対数の「その心は?」の記事で利用したベルヌーイの不等式で遊びます。
AIに作ってもらった問題を解きながらベルヌーイの不等式の「その心は」を感じてみます。
任意の整数 r ≥ 0 と全ての実数 x ≥ −1 に対し、次が成立する。
$\displaystyle (1+x)^{r}\geq 1+rx\!$指数 r が偶数の場合、この不等式は全ての実数 x に対して成り立つ。
式を見た印象は、「曲線と直線を同じ変数で構成した場合、曲線は直線から離れていくよね」です。
この直感的に自明な不等式を厳密化したのがベルヌーイの不等式、というのが現時点の僕の解釈。
証明
ベルヌーイの法則が成立することは「対数、その心は」で証明していますので、簡単に復習。
単純化すると
$(1+x)^{n}>(1+nx)$
との仮定が成立するなら、
$(1+x)(1+r)=1+rx+2xr>(1+rx)$(加法律と乗法>性質)
$(1+x)^{r+1}>1+xr$(推移関係)
数学的帰納法より任意の数においてベルヌーイの不等式が成立。
補足
乗法>性質
1<,n,a⇒a(n)<a(1+n)(加法律)
同一の数に任意の二つの数をかける場合は、その大小関係が保存されます。
詳しい証明は「その心は?」を参照してください。
練習問題集
問題1
ベルヌーイの不等式を用いて
$(1+\dfrac{1}{r})^{r}≧2$(仮定)
が成り立つことを示せ。
$r=1$(仮定)
$(1+1)^{1}≧2$(代入)
$2¹=2=2$(自然加法)…①
r=1の時は成立。
r+1の時に成立すると仮定(数学的帰納法)
$(1+\dfrac{1}{r})^{r}・(1+\dfrac{1}{n})^{r}>(1+\dfrac{1}{r})^{r}≧2$(乗法>性質)
$(1+\dfrac{1}{r})^{r+1}>2$(推移関係)…②
①②より、数学的帰納法が成立。任意のr≧1の
$(1+\dfrac{1}{r})^{r}>2$
が成立します。
ベルヌーイの不等式は常に成り立つので、
$(1+\dfrac{1}{r})^{r}>2$
は常に成りま立ちます。
問題2
ベルヌーイの不等式の=成立条件を考えよ。
0≦xを任意に固定し、rを任意に動かした場合を見ていきます。
$(1+x)^{r}≧1+rx$
r=1の場合。
$1+x=1+x$(代入)…①
=成立。
1<rの場合を考えます。すなわち、①に任意のrを加えた場合。
$(1+x)^{1+r}>(1+x)^{1}$(指数法則)
よってn>mの場合は
$(1+x)^{n}>(1+r)^{m}$
が常に成立します。
推移関係より
$0<x∧1<r⇒(1+x)^{r}<(1+x)^{1+r}$
$0<x∧1<r⇒(1+x)^{1}<(1+x)^{1+r}$
よってベルヌーイの不等式の=が成立るのはr=1の場合のみ。
※狭義のベルヌーイの不等式
よってベルヌーイの不等式が等式になるのはn=1の時のみ。
以上の問題から分かるのは、ベルヌーイの不等式は直線(=一次関数)と曲線(n次関数)の関係。
まとめ。
同じ変数で曲線と直線の関係を表しているのがベルヌーイの法則。

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