帰納と演繹と推論の妥当性

暇つぶしに見て
暇つぶしに見て

前回は「そういえば当たり前のように数学の証明の手続きを受け入れてしまっているけど、推論の確かさの定義ってどうなってんの」ってことで一通り調べて、一応の納得できました。

その時はそれで終わったのですが、ふと車の運転中に「『前提が全て真なら結論も真となる推論は妥当』。その心は?」と疑問が頭に浮かびました。
今回は「その心は」を学んでいきます。

ある論証が、前提が全て真であれば結論も必ず真となるような形になっている時、その論証を妥当(だとう、: Validity)であるという。

【妥当な論証の例】
全ての人間は死ぬ。
ソクラテスは人間である。
結論:ソクラテスは死ぬ。

Wikipedia
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妥当な推論規則

三段論法

下記の論証は「大前提」「小前提」という二つの命題から三つ目の命題である「結論」が導きだされています。
三つの命題を組み合わせる推論の基礎「三段論法」です。

全ての人間は死ぬ。

ソクラテスは人間である。

結論:ソクラテスは死ぬ。

さらに三段論法には以下のような推論が下地となっています。

帰納法

【帰納(きのう、: Induction、: επαγωγή(エパゴーゲー))】
とは、個別的・特殊的な事例から一般的・普遍的な規則法則を見出そうとする論理的推論の方法のこと。演繹においては前提が真であれば結論も必然的に真であるが、帰納においては前提が真であるからといって結論が真であることは保証されない。

【機能の限界】
一般的にいって帰納は、あくまでも確率・確度といった蓋然性の導出に留まる。例えば、「ネコaネズミを追いかける」「ネコbはネズミを追いかける」「ネコcはネズミを追いかける」という事例が幾つかあるので、「全てのネコはネズミを追いかける」と結論を下すとしよう。ここでは、自分が見たネコだけから「全てのネコ」という全称命題に範囲を飛躍させている。しかし、この先新たにネズミを追いかけない猫が発見される可能性は常にある。したがって、「全てのネコはネズミを追いかける」と定式化することには疑問が残る。

Wikipedia

帰納は個別の事例を多く集めてきて、統計的に確からしい結論を導き出す方法です。
当然ながら膨大にある事例を集めて全て検証することはできません。あくまでも確からしさの推論です。
帰納的に「生物は全て寿命がある」と結論できますが、くまなく地球を探せば不老のベニクラゲという例外が存在しています。あくまでも帰納による結論は蓋然性(確からしさ)に留まります。

ベニクラゲ類 (Turritopsis spp.) はヒドロ虫綱に属する、いわゆるクラゲの一グループである。日本には少なくとも未記載種を含め3種が生息すると考えられている。雌雄が性的に成熟した(有性生殖が可能な)個体がポリプ期へ退行可能という特徴的な生活環を持つことで、「不老不死のクラゲ」として知られる。世界中の温帯から熱帯にかけての海域に分布する。

Wikipedia

個別の事例:
「井上尚弥はボクサーで腕のみで戦う、長濱陸はボクサーで腕のみで戦う、マイク・タイソンはボクサーで腕のみで戦う」
因果関係:
「パッキャオはボクサーだ」
結論:
「パッキャオは腕しか使わない」

蓋然性はありますが、頭や肘を使う可能性があります。

個別の事例:
「私が生まれてからずっと平和だ」
因果関係:
「現代は平和な時代だ」
結論:
「明日も平和だ」
帰納による推論は統計的な蓋然性に留まり、明日戦争が起こることは排除できません。

演繹法

演繹(えんえき、: deduction)】
は、一般的・普遍的な前提から、より個別的・特殊的な結論を得る論理的推論の方法である。
帰納に於ける前提と結論の導出関係が「蓋然的」に正しいとされるのみであるのに対し、演繹の導出関係は、その前提を認めるなら、「絶対的」「必然的」に正しい。したがって理論上は、前提が間違っていたり適切でない前提が用いられたりした場合には、誤った結論が導き出されることになる。近代では、演繹法とは記号論理学によって記述できる論法の事を指す。

Wikipedia

前提となる理論が真である限り、演繹により導いた結論は真となります。
「質量に関係なく重力の加速度は9.80665 m / s2 で不変」という万有引力の法則が真なら、宇宙のどんな物質も重力以外が加わえられていない状態で同じ高さから落下させた場合、同じ速度で床に引き寄せられ同時に接地します。

大前提:
「物質なら重力加速度は不変だ」
小前提:
「鉄と羽毛は物質だ」
結論:
「鉄と羽毛の重力加速度は同じだ」

三段論法と推論の妥当性

上記の演繹による推論を一般化したのが「妥当性」の定義となっています。

論理学のおもな任務は、演繹の具体的構造を解明することにほかならない。
西洋ではアリストテレス式三段論法が論理学の主流であったが、19世紀末になると、数学、とくに集合論の発達と相まって新しい論理学が生まれ、現在では三段論法の範囲をはるかに超えるいろいろの形式の演繹が、数理論理学として、数学と結び付いて盛んに研究されている。
[石本 新]

コトバンク

要するに、三段論法による推論の法則性を解き明かすのが論理学であり数学で、現代は三段論法が拡張され、様々な演繹の形式が発見されていると。

大前提:
「●は日本人である」
小前提:
「日本人はアジア人である」
結論:
「●はアジア人である」

集合は推論規則を一般化した概念が集合ってことなのかな。
とりあえず「推論の妥当性」は演繹を一般化したものだと理解して今日は終わります。

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この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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