
続き。
同型写像
2つの数学的対象が同型 (isomorphic) であるとは、それらの間に同型写像が存在することをいう。自己同型写像は始域と終域が同じ同型写像である。同型写像の興味は2つの同型な対象は写像を定義するのに使われる性質のみを使って区別できないという事実にある。したがって同型な対象はこれらの性質やその結果だけを考える限り同じものと考えてよい。
「同型写像」は、現時点では、対象(群)を「同じ」と見なせる認識規則の議論、と解釈しています。写像は対象と対象の間に見られる認識規則を一般化したもの。

同型写像を定義すると何が嬉しいのか。
恐らくは、「同じである」と認識する規則を定めておけば、未知の空間が既知の空間と同型であると判断できる場合に、既知の空間で発見されている法則を未知の空間に即座に応用できるからだと思います。
数学のような視認できない空間においては、そこへ何かを投げ込んで、跳ね返ってきた何かを元にその空間の構造を推理する必要があります。
既知と未知の空間の区別が直感だけでは簡単はないので、例えば、それを叩いた時の音や質感が同一なら、それらを同一と判断して良い、と定めたのだと思います。
f(ab)=f(a)f(b)(a,b∈G)
ある二つの要素に演算を行い、その結果を写像で送ったものと、二つの要素を写像で送って、その先で演算を行った結果が同じになる。
それが全単射になる場合は同型写像、そうでないなら準同型写像。
実数を実数へ送るのが同型写像。有理数を実数へ送るのが準同型写像。
定理
f(e)=f(e・e)(群定義)
f(e・e)=f(e)・f(e)(同型写像定義)
f(e)・f(e)=f(e)(推移律)
f(e)=e(同型写像定義)①
群Aを同型写像で群Bへ送ると、その単位元は同等になる。
e=e・e⁻¹(群定義)
f(e)=f(e・e⁻¹)=f(e)・f(e⁻¹)(同型写像定義)
e・e⁻¹=f(e)・e⁻¹(①)
f(e)・f(e⁻¹)=f(e)・f(e)⁻¹(群定義)
e⁻¹=f(e⁻¹)=f(e)⁻¹(一意性)
整数の-1と有理数の-1は群という枠組みでは常に同等。


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