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長岡の構えを右の小胸筋が効くように修正。
小胸筋ロック
SSC(サイレントピリオド)による腕の落下の抑制、及びその力の伝達が改善されたので、右ストレートやアッパーカットのスイングがコンパクトかつ強力になったと思います。
ベテルビエフやロイ・ジョーンズjrのパンチのクイックネスと破壊力を想像すると、コンパクトかつクイックなパンチ、が分かりやすいと思います。
自然体で肩甲骨が外転前傾しているのが分かります。胸が内側へ巻き込まれているので、どこか窮屈そうに見えます。
カネロの肩はジョーンズのように内側へ巻き込まれ、その内側にパンチの衝撃を吸収させる為の奥行きが作られているのが分かります。
別の表現なら、「みぞおちが潰れ、頚椎が前傾し両腕の間隔がギュッと近くなっている」ですね。
小胸筋の利いたガードを言葉で説明するのは難しいですが、それができる人には伝わっていると思います。
比較すると分かりやすいですが、僕は小胸筋が弱いので腕が正面から見ると「ハ」の時に開いてしまっています。
一方ででカネロやベナビデス、ベテルビエフは正面から見ると「Ⅱ」の時になっています。
相手から見るとストレート、フック、アッパー、全ての軌道を遮断された感覚を覚えると思います。物理的に軌道が遮断されるのと同時に、認知的にも遮断され、相手の「打とう」という動機を抑制する構えです。
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肩甲骨が下制され、肩甲骨平面内で腕が構えられています。
NBAプレイヤーのシュートの射程、ないしはNLB強打者のクイックかつ強力なスイング、またそれに伴う球の飛距離に驚かされたことはありませんか。
恐らくは、彼らは筋肉の構造や力の伝達を合理化する、腸腰筋前鋸筋小胸筋などの所謂インナーマッスルが強靭なのだと推理します。
長岡のパンチの速度が上がっているのは、以上の論理が妥当だから。すなわち、筋トレにより骨格が、及び指導により構えが合理化されているからだと考えられます。
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上記の彼らの構えからも強い小胸筋を感じます。肩甲骨をロックして、三頭筋大胸筋の張力を高めSSCを効率化。かつその収縮力を効率的に骨格に伝達させているからこそ、彼らはワンハンド、あるいは体重移動をほとんど起こさないクイックな手打ちで、驚くべき飛距離を実現できるわけです。
ところで、以上を踏まえた上で所謂プランクの形に解釈を与えてみます。
「腹筋トレ」ではなく、「肩甲骨ロック」「股関節ロック」など、骨格の構造を合理化する筋トレだと解釈するなら、それは以上の論理と整合するトレーニングであると結論できます。
それが弱い負荷であるのは、チューブトレーニングと同じ文脈だろうと予想できます。すなわち、弱い付加でなければ巨大な筋肉が生理的に動員されてしまい、目的のインナーマッスルへ働きかけられないからです。
骨格を支える筋肉は、その性質上、疲れないように設計されていると考えられます。大胸筋や大腿四頭筋のように「疲れて動かせない」なんてことがあっては困ります。体を支えられずにその場でへたり込むことになりますから。
従って所謂インナーマッスルには遅筋的な性質が与えていると考えられます。
であるならば、プランクの姿勢のまま静止させることは合理的なトレーニングであると結論できます。アスリートには負荷が弱い気もしますが。
以上がプランクへ与えられる妥当な解釈であると仮定した場合、「腹筋トレ」という文脈はどこから現れたのかが気になります。
恐らくは身体的弱者はプランクを腹筋にしか効かせられない、あるいは知能的弱者がプランクへ与えられた合理的な文脈を推論、ないしはその説明を理解できないことが影響したのではないかと考えます。
僕の言葉で言うなら「弱者の認識」です。大多数は生理的にか知能的にプランクへ妥当な解釈が与えられない、かつ、誤った解釈に疑問を感じることができない、故に誤解から早まった一般化が起こったのだろうと。
早まった一般化(はやまったいっぱんか、Hasty generalization)とは、形式的な誤謬または詭弁の一つ。以下のような論証形式の推論をいう。誤まった類推や類推の危険とも。
AはXである。
BもXである。
CもXである。
DもXである。
したがって、いかなる場合もXである。この形式は論理的に妥当でない。
閑話休題。
肩甲骨平面と小胸筋
小胸筋の構造から、それが強い場合は腕は下へ押さえつけると予想されます。
この解釈には見覚えがありませんか。
「肩甲骨平面」です。
小胸筋は構造的に肩甲骨の下方回旋と挙上を抑制し、前傾(≒上方回旋)と下制を起します。
この規則性(可動性)を視覚化した場合は、肩甲骨平面を図式化した下図と整合的であると考えられます。
一流ボクサーが肩甲骨平面内で腕を加速させられるのは、強い小胸筋と前鋸筋が引き起こす必然であると考えられます。
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この推論は以下の超一流ボクサーの四角い胸の形とも整合的に見えます。
一般的にGGGやジョーンズ、タイソンのようなハリのある、四角い胸をした人は希少で、下部のタレたお婆ちゃんの乳房のようになっているように思います。
それは小胸筋の弱さ故にだろうと推理しています。
以上は、長岡のパンチのスイングからその動作の非合理を導く構造を逆算した時の僕の頭の中で起こった論理的な展開です。
観察→一流との差を導出→問題の定義→それを導く前提を逆算→原因を仮定→複数の改善案を立案→それらの結果を予想し実験→予想と結果の乖離から原因の構造を再検討→前提を逆算→予想..
このルーブです。
例えば骨格やスイングの軌道など、一流と非一流の差を導く規則性が認知できれば、後は必然的に答えは引き寄せられてきます。
比較⇒問題の認知⇒仮定⇒試行錯誤⇒改善
以上を抽象した構造が練習には与えられるべきだと考える僕が、伝統的な反復を好むボクシングの慣習を嫌う理由です。非合理なガラクタだと感じます。
問題を認知したら、後は試行錯誤の手探りで未知の領域を探索するか、あるいは既知の領域へ長岡を誘導する方法を模索します(指導≒導く≠教える)。
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