ピログのかっこいいディフェンス その1

技術選手分析

十数年前はGGGとピログは影の王者でした。
今でこそGGGはメインストリームで大暴れし、ファンなら誰もが知っている怪物王者となりましたが、確か当時はセルヒオ・マルティネスがミドル級の主役で、GGGは見向きもされていませんでした。2chでドイツにやばいロシア人がいるって話題になっていたのを覚えています。
実力、実績の割に知名度が低く、また市場規模の小さな小国カザフスタン出身というハンデを背負っていたことから当時はGGGは避けられていました。
ピログもGGGと同じような状況だったと思います。

GGGは打法のアドバンテージでミドル級をなぎ倒していった一方でピログはテクニックで他のミドル級を退けていました。僕の所属する石田ジムの石田会長はピログともゴロフキンとも試合をしています。
両選手の比較の話も聞きましたが、想像の通りでGGGは前進の圧力や接触の強さを、ピログはディフェンスの巧さを記憶しているそうです。

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ピログのディフェンス

ピログは上のハイライトを見えれば分かる通り、典型的な強い骨格をしています。

軽い骨格

Direct Impact Dmitry Pirog Russia World Stock Photo 11732521 ...

腰椎がくびれて背中が盛り上がる骨格。
典型的な骨盤前傾型。

僕のパーソナルトレーニングを受けてくれた方で、特にディフェンス中心にされた方ならピログの骨格が上半身を軽くしてヘッドムーブメントを高速にしてくれることを知っているはずです。

僕のヘッドムーブメントもこの骨格のバランスが前提になっていて、みぞおちを潰す姿勢でないと速いヘッドムーブメントはできません。上半身の重さが股関節に集められ、力学的に身体が軽くなります。

重心と動きやすさ

同じ質量でも重さの配置(重心)によって動かしやすさは変わります。

同じように姿勢(骨格)によって体の動かしやすさは変化します。

これが分かりやすいですかね。
デッドリフト時に右と左どちらが軽いかって。

右の方が重心が股関節に近いので骨格の反発をりようしやすく持ち上げやすい。左は重心が股関節から遠いのでテコによりバーベルが重くなります。

僕は股関節に乗ると表現していますが、デービスやタイソンなどはピログと同じように上手く体重を股関節に乗せて体を軽く扱っています。だから彼らは爆発的に動くことができます。
これはパンチの動作だけでなくディフェンスも同じです。体を軽く扱える重さの配置(姿勢)があり、この配置の時に高速かつ自然(楽に)に頭を動かすことができます。

クロフォードとスペンスが対照的で、クロフォードは肩甲骨の上部が盛り上がった動きやすい骨格、姿勢をしています。スペンスは背中が伸びていて窮屈で体が動かしにいという印象を受けます。
僕はこの違いが両選手のクイックネスに影響したと見ています。

頭を不自然に前へ突っ込ませる前傾姿勢が体のポテンシャルを奪うのは上記の論理で体を重くしているからです。また前へ頭を突っ込ませる伝統的なディフェンスの動作は重心を股関節から遠くして(そうでない動作もある)、つまり体を重くしてディフェンスできない状況を敢えて作るという矛盾を生み出しています。
タイソンのような動作はバランスが変わりにくく荷重が股関節から抜けないので素早く動けます。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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