自然数の演算の閉性

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自然数が群であることを証明します。

ここまでの道筋としてはこんな感じ。
「数について学ぼう→n次元数空間を知る→n次元数空間はベクトル空間の概念が適用される→ベクトル空間の線形変換には行列の概念が必要→行列積は連立方程式の応用→演算て何→集合論を知らなきゃ理解できそうもない→群」
という順序です。

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群の証明

自然数が群であることを証明するために群と自然数の定義を復習します。
群はまず二項演算が適用できることを要請しています。
二項演算とは二つの元(集合の要素)を入力するとその二つと同じ集合(閉性)の中の一つを写し出す写像のことです。

二項演算は今から証明していく自然数の乗法、加法を一般化させた概念です。
定義が以下のようになっているのは、こうやってを定義した方が人間が数学という手続きを通して世界を理解しやいからです。人間の都合で決められています。

さらに群では二項演算が適用できることに加えて以下の定義を満たすことを要請しています。

結合法則
$\forall x,y,z \in G,(x\cdot y)\cdot z = x\cdot(y\cdot z)$
単位元の存在
$\exists e \in G,\forall a \in G,a\cdot e = e\cdot a = a$
逆元の存在
$\forall a \in G,\exists x \in G,a \cdot x = x \cdot a = e$

証明

まずは二項演算が閉じている証明から。
自然数の二項演算の閉性は別の記事でも証明していますが、自分の為に復習します。

自然数の定義は以下のようになっていて、当たり前ですが閉じています。
まず群があって、それに当てはめるように自然数を定義したのか、まず自然数があってそれを抽象化した結果、群の定義が生まれてきたのかの因果関係は面倒なので遡りませんが、恐らく後者です。

何もない所から「群」という概念を発想できるのはどれだけ知能が高くても人間には無理で、できるのは神だけでしょう。
自然数という概念を抽象化し拡張した結果、群が生まれてきたはずです。

加法

自然数の加法の定義
$a \in \mathbb N;a + 1 = S(a)$
$a,b \in \mathbb N;a + S(b) =S(a + b) $

このややこしい定義の肝は1行目、郡となる集合には常に後者があること、2行目二項演算が後者関数に押し込んで完結させられること。こうすることで二項演算の結果は常に同一の集合の元を写すことが論理的に説明できます。

具体例を挙げます。
1 + 2 = 3
2は1の後者なので(1)に変換し、さらに定義通りに式を変形します。
1 + (1) = (1 + 1) = ((1)) = 3

上記の定義なら自然数の加法であれば常に以下のように変換できます。
$(((((1)))))… = x \in \mathbb N$
どれだけ後者関数を重ねたとしても、それは常に起点となる1か0の後者です。
つまりそれは自然数なので閉じていることが証明できます。

乗法

乗法の定義
$a \in \mathbb N; a × 0 = 0$
$a \in \mathbb N;a × suc(b) = (a × b) + a$

suc()は後者関数。

まず大切なのは二行目。
僕なりの解釈なのでもしかしたら違うのかもしれませんが、ここは少しややこしい論理で乗法が加法へ変換きることを定義しています。

群は「閉じている」ことが要請されているので、上記の乗法の定義の着地点としては既述の加法の定義のように、演算の結果が後者関数の中に閉じ込められるようにしたいわけです。

簡単な例を挙げます。
自然数から二つ2,4を選び、それを上の定義通りに変換。
2 × 4 = 2 × (3) = (2 × (3)) + 2
また2,3は自然数なので後者関数を使って以下のように表現しなおせます。
(2 × (3)) + 2 = ((1) × (((1)))) + (1)
同じ論理で変形
(1) × (((1))) + (1) = ((1) × (1)) + (1) + (1)
(1) × (((1))) + (1) = ((1) × 1) + (1) + (1) +(1)
(1) × (((1))) + (1) = (1) + (1) + (1) + (1)
加法の定義S(a) = a + 1で展開
(1) × (((1))) + (1) = 1 + 1 +1 +1 +1 + 1 + 1 + 1 = (((((((1)))))))
となります。
ややこしいですが
4 × 2 = 8 = (((((((1)))))))
となります。

このように少し複雑ですが、乗法を加法へ加法から閉性へという論理です。

乗法が加法で説明できるということは、それは群の定義「閉性」を満たすことになります。

一行目に関してですが、0だけは特殊な振る舞いをしてほしいので、0だけの定義を用意しているのだと考えられます。

閉性の定義を簡単な論理で完結させていまう感性はかっこいいですよね。
芸術的な美しさを感じました。

ペアノさんすげぇ。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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