パンチ力は才能なのか?

トレーニング

今回は『才能とは?』という話をしてみたいと思います。
このブログの読者様は人気記事の傾向から競技者、または公式戦は出ないまでもアマチュア競技としてやっている方が多いのかな?と思っています。

このブログの目的は『生体力学』や『運動生理学』『解剖学』、『戦略』の授業ではありません。
僕は勉強を始めたばかり、毎日が発見ばかりです。
間違っていることもあるかもしれません。

このブログによって上記の分野に興味を持ち、そして『自分で考える』きっかけにして頂ければと思っています。
僕は無知な指導者が選手の可能性を奪う悲しい場面に何度も遭遇しています。
そうではないと陰では否定しますが、真に受けてしまって自信を失ってしまう選手もいるはずです。
自分自身の可能性を指導者や周りの人間に奪われることのないように、そんな力をつけるきっかけにしてほしい、微力ながらボクシング競技力の向上に繋がればと思っています。

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パンチ力は生まれつきなの?

こんな風に教えられることも多いと思いですよね。
僕も最初、『長濱はパンチはないけど。フットワークがいいから、アウトボクサーだな』と言われました。
生意気にも『嫌だわ、ばか』と思えたのは幸いだっとさえ今では思います。

こんな戯言を真に受けるのはやめましょう。
こんなことを言う人たちは一体何が『才能』であるか。
どんな原理で人が運動を行っているのか理解しようともしていないんです。

ここで注意したいのは『才能』、つまり先天的特性の違いは当然あるということです。
腸腰筋が強靭な黒人選手はスプリントに強いですし、関節もかなり柔軟なので運動に有利に見えます。

確かに先天的な違いはあるはずです。
だけど、黒人選手全て足が速いとかパンチがあるわけではありません。
才能があってもその力を使えないなんてことはあるわけです。

そして一目見ただけで分かる才能なんてものは限られています。
『平凡な選手』はもしかしたらその使い方を知らないだけで、才能あふれる選手かもしれないんです。
僕だって運動は苦手で足は遅かった。

でも今は運動が得意です。
走りも自信をつけました。

だから昔の僕を知っている人はプロボクサーであるとか、東洋太平洋チャンピオンであるという事実に驚きます。
運動をするタイプに見えなかったからです。

速筋と遅筋の比率?

筋繊維のタイプは主に2種類あり、遅筋(Type I)と速筋(Type II)の比率の話が才能の議論で登場します。
『黒人選手は速筋繊維の割合が高い』とかですね。
そのことについて簡単にお話します。

少し古い研究調査で、双子の速筋と遅筋の筋繊維のタイプ別の比率を調べたところ高い相関関係が見られたそうなんです。
その事実により速筋と遅筋の比率は遺伝子によって決まると考えられていたのでした。

しかし、最近の研究では全く違う結果が報告されています。
カリフォルニア州立大学のガルピン(Galpin)の研究チームが、上記のような似通った生活習慣を持つ双子ではなく、全く異なる生活習慣を持つ双子のグループを調査しました。
すると異なる筋繊維のタイプを持っているという結果が示されたんです。

この事実は何を示しているのか、それはまだはっきりと分かりません。
しかし速筋と遅筋の比率を決定するのは遺伝だけではないということが言えるはずです。
そして、それは生活習慣に依存すると考えることもできるのです。
つまり遅筋から速筋またはその逆の変化が起こるかもしれないと。
その変化の速さは遺伝子によって違うのかもしれません。
それはもしかすると、才能なのかもしれません。
だけど一つ言えるのは、習慣によって筋繊維のタイプは変えることができるということです。

引用:Galpin 2018

生まれ持った身体特性に合わせた戦略を用意し、正しい鍛錬を積めば。
僕はそう感じています。

小柄な中国人スプリンター、蘇炳添選手は体格差、人種の違いを毎年色んな走り方を試行錯誤し少しづつ克服してきました。

蘇炳添(日本語 ソヘイテン 英語 Su Bingtian)

ボルト選手の走りの戦略はふにゃふにゃとしていてどの一流選手とも異なります。
身長などの身体特性を活かした戦略をとっています。

ウサイン・ボルト選手のスティフネスについて

体性感覚とリズム

客観的に自分の才能を知ることって難しいです。
体を解剖するとか精密検査を受けるとか普通の人にはできません。
先天的な才能は一つではないし、人によってその組み合わせが異なります。
僕は天才という言葉を疑うきっかけがありました。

それはスイミングスクールの授業でのことです。
僕は運動があまり得意ではありませんでしたが、友達の誘いで通い始めました。
そしてある日、ある感覚を掴みました。
ある動作で泳ぐと『なんか知らんけどスピードに乗れるな』って、その後にあえてスピードを出そうとせず『この感覚に集中するスピードに乗れるな』って感覚です。
そこから運動に関する認識が変わってきたと思います。
水泳でもメキメキ腕を上げ、選手コースに選抜され小学生ながら中学生と競うようになれたんです。
速く動いたり強く動くにはコツがいるな』って認識がまずは重要です。

だから僕は常に速く走っている時、速く動けるときの『感覚』を大切にしています。
そしてその感覚を起こしやすい『リズム』があることにも気がつきました。
そのリズムを言語化すれば再現性を高めることができます。

ワンツーの時の僕のリズムです。
文字の大きさはデクレッシェンド(次第に強く)です。
運動にはリズムがあります。
僕の体感として走っている時にも加速していくリズムがあります。
スピードをあげようとせず、そのリズムに集中しているとスピードが上がっていきます。

一流選手は強く速く動いている時に体が連動させる体性感覚を持っているはずなんです。

パンチがないとかスピードが遅い選手はきっとこの感覚を持っていいない。
または間違った方法を教えられ間違った反復練習によって間違った感覚を覚えてしまっているんだと思います。

初めて走った時に偶然正しい体の連動の感覚を覚えることができた選手は、その後走る度に走りに適した筋肉、感覚を自然と鍛錬できます。
天才ってやつです。

まとめ

無知な指導者に才能を奪わせないためには正しい知識、認識が必要。
体の使い方を学び、その方法で体が動いている時の体性感覚に集中する。

パンチ力は才能だけじゃない!

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僕みたいに尋常ならざる数学や力学に関する興味がないと読み進めることはできません。
でもこれより身の回りの現象を合理的に説明する方法はありません。

Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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