下はメジャーリーガーの投球です。
肩甲骨平面内を腕が滑走しているのが分かります。
大腰筋の収縮で両肩を結ぶ直線が傾いています。ボーっとしていると腕を上から下へ振りおりましているように見えます。
が、実際には腕は肩甲骨平面内を滑走しています。すなわち腕は体幹から見て横向きに振られるということ。大腰筋の収縮が振下ろすように見せています。
少し話を横道へ逸らせます。
打ち下ろしが強い理由の現時点での長濱説。
打ち下ろしが強力になるのは、
大腰筋が強い→大腰筋による収縮が起こりやすい→パンチで両肩が傾く→肩甲骨平面が傾く→肩甲骨平面内で拳が加速(二軸)→拳の運動量増加
が論理的に繋がるからと思います。「打ち下ろしは強い」は、強い体を持っているボクサーの論理的な必然が導くのであり、それは、すなわち「打ち下ろし」という形が説明するのではないだろうと。
腕だけで打ち下ろしてもジェラルド・マクラレンのような「打ち下ろし」の原理は実現されず、破壊力は導かないだろうと予想できます。
打ち下ろしは強い、は因果関係よりはむしろ、体の強靭さとの相関関係と考えるべきだという結論です。
例えばジェラルド・マクラレンの打ち下ろしの説明としては、「打ち下ろすから」よりはむしろ、体が強靭である故の必然としてそうなっている、の方が正しい確率が高く、視点によっては普通のボクサーの打ち下ろし動作よりはむしろ、ハメドのアッパーカットの方が、マクラレン的だ、と言えると言うこと。
もちろん、真似することで神から与えられている素質が開花する可能性はあります。
簡単にまとめると。大腰筋が収縮するなら、腕は肩甲骨平面内を滑走する故にその加速は効率的にある。さらに大腰筋の収縮の力もそれに上乗せされる。
大まかには「大腰筋」「肩甲骨ロック」の二つが、打ち下ろしの説明変数として役割は大きいと予想します。
閑話休題。
パンチのフォームの特徴からカネロのパンチも同じ原理に従っていることが推理できると思います。
メジャーリーグの投手の体重移動が小さく、また投球の支持脚が突っ立ち(棒立ち)、かつ手投げに見えるのは、論理的には股関節ロックや肩甲骨ロックが説明するだろうと、すなわち内転筋群腸腰筋前鋸筋小胸筋が大きな役割を果たしていると推理できます。
投球の体重移動を受け止める支持脚が突っ立つのは、股関節が内旋と骨盤前傾でロックされているからで、それは接地時のハムケツの張力を高めて伸張反射による骨盤と肩のブレーキ効果を高め、腕の加速力を増加させます(二軸)。
だから手投げでも強力な加速が起こせます。
逆も然り。
股関節と肩甲骨がロックされないなら、手投げはできなません。体重移動による引っ張り打法でそれを代償する必要があります。
先天的にか後天的にか、体が強靭であるが故に、手投げの原理で腕を加速させられるのだ、と仮定するならば、そうでない場合は別の方法でそれを代償する必要が生まれます。
例えば体重移動で体を引っ張り加速させる必要など。これが、日本では「手打ち」ではなく「体重移動」の原理が文化として広まった理由ではないかと考えています。
遺伝的な違いが、ナイフ&フォークとお箸のような、文化圏の間に見られる差を導いていると予想します。デフォルトが肩甲骨外転→上腕内旋の文化圏と肩甲骨内転→上腕外旋のそれとでは異なる文化が発達するはずです。前者にはお箸は使いにくいし、後者にはナイフは使いにくい。西洋と東洋の武器の差もここから来ているような気がします。
弱者→弱者視点で妥当な技術論→文化
強者→強者視点で妥当な技術論→文化
仮にこの推理が妥当であるとするなら、日本のボクシングの汎ゆる文化への疑いが芽生えます。
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