
べき乗
実数 x の正整数 n 乗は、素朴には、n 個の x を掛け合わせたものである。厳密には、次のように再帰的に定められる。(∗)x¹:=x,(∗∗)xn+1:=xⁿ×x(n≥1).x0
を定義する場合には、関係式 (∗∗) が n = 0 でも成立するように定義を拡張するのが自然である。
復習
ここまでで分かっている指数の性質は
0<x⇒0<x⁻¹
1<x⇒0<x⁻ⁿ<1
0<x<1⇒1<xⁿ⁺¹
1<x⇒1<xⁿ<xⁿ⁺¹
0<x<1⇒0<xⁿ⁺¹<xⁿ<1
∀n∈ℕ:0<x⇒0<x²ⁿ<x²⁽ⁿ⁺¹⁾
∀n∈ℕ:x<0⇒<x²⁽ⁿ⁺¹⁾⁺¹<x²ⁿ⁺¹<0
負の実数のべき乗は偶数なら正へ、奇数なら負へ発散。
底が0の指数の性質
自然数は奇数と偶数のいずれかに分けられる。かつ「実数から0を引いたら差集合」は正数と負数のいずれかに分けられる。
これひ上のべき乗の性質を加えれば、「底が0ではないなら、そのべき乗も0ではない」と言い換えられます。
よって
x≠0⇒xⁿ≠0
対偶をとり
xⁿ=0⇒x=0
べき乗が0になるのは0だけ。
定理
xⁿ=0⇒x=0
x≠0⇒xⁿ≠0

べき乗のべき乗
$(a^{x})^{y}$(仮定)
$(a・a・a…a)₁・(a・a・a..a.)₂…(a・a・a…ₓ)_{y}$(べき乗)
$(a・a・a…a)$(結合法則)
$a^{x・y}$
aがx個ある塊がy個あるので、aが$a^{x・y}$個。
イメージが掴めないので、数学的帰納法で具体的に証明する方法を試します。
xを任意に固定し、yを動かした場合に$(a^{x})^{y)=a^{x・y}が成り立つことを証明します。
y=0の場合。
a^{x・0}(仮定)
a⁰
1
$(a^{x})⁰$(仮定)
1(0乗の法則)
yを任意に固定してxを動かす場合は、x=0ならば、
$a^{x・0}=((a^{x}) ^{0})$(推移律)
は成り立ちます。
x=nにおいて
$(a^{x})^{n}=a^{x・n}(※1)$
が成り立つと仮定した場合に、n+1においても成り立つことを証明します。$a^{x(n+1)}$(仮定)
$a^{xn+x}$(分配法則)
$a^{xn}・a^{x}$(指数加法法則)…①
$(a^{x})^{n+1}$(仮定)
$(a^{x})^{n}・a^{x}$(∗∗)
$a^{xn}・a^{x}$(※1)…②
①=②より
$a^{xy}=(a^{x})^{y}$
例題
(5²)³(仮定)
5⁶(べき乗のべき乗)


積のべき乗
(xy)³(仮定)
xy・xy・xy(∗∗)
x・x・x・y・y・y(交換法則)
x³・y³(∗∗)
(xy)³→x³・y³(→導入)
数学的帰納法。
(xy)¹(仮定)
xy(∗∗)
x¹y¹(べき乗)
nが真(①)ならn+1も真の証明。
(xy)ⁿ⁺¹(仮定)
(xy)ⁿ・xy(∗∗)
xⁿyⁿ・xy(①)
xⁿ⁺¹・yⁿ⁺¹(∗∗)
数学的帰納法かま成立しますので、指数には
定理
(xy)ⁿ⁺¹⇔xⁿ⁺¹・yⁿ⁺¹
と変形が成立します。

コメント