手でも苦戦させそうだなと。
序盤で効かされてしまうとかでない限り、後半戦に強い選手です。

でもパンチ力とかスピード、フットワークとかコンビネーションの技術のような分かりやすい、決定力のある武器がないので強豪相手に善戦しても勝ちきれない、接戦を落としてしまう。
そんな風に感じました。

ただそれは普通の選手が相手の場合で、今回の相手は井上選手です。
序盤でKOされるイメージも浮かびますし、序盤を凌いだとしても井上選手はスタミナがあるので、仮にモロニー選手がどんなに善戦したとしても井上選手が勝ち切るイメージが浮かんできます。

モロニー選手は決定力のある武器がないので後半の判定でも前半のKOでも井上選手に勝つのは難しいんじゃないかと考えます。

しつこいしつこいドネア選手を経験した今の井上選手であれば、急がずジワリジワリと弱らせて後半にKOじゃないかと予想します。

最新の試合を見てもKO率ほどのパンチ力は感じませんでした。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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コメント

  1. KOKO より:

    カシメロより評価していて、井上に勝つ可能性が高い、というファンの意見もちらほら見かけますね。
    私はそうは思いませんが……

    元々Sバンタム級でデビューしていて、キャリア中頃まで122で戦っていたそうです。そのせいかパンチ力と比べて、身体のパワー、もみ合いには確かに強い感じを受けますね。
    一方で、脚を使った戦いもよくするし、オールラウンダーの印象です。
    心身ともにタフな印象はありますね。

    長濱さんの分析には、素人ながら同感です。カシメロより、アップセットの可能性あり、という意見には到底同意出来ないですね……向こうはアウェイで戦い続けて3階級制覇の王者、かたやただの上位ランカーですし……

    ドネア戦のように、試合序盤での怪我で、パフォーマンスが攻防ともに低下する、ということでもない限り井上が負けるのは想像出来ません。

    むしろ前回20年のボクサー生活で初めてのカット出血、骨折によるダブルビジョンによる苦しみ、不自由さを身を持って味わわされた井上が、対戦相手にそれを押し付ける戦いをする気がします(笑)
    ああなると、スタミナが十分あっても、ボクサーは持っている能力のMAXを発揮することは出来ない。モンスターは学習していると思います。
    凄まじい破壊劇が起こりそうな……

    • なんでもできますが大きな強みがないというか…
      ガードの固さ、スタミナと揉み合いの強さを活かした長期戦が一番やばそうだなと感じました。
      モロニー選手がアンドレ・ウォード vs. コバレフを再現できないとは言えませんが…
      前半急ぎすぎてガス欠さえしなければジワリジワリと弱らせて判定までいかないのではと感じました。

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