僕が『ブレーキ効果』と勝手に読んでいる現象があるんです。
名前を付けると物事を考える上で効率がいいんですよね。
ただ、僕がそう呼んでいるだけなので、今回の話はもしかしたらスポーツでは常識で他の呼び方があるかもしれません。
今回はボクシングにおいて、パンチ力の面からどうして体を流さないことが重要であるかをお話しようと思います。
ブレーキ効果
まずは理解を早める為に以下の図を見てください。
この図の四角い板の重心に釘を刺して軸とします。
この場合、下端から左向きに押しても上端から右向きに押しても回転する方向は緑の矢印のように時計周りに回転します。
もしも同時に上下の両端からそれぞれ逆向きに力を加えたら、一方から力を加えるより速く回転するのが何となく分かると思います。
ブレーキ = 逆の加速度
別の例です。
1.軸に左向きに力を加えて動かします。
2.板全体が速度を持って動き出しますよね。
3.動き出した板の上の端を掴んで急にブレーキをかけます。
4.すると板が軸を支点に回転しますね。
つまり、慣性によって運動する物体の端を急停止させてブレーキをかけると反対の端に力を加えた時と同じように回転するんです。
『ブレーキ効果』による加速です。
※画像を追加しました。
こっちの方が分かりやすいかも。
振り子の糸と球の間に釘を置きます。
振り子を離して落下させると、糸が釘に引っかかりブレーキがかかって勢いよく球が回転すします。
僕が言いたいのはこれです。
車も急ブレーキすると左図のように後方が浮き上がって、前輪を軸に回転しますよね。
慣性によって運動する物体の端に運動方向と逆向きの力を加えると軸を中心に回転するんです。
ボクシングのパンチ
ボクシングのパンチも体幹を軸にして腕を回転させますよね。
雑な図で申し訳ないんですが以下の図を見てください。
上から見たパンチの動作です。
大きな円が体幹です。
体幹を回転させると肩関節が一緒に回転します。
つまり肩関節が反時計回りの角速度(回転運動の速さ)を得ます。
ある程度、肩関節が回転し、反時計回りの角速度を持たせてから体幹を急停止(ブレーキ)させます。
すると今度はさっきの体幹の回転(反時計回り)とは逆向き(時計回り)の力が肩に加えられます。
既述の『ブレーキ効果』によって腕の両端(肩と拳)にそれぞれ逆向き向きの力が加わるので、末端(拳)が回転して高速で左方向へ振り出されます。
※厳密に拳にかかるのは慣性力なので力は加わっていません。
便宜上こう説明しています。
これが僕が『ブレーキ効果』と呼ぶものです。
分かりにくかったら申し訳ありません。
つまり、体幹が回転して角速度がトップスピードへ到達した瞬間に体幹の回転を急停止させると慣性によって高速で腕が前方へ振り出されるんです。
最初に述べたように、パンチを打ちだした後に体を流さないことの重要性、つまり体幹を制止することの重要性が何となく理解していただけたと思います。
これは『運動連鎖』というしなりを生み出す動作へ繋がっていきます。
それはまた別の機会にお話します。
まとめ
体幹の力を腕へ伝えたら体幹を急停止させることで拳が加速される。
身体を流さないのはディフェンスとオフェンスの両面において理にかなっている。
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