地球上には誰にでも平等に利用できる重力と慣性力が存在するとお話しましたが、その続きです。
上記のエネルギーを利用することは人間の運動における合理性であり、その証明としてそれらを利用するサイレントピリオドという筋弛緩の仕組みがあると解説していきます。が、その前に慣性力の利用とはどういう意味なのかお話します。
慣性力の利用
運動を記述する方程式
大きな物体の運動を記述する方程式には以下の二つがあります。
どの式もm(質量)とv(速度)という二つの変数で構成されています。
話しを簡単にするためにエネルギーを使って解説します。
使えるエネルギーが一定だと仮定した場合、質量mを小さくすると速度vの値は増していきます。
同じエネルギーを使ったとしても軽いものの方が速く動かせるってことですね。
相手の頭部に運動エネルギーを与えて強く揺らすと脳震盪を引き起こすことができます。
脳を揺らす仕事をするのは拳です。
なのでエネルギーは拳に集中させる必要があります。
僕が引っ張り打法、体当たりパンチと表現している理由の一つは仕事を行う拳にエネルギーを集中させられていないことの問題を指摘するためです。
体当たりによりエネルギーが全身に分散されてしまって、相手の頭部を揺らす仕事をする拳のエネルギーが小さくなります。
例えば完全な運動連鎖を起こせる人は、拳の衝突によって全身の質量を動かすのに利用していたエネルギーを相手の頭部に移すことができます。
全身の質量を動かせる量の運動エネルギーで相手の頭部を揺らすってことです。
片脚で利用できるエネルギーでも最大限利用できれば自重くらいなら弾き飛ばせます。
それを拳に集中することができたら。
どれほど強烈な一撃か想像してください。
一方で引っ張り打法により一定量腰を回す癖がついて不完全な運動連鎖により拳にエネルギーを集中させられない場合、体幹によって引き出した運動エネルギーの一部が拳で相手の頭部を揺らす仕事をしている間に残りは体幹を回転させる仕事もこなしていることになります。
押すようなパンチになって時間当たりの仕事が小さくなり撃力が弱くなります。
僕が思う手打ちによる最高のパンチはコンスタンチン・チューです。
末端の拳が凄まじい運動量を持っていることが映像からも伝わってきます。
体幹のエネルギーを拳へ集中させた結果です。
以下映像の方が分かりやすいと思うので簡単にシミュレーションしてみました。
鞭のようにしならせて運動連鎖が起こる場合そうでない場合です。
左下に表示されているの末端の振り子の速度です。
このシミュレーションでは末端の振り子全体の速度を計測しています。
振り子の先端の速度に限定すればこのシミュレーションの数値以上に速度が出ます。
※後で気がつきましたが修正する気力がありませんでした
スライドして2つの動画が確認できます。
以下の動画はスローモーションで動画を再生してしています。
相対的な速度の違いがブレーキ効果(慣性力)による振り子の回転運動を引き起こし運動エネルギーを末端の振り子に伝達し加速させています。
振り子全体を動かしていた重力による運動エネルギーをどんどん末端の振り子に集中していくから速度が上がっているわけです。
以下のTwitterの動画は慣性力による加速をシミュレーションしました。
ブレーキの力以外の変数は全て同じです。
Twitterにも書いていますが、腰を回すのような意識ではこの制止が効きません。
意識が知覚できるフレームレイトを超えています。
運動エネルギーの伝達を効率的に行うためには、意識は一旦どこかへ追いやってしまって、自動システムによる自動制御プログラムを起動する必要があります。
引っ張り打法による意識的な腰の回転を反復することの弊害は実戦で顕著に表れると思います。
同じ距離、同じ角度でしか打てないから慣れていない相手だと攻撃するタイミングを逸する。
本番で力が出せない原因、つまり勝負強さにも繋がっている可能性もあります。
コメント
全然関係ないですがフックをあてるとき縦拳で当てるのがいいのか横拳で当てるのがいいのか知りたいです。
あとゴロフキン選手のロシアン左フックボディは通常の拳と逆(手の甲を上)で打つことがありますがあれはどうしてなのか知りたいです(個人的にあの打ち方だと手を下げずに打てるから相手に読まれにくいのかな?)
股関節の強さに起因した骨盤の回転力が関係しているとは思いますが考え方がまとまっていません。
一貫した答えを見つけたらここで発信します。