レイ・レナードの攻防一体その二

技術運動理論選手分析
レイ・レナードの攻防一体

レナードの動作から攻防一体を考えます。

股関節ロック

上に載せた動画は、レナードの脚が内旋内転し、真っ直ぐに床に接地しているのが分かると思います。頑丈な頸骨で体を反発させています。

ただし、内転筋が強い故に必然としてそうなっているのであり、レナードがこれを意識しているわけではないと考えます。

下に表示したように、頸骨と足の構造を繋ぐ部分は、それを包み込むようなソケットになっており、体重を支えるための構造であることが推察できます。
一方で腓骨には体重を支える構造がありません。

腓骨はその構造から、足首を回転させ頸骨の接地を補助する為のものだと推理できます。恐らく原始時代の地面は、現代のアスファルトやフローリングとは異なり、凸凹していてかなり走りにくかったのでしょう。

この文脈からならば、股関節の設計の意図が読み取れます。

内転筋腸腰筋に大腿骨を股関節を巻き込ませ、頑丈な頸骨で床を踏ませたいわけです。

また、この場合は大腿骨と骨盤を繋ぐ骨頭の構造から、ねじ込まれた大腿骨が骨盤の前傾を促し、また骨盤の前傾はハムケツを伸張すると推理できます。

以上の前提を踏まえた上でレナードの攻防一体を考みます。

 

攻防一体

以上の前提は、レナードの攻防一体と高速パンチの原理の一端を上手く説明してくれると思います。

内転筋腸腰筋(中臀筋)が生来的に強い→股関節が内旋内転でロックされる→踏み込みの接地を頸骨で制止できる→上半身に強い急ブレーキがかけられる

この連鎖反応はレナードの体のバランスを保ちディフェンスを担保しまます。

既述の筋肉が弱い場合は、体の勢いを制止させられずに頭が相手の方へ突っ込みます。すなわち広背筋やハムケツによるブレーキ効果が起こせずに拳の加速が甘くなる上にバランスが崩れて次のディフェンスの動作に支障をこたします。

この、内転筋腸腰筋による構造的な静と動の切り替えの上手さが所謂「動きのキレ」の正体であり、また「パンチは引く」の文脈であると考えられます。

広背筋とハムケツのSSCにより構造的にパンチが引かれているのを後解釈したのが「パンチは引く」なのでは?ということ。生来的にパンチが引かれる構造を持っている人の誤認である可能性です。

歩行では腕を振りますが、それは力学的な慣性や生理的な反射が勝手に起こしています。腕を振って歩くのではなく、勝手に振られるが正しいはず。

→ハムケツの伸長反射が上半身を引っ張る→ブレーキ効果により全身の運動量が左腕へ移動→拳が急加速

→接地の衝撃で反射的なハムケツのSSC→レナードの上半身が後ろへ引かれる

頸骨が床を踏む力によりハムケツSSC。接地時点で頭を後ろへ引く力があるから、相手の攻撃に対して即座に反応し回避できる。

バランスが崩れないから相手を凝視し続け冷静に対処できます。

股関節ロックが弱く頸骨で反発させられない場合は、バランスが悪いから相手の攻撃に対して対応できません。

そもそもを言えば、バランスが崩れると凝視が崩れるので自動制御が失われます。

股関節が強いからバランスが崩れない→バランスが崩れないから凝視できる

x.com

 

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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