システマチックなボクシングを考える その二

トレーニング戦略選手分析
システマチックなボクシングを考える
カネロのボクシングシステムが分かりやすいようにまとめました。 何度も解説しているので、詳解はしません。 1.左脇腹収縮攻撃ポジション 2.右脇腹収縮防御ポジション カネロは1と2を入れ替えながら相手に迫ります。1は、頭は相手に近いですが腰が...

システム化

理路整然としたボクシングを考える試み。

「強さとはこう」ならば「こうすれば強くなれる」と手順が用意され、ある程度の競技力の向上が保証されているなら、新規参入は容易になります。その規模を必然的に大きくできます。

下の動画は、カネロとロマが繰り返すパターンの僕の認知を視覚化しました。

一見すると、難しい動きの複合のようでいて、実際には単純な規則で動いているのが分かると思います。

僕の認識を一般化するなら、どの競技でも一流はワンパターンです。延々と同じことを繰り返します。
僕は10代の頃にサッカーにハマっていたのでですが、サッカーの点取り屋もワンパターンてす。
ピッチに入ってから出るまで、延々と同じことを繰り返しています。

しかし、それ故にミスをしないとも言えます。単純化しているからミスのしようがないわけです。

また、練習では同じパターンを繰り返して洗練させるだけなので、競技力の向上に必要な体力や時間などの資本を一点に投下し、成長にレバレッジを効かせられます。

蟻地獄戦略

ただし、彼らは単に単純だ、とはいい切れません。

カネロやロマは、彼らの得意な勝ちパターンへ相手を引きずり込む為の対応能力があります。すなわち、どう足掻こうとも砂が崩れ落ちて食われてしまう、蟻地獄のような戦略です。

一流は蟻地獄のようなスキルセット(≒論理的構造)によりボクシングシステムが構築されている、と僕は結論しています。

高度にシステム化され、徹底的に”ミス”が削減されています。重要なので繰り返しますが、一流は”ミス”を減らすパターンを共有しています。カネロやロマは典型です。

最後に注意点です。
恐らくはロマもカネロも意図して「蟻地獄戦略」を導いたのではないだろうと推理できます。すなわち、彼らが同じ形になったのは、恐竜の子孫である鳥と哺乳類のコウモリが「飛行」という戦略へ別々の道を通ってたどり着いたたような収斂進化です。

基本的には、意図したことは、意図した通りには実現できません。未来は予見不可能だからです。故に目的を達成するには紆余曲折があります。

紆余曲折の後で、彼らが同じような規則性を備えたのは、恐らくですが、一つは彼らが遺伝的に同じ前提を共有しているからです。その前提が自己増殖的に同じ技を引き寄せ、同じシステムを構築したのでしょう。

次に今を大切にしたこと。
すなわち、「今何が置きているのか」「今何を感じているのか」「今何ができるのか」を大切にしたということです。
こうすることで必然的に、彼らは彼らの得意なことに導かれたと推理できます。

「今、恐いと感じている」という心の状態は、頭で「恐いと感じるべきだから」と考えるからではなく、遺伝的な必然として、そうとしか感じられないものです。

同時に「今、どうすべきか」も感じられます。一旦引くのか、それとも相手にしがみついてでも不安から逃れるのか、は人それぞれです。かつ、それは感じることができだけで、思考でコントロールはできません。

また、それは自然体でそれは繰り返される行為です。

すなわち、自分自身に正直であり続けることを繰り返すことが、必然的に自分にとっての合理を引き寄せてくる、論理的な構造があるのだろうと、そして、彼らはそうしたのだろうとする推理です。

同じ事を繰り返すと徐々に勝手が分かってきます。また、その認識が起こると、必然的にそれを強化しようとする動機が生まれます。

自分に正直であることが自己強化の入り口。一流のボクサーやスポーツ選手、ないしは経営者の身勝手さを思い出してください。

因果関係としては
強い、ならば身勝手
ではなく
身勝手、ならば強くなれる
かもしれません。

子供はそうやって成長します。

結論。自分が感じていることを否定せず肯定してあげることが、ある得意なパターンの自然体による反復を起こさせ、必然的に戦略をシステム化していく。

ロマチェンコシステム
カネロの「振り子歩き」
カネロの攻防の要「振り子歩き」
ロマチェンコの守備を担保したジャブ

空気を読むよりも規則性を見つけるのが得意な人向けの本。パターンシーカーは得意なことに注力してください。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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