投擲パンチ
カネロ・アルバレス

上の動画のカネロは、仰け反るようにして頭を遠ざけ、かつ左腕を伸ばしています(ジャブ)。
つまり下の画像のような姿勢です。
この形は相手の射程から頭が遠ざけて被弾の確率を下げるディフェンスであると同時に、後述するように推進力を高めます(≒攻防一体)。
右をスイングする準備動作がそのまま
踏み込み→ジャブ
のワンツーの準備動作を構成をしています。

左手が伸びる姿勢反射
ワイルダー
ワイルダーのワンツーも同様。つまり投擲動作。
強力な投擲動作は腕のねじれを強調します。すなわちフィジカルモンスターのパンチは必然的にコークスリューパンチになります。
コークスクリューパンチ⇒強いパンチ
よりはむしろ
強いパンチ⇒コークスクリューパンチ
つまり、「腕をねじるとパンチが強くなる」ではなく、「強い奴の腕がねじられる」です。

強い奴は手の甲が前を向く

足の速い奴は手の甲が前
原理的には前者の否定は難しいが、一般的に言われる包含関係の逆を考えた方がシンプルにボクシングを語れます。

井上尚弥とアントゥアン
下記の動画のように、投擲動作は頭を相手の射程から遠ざけるディフェンスになります。


加速し続けるジャブ
下の動画で示したように、投擲時の片足支持姿勢は重力下では構造的な推進力が生まれます。

重力に押されして倒れる

大腰筋パンチ

形だけ真似た大腰筋パンチ

また上のような姿勢は軸足のハムケツにエネルギーがタメられます。
奥手(≒右構えの右)に限定するなら、仰け反る(≒後ろ重心)の方がパンチには力が乗ります。前重心で投擲するのを想像すれば説明しなくとも分かるはず。
前重心⇒パンチ力アップ
は奥手のパンチに限定するなら誤り。
ワイルダーやカネロなど観察とも整合します。
一般的には
前重心⇒パンチ力アップ
と言われます。
何故このような誤解が普遍的に受け入れられているか?
ボクシングが輸入された当時は格闘技なんて概念はなかった。
故に相撲が技術的なモデルになった。
この推理は日本の悪しきジム制度が相撲部屋システムと同型であることとも整合的です。

よく考えずにタックルと投擲を同一視したのでしょう。
健全な推論
事実1→事実2→事実3→…結論
不健全な推論
妄想1→妄想2→妄想3→…空想
妖怪「知った風と印象」のイタズラです。
YouTubeはドヤ顔で印象論を垂れ流す知った風とそれをマンセーする印象で溢れています。

打ち下ろし
コバレフは
パンチ⊂投擲
を視覚化していると思います。
スイングの形から
強めに
背屈ロック+肩甲骨ロック+投擲動作
されていると予想しています、

ゲンコツロック+背屈ロック



パッキャオの攻防一体

頭を遠ざけるディフェンス
と
片足支持による踏み込みのタメ
が両立。
同時にカウンターの可能性を偶有。
攻防一体を含意する形。
パンチ⊂投擲
この解釈は一般的な技術論としての「パンチ」「踏み込み」「ディフェンス」を吸収する。
ボクシングが単純化し練習で考えることが減る。

無意味な複雑化
以上の視点から一般的なボクシング技術論を見てみるとどうか。
「投擲動作」で完結することが無意味に複雑化されていないか。

その無意味に複雑化された技術観はボクサーの本来の能力を失わせていないか。
あなたの周りに複雑にボクシングを語り、その難易度を格段に高めている人はいないか。
あなたはそんなYouTubeを見て人生を溝に捨てていないか。

このように無意味に複雑化されたお作法は日本の社会に溢れています。
就職お作法と、それを教えることを糧とするお作法講師。ダラダラ長いだけで要件が伝わってこないビジネスメール。それをやること自体が目的化した、ガードを上げる、顎を引く、などの現実を少しも説明できていない「ボクシング基礎基本」。
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