今回は脇を絞めてパンチを打つことの重要性を『角運動量』『慣性モーメント』の側面から解説してみたいと思います。
前提となる知識を先に解説します。
慣性モーメント
『慣性モーメント』とは物体の回転のしにくさ、回転の止めにくさのことです。
『慣性』の回転バージョンです。
簡単にイメージしやすいように図で説明します。

雑な図で申し訳ありません。
これは長さの違うモンキーレンチに全く同じ力を加えてナットを回している図です。
この場合長いレンチと短いレンチ、どちらがナットを回しやすいかイメージできるでしょうか?
長いレンチの方がナットを回転させやすいです。
これは何故かと言うと、同じ力を加えても回転する軸(支点)から離れている方が大きな回転力を生むことができるからです。
※『てこの原理』

この図のように全く同じ重さのバッグを体幹に近い方と体幹から遠い方の二か所にかけたとします。
この場合、バッグが体幹に近い方が持ちやすいのが直感的に分かると思います。
全く同じ重さのカバンなのにどうして右側の方が疲れるかと言うと、支点(体幹)から離れた位置にカバンがひっかけられているからです。
要するに支点から遠い位置にある方が同じ重さでも強い力を支点に加えることができるってことです。
上記の画像を今度は別の視点から考えてみます。

今度は二人を回転させてみます。
どっちの方が回転させるのが難しいと思いますか?
直感的に右側だと分かりますかね。
バッグを肩にかけた左の方が回りやすいんです。
自分でも「分かりにくッ」と思っていいのがないかyoutubeで検索したらありました。
かなり分かりやすい引用です。
フィギュアスケートの回転です。
両腕を広げて回転を開始し、腕を縮めて体幹へ近づけると回転数が上がっているのが分かってもらえますかね。
これは質量(腕)を支点(体幹)へ近づけることで『慣性モーメント』を小さくすることで支点(体幹)を回転しやすくしているんです。
角運動量保存則
どうしてこんなことが起こるかと言うと、回転力(角運動量)は他から力を加えない限りは変化しないからです。
もし、宇宙空間で物体を回転させると邪魔が入らない限り、ずっと回転し続けます。
これは角運動量保存則と呼びます。
つまり回転している物体は腕を伸ばした状態の回転力を維持し続けるので、腕を畳むと『慣性モーメント』が小さくなって、力学的に回転しやすくなり回転数が上がるんです。
まとめ
もし腕を体幹から離した状態でパンチを打とうとすると、『慣性モーメント』が大きくなってしまって体幹の回転速度を損ねてしまう。
パンチを打つ時は力学的にも体幹に腕を近づけて体幹を回転させる方がスピードが出しやすく理にかなっている。
体幹が回転してスピードに乗ってから腕を体幹から離す。
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