運動の本質 ネコ科の脱力に刮目せよ

運動理論
運動理論

僕は猫を家で飼育しています。
『リンク』と名付けて愛でています。

僕はリンクから本当に多くのことを学ぶんです。
特に身体の使い方ですね。
ネコ科や爬虫類は本当にトンデモない体の使い方をしています。

その一つが「脱力」です。
必要な筋は最大出力しながら、不要な筋は脱力し身体をしならせる。
リンクは超高度な最高の運動の技術を持っています。

だからこそ、あの信じがたい跳躍が実現できるんです。

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脱力に隠された運動の本質

別の機会に脱力の力学的、生理学的な重要性についてお話したいと思いますが、今回は少しだけそれついて解説してみます。
「何故、ウサイン・ボルトはふにゃふにゃ走るのか」「何故、猫やトカゲの体はふにゃふにゃなのか」の答えだと考えています。

脱力が大切なのは力学的には身体の質量(重さ)の持つエネルギーを効率よく使えるという理由があります。
腕だけを振るより、ハンマーを握った状態で腕を振る方が振りやすいですよね(ハンマーの質量も当然要因)。
それは何故かと言うと、ハンマーには筋肉がなく脱力(無駄な力の干渉を受けない)しているからです。
無駄な力に干渉されないので重さを感じやすく、重さを感じられると振り回せます。

特殊な人間を作りました。
こんな風にハンマー投げをしても少しもハンマーは飛んで行かないことが理解できるでしょうか。
ゴムの縮もうとする力がハンマーを飛ばそうとする力に干渉してしまうからです。人間の身体にも同様の事が起こります。

運動が下手な人は力を抜くべき筋に力が入ってしまって、発揮した力にそれが干渉して本来の力が失われてしまっているんです。
運動が苦手な人の動きはなんだかカクカクとアンバランスでぎこちない印象を受けますが、一つは無駄な筋の力みが原因だと僕は考えています。
逆に運動が上手い人は無駄な力が抜けていて自然体で滑らかに動きますよね。

この図のように、関節は基本的に対になった筋肉が回転させています。

上腕二頭筋がいくら収縮して強く腕を曲げようとしていても、上腕三頭筋が力んで収縮していると、その力を阻害してしまいます。

無駄な力が干渉しているので、腕の重みをハンマーのように振り回せません。

話を戻します。
ハンマーの重さを利用してそれを振り回すように、猫は脱力しその身体の重さを振り回します。
重さに備わったエネルギーを利用しているんです。
重さに備わるエネルギーとは重力による位置エネルギーのことです。

それには脱力が必要になります。

身体の重さを使う

身体って本当は滅茶苦茶重いんです。
病気で寝込んでいる時って普段より身体が重く感じますよね。
完全に脱力して筋肉が身体を支えられない時の身体の重さは本来あれくらい感じるはずなんです。
普段から僕達は『力み癖』があって筋肉に余計な力が入っているので、その重さを感じることができないのだと思います。
意識していないとこの『力み癖』に気がつくこともないと思います。
僕の考えるスポーツ上達の第一歩はこの力み癖を直すことです。

是非、今身体の感覚に集中してみてください。
肩や背中に力が入っていませんか?
腕の重さを肩に感じますか?
骨盤で上半身の重みを感じますか?
横になって病気の時の身体の重さを再現できますか?
多分できないだろうと思います。

普段から身体の重みを実感できる人は達人です。
僕は現在これに挑戦中です。
最近は肩や腰に上半身や腕の重さを感じられるようになりました。
下半身は立つためにある程度力が必要なのでとても難しいです。

リンクの跳躍に刮目せよ

リンクに話を戻します。
リンクはジャンプをする時に力を抜いて身体重心を落下させます。
この瞬間に必要な部分の筋以外は脱力しているので、骨格筋や内臓(腹圧を下げて内臓の重みも利用している考えます)は引き伸ばされながらその重さによって地面へ向かって落下します。
僕はリンクの気持ちや感覚は想像するしかありませんが、この時リンクは自分の筋や内臓が引っ張られれて、「ゴルジ腱器官」や「筋紡錘」などの感覚器官から入力される身体の重みを感じていると思います。
僕達が丁度ハンマーを持った時に感じるような筋肉や腱が伸ばされる感覚です。

感覚器官の詳細はこちらの記事を参照ください

全身の筋を緩めることで全身の骨格筋や関節、内臓の質量が落下するので、力んでいる時より大きな位置エネルギーを利用することができます。
作用反作用の法則により、地面に加えたのと同じだけの力が返ってきます。

オレンジは重心

リンクは肩甲骨もぐにゃぐにゃに脱力しているので、その可動域の分だけ体幹が落下します。
高いところから落とした方がゴムボールはよく跳ねますよね。
体幹も同じように長い距離落下させた方が地面反力が大きくなります。

画像の肩甲骨の部分を見てください。
体幹を地面へ落下させる直前は肩の部分は細くなっていますよね。

屈んだ瞬間に肩の部分の厚みが増しているのが分かります。
この厚みは肩甲骨です。

これだけ肩甲骨が柔らかく動いているということです。

自分の腕の重みをハンマーの重みのように感じられると、その重みを振り回せるようになります。
そして自分の身体の重みを感じられるとバスケットボールを叩きつける時のように体重を地面へ戦いつけられます。
つまり全身を凶器にできるんです。

逆に重みを感じられないと風船を振り回しているように腕の力が空回りします。

この場面のボルト選手は肩甲骨の部分が盛り上がっています。

体重によって肩甲骨周辺の腱に弾性エネルギーが貯蔵されます。
このエネルギーを使って一気に身体を起こして一気に前へ身体を推進します。

チーターの体幹のしなりに刮目せよ

ネコ科の動物の体はよく伸び縮みします。
リンクも持ち上げると重みによって体幹がバネのようにビヨーンと伸びます。
体感的には体長が1.2倍は変わります。

一言で表すと「全身バネ」です。
それではネコ科最高のバネを持つ全身バネ動物のチーターの走りに刮目します。

チーターの走り ダイジェスト Wild Animals in Africa / The cheetah is the fastest animal on land

上の動画がとても分かりやすいと思います。
背骨がしなっています。
どうやってしなりを推進力に変えているかを簡単に説明します。

慣性力は簡単に言うと急に車が止まった時に感じる力のことです。
前足でブレーキをかけた時の後ろ足の慣性力を全身の腱や靭帯に蓄えて、それを次の動作のエネルギーとして再利用しています。

基本的にチーターの走りのエネルギーを生み出すのは体幹部です。
脊椎のしなりを肩甲骨と股関節を通して足へ、足を通して地面へ伝えているんです。

接地の瞬間と地面を蹴り上げる瞬間以外は脱力し大きな質量をもつ肩甲骨と股関節を大きく移動させます。
今度はチーターの気持ちになって想像してみます。
多分、チーターは自分の肩甲骨と股関節の重さを僕たちがハンマーを振り回している時のように感じているはずです。
股関節の重さを地面へ叩きつけて、投げ出した肩甲骨によって前方へ引っ張られるような感覚があると僕は考えています。

つまりチーターは脱力して股関節の質量を押し付けて地面反力を大きくし、肩甲骨の重みをへ放り投げて、それに引っ張られるように推進しているんです。
もし無駄な力みがあると、股関節や肩甲骨を中心へ引き寄せられませんし、股関節や肩甲骨が筋に引っ張られてしまうので遠くへ放り投げられません。

チーターは生来持っているの関節の可動域に加えて脱力という超高度な技術を利用して、あの走りを実現しているんです。

ふにゃふにゃなボルト

人間もネコ科の動物と同様に体幹をしならせることができます。
僕はその典型がウサイン・ボルト選手ではないかと考えています。
他のどの競技の選手と比べてもふにゃふにゃに走っています。
必要のない筋肉は脱力させ関節を分離して動かす技術を持っているからです。

僕が陸上などのシンプルな競技へ着目する理由はそこです。
運動の本質的な原理が隠されています。

この背骨のしなりを見てください。

地面を蹴った瞬間に、チーターが肩甲骨を前へ投げ出すようにみぞおちを前へ突き出して上半身の重みが前へ移動しています。
これは身体重心の移動を推進力へ変化させている証拠です。

ボルト選手は生来の柔軟性に加えて、脱力という高度な技術があるんです。

こちらの記事で少しだけ解説しています

僕はすれ違う人のフィジカルを分析するのが趣味なんです(歩行のリズムと癖がその人の身体能力のベースを決めるという独自の理論を持っています)が、僕が分析した結果だと9割以上の確率で体幹部の力み癖があります。

またしてもボルト選手を例に出しますが、上の動画の1分10秒くらいの練習のインターバルでふにゃふにゃと歩くボルト選手を見てください。
脊椎は歩行時の体重の移動に合わせて左右に回旋していますし、特に肩は顕著で歩行に合わせて垂れ下がるように質量が落下しています。

これがボルト選手の身体能力のベースです。

ボルト選手は歩行と同様に走行時にも肩が信じられないほど落下します。

この場面は耳の辺りにまで肩があります。
この瞬間は全身が肩の重みに引っ張られます。

右足の接地と同時に肩が大きく落下します。
これは肩の質量の落下の分だけ地面へ力を加えられている証拠です。

この関節の技術あるからこそ大きな地面反力を受けて、圧倒的なストライドが稼げます。

力は波で伝わる

電磁波、重力波、音波などマクロで見れば力は波で伝わります

全身の位置エネルギーを地面へ、そして地面からの力を拳へ伝えるための波(しなり)を習得することがスポーツの上達において必要不可欠だと僕は勝手に結論しています。

一見すると波に見えない動作、例えば垂直飛びや走り。
これも抽象化してみれば股関節を中心とした波です。
脊椎をボルト選手みたいに一つ一つ分離できれば鞭のような波(しなり)を生み出せます。

いかにして運動に動員する関節を増やすか、自分の動作に波を組み込むか、波を強調できるかが爆発的な運動のカギです。

まとめ

僕は子供の頃から些細なことを抽象化し果てしもなく壮大なことにまで一般化することが大好きです。
今回は猫の動きを力の伝達にまで一般化するという馬鹿げたことを考えてみました。
僕の妻のように読者の皆様を呆れさせてしまったのではないかと不安に感じています。

以下大切なことをまとめます。

・脱力して全身の重みを日常的に感じることが達人への第一歩
重みを感じることができれば全身を凶器にできる。

・それができたら関節の分離(不要な筋の脱力)をする
関節の重みを任意の方向へ動かしてエネルギーへ変換できる。

・動物の原動力は足ではなく体幹
力の伝達には波を使う。

もう一つ壮大な話。

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力学を理解するアドバンテージは大きい

力学でひも解く格闘技

難しい数学はなく、簡単な具体例と図で説明してくれているので入門にピッタリです。

スポーツバイオメカニクス


僕のボクシングを考える時のベースです。
新しい動きやトレーナーのいうことが正しいか判断を行う時のベースとなります。
具体例など簡単な説明はありません。
全て数学で説明されます。
そうとうな根気がないと読めません。

大学生のための力学入門


バイオメカニクスを考える時のベースの知識です。
小難しい話なので数学や物理が苦手な方には難しい、というか挫折します。
僕みたいに尋常ならざる数学や力学に関する興味がないと読み進めることはできません。
でもこれより身の回りの現象を合理的に説明する方法はありません。

Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人
ストイック長濱

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
WBC世界同級34位
WBO-AP同級3位
角海老宝石ジム所属

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