負けない戦略 スポイラー

戦略技術選手分析
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負けない戦いをする選手

スポイラーとは相手の良さを消してしまう、受け身の戦いで相手を封じる選手を揶揄して使われたりします。
使いやすいので単純に相手の良さを消す選手のことを今後スポイラーと呼びます。

負けない戦略を駆使するスポイラーの戦術を分析してみます。

フロイド・メイウェザー

史上初めて無敗のまま5階級制覇を達成した選手で50戦全勝。
最強と呼ばれるので鬼のような選手を想像しますが、この選手もスポイラーで負けない方法を熟知しています。

以下のページで負けない方法については解説しています。

P4P最高ランク第1位

アンドレ・ウォード

32戦全勝のまま引退した元スーパーミドル級2団体、元ライトヘビー級3団体王者です。
この選手のスタイルは「ダーティータクティクス(汚い戦術)」と揶揄されたりします。

P4P最高ランク第1位

引用:ESPN P4P

youtubeで「andre ward dirty tactics(アンドレ・ウォード 汚い戦術)」で検索してみてください。

こんな感じ…
「アンドレ・ウォードは汚いファイター?」とか
結構やばい。

何故こんな風に言われてしまうかといえば以下の戦術を使うからです。
その戦術について少し見ていきます

レスリング

海外メディアだとよくレスリングと揶揄されていました。
接近してから相手の腕を掴んだり、潜り込んで頭を押し込んだりとあの手この手です。
ボクシングの練習している”ボクサー”には残念ながら対抗が難しいんです。

こんな感じ。
「UFC行け」とか「ウォードはホールド&ランニング」とか。
コバレフⅡは僕は見ていたんですが、アウトサイドとインサイドのメリハリがあってコバレフ選手を翻弄し、ウォード選手の頭脳と技術が光った試合でした。
汚い戦術を多用していたのも事実です。

ダッキング

かなり低く、時にベルトラインより低くダッキングします。
ベルトラインより下への攻撃はボクシングでは禁止されていて普段練習することがありません。
だからベルトラインより低いダッキングには攻撃手段がないんです。
本来反則ですが、何故か普通に行われています。
相手の攻撃をこれで躱すとすかさず身を寄せてきて、レスリングとボクシングを組み合わせたウォード選手の土俵に引きずり込みます。

「duck low boxing(低いダッキング ボクシング)」で検索した結果。

「低いダッキングは反則じゃないの?」とか「なんでレフリーは罰則しないの?」みたいな記事が沢山出てきます。
後程言及しますが、競技者目線、ファン目線のどちらにしてもうっとおしい。

フットワーク

ダーティータクティクスばかり取り上げてきましたが、ウォード選手はアテネオリンピック優勝が示す通り高い技術があります!

その一つがフットワークと距離感。
コバレフⅡは超のつく強打者コバレフ選手が得意とするストレートがギリギリ届かない距離に留まりジャブ、コバレフ選手を引き込んで接近戦。
一度インサイドに引き込むとしつこく削っていきました。

頭いいなあと思って見ていました。

ジャブ

このジャブもコバレフ選手との試合で常に有効でした。
遠い距離からジャブ、これが当たるからコバレフ選手も焦って余裕を失っちゃうわけなんです。
挽回しようとしていつもの型を崩して強引に踏み込む。
バランスが崩れたところをウォード選手が得意な”レスリング”に持ち込まれる。
ウォード選手の型にはめられてしまいました。

コバレフ選手を応援していましたがウォード選手のプランは用意周到、完璧でしたね。

スピード

これが上記の全ての戦術を強化しています。

バーナード・ホプキンス

49歳3か月で世界王者に輝き最年長世界王者の記録を更新しました。
史上初の主要4団体統一王者であり、ミドル級20度防衛で単独首位の記録、さらにミドル級からライトヘビー級までの3階級制覇を達成した偉人です。
どんな選手なのかホプキンス選手はとてもキャリアが長いので僕が知っている晩年に話を限りますので悪しからず。

過去25年間を総合したP4Pランク第3位

晩年のホプキンス選手はスピードやパワーがあるわけではありませんが、長年培ってきた経験と頭脳、そして技術で勝負しました。
僕が最も恐れている目に「見えない武器」を最大限組み合わせて最善の戦略を用意していました。

クリンチ

ホプキンス選手はウォード選手と似ています。
ウォード選手ほど圧倒的な”レスリングスキル”はありませんが、打ち終わりは体を寄せて相手のパンチの空間を潰します。

柴田トレーナーによるとホプキンス選手はレスリングの練習も熱心にしていたとか。

フットワーク

基本的に相手のパンチが届かない距離に留まっていますが、攻撃する時は一気に踏み込んでいきます。
この時顎引いて頭から突っ込んでいきます。
カシメロ選手のページでも説明していますが、頭から突っ込むのは効果的なんです。

ダッキング

低いダッキングがあります。
対応が遅れたりするとすかさず低くダッキング、そこから体を寄せてパンチの空間を潰しながら得意のインファイト。
これがあるから相手は迂闊に踏み込んでいけなくなります。

ギレルモ・リゴンドウ

スーパーバンタム級とバンタム級の2階級制覇。
オリンピック2連覇の偉人。
バンタム級で井上選手を狙っているみたいです。
戦い方は以下のページにまとめています。

うるさくジャブを出しながら相手が出るのを待ってカウンター。
カウンターのタイミングを掴めなかったら低いダッキングで躱して相手のパンチの届かない距離へ退散。
仕切り直して「ジャブジャブジャブ、カウンターの繰り返し」疲れたらひたすらピボットを繰り返して相手を遠ざけます。
自らリスクは冒さず相手の良さを消していく完全な『スポイラー』です。

スピードとパワーがリゴンドウ選手の他の戦術を強化しています。

P4Pランキングは説得力のあるサイトが見つけられませんでした。

スポイラー vs. スポイラー

僕の言いたいこと分かりますかね。
この見出しを見たら分かる方には分かると思います。

そう、ここからが本題になります。
確かに上記の選手たちの使う『スキル』を組みあせた『スキルセット』は強い、いや強いというか負けない。

じゃあみんながこれやったらどうしますか?
選手がリングで向かい合ってペコペコしてるだけの試合みたいですか?
離れて延々リングを周回しているのを見たいですか?

問題はここなんですよ。
確かに負けない戦略ですが、誰が見たいのか。
僕は一ファンとして見たいとは思いません。

フロイド・メイウェザー選手が人気なのは半分は『メイウェザーが好きなファン』で、もう半分は『メイウェザーが倒されるのが見たい』ファンです。

でもこの構図って一方がマニー・パッキャオ選手でないと成立しませんよね。
つまりスポイラーが増えるとビジネスが成立しなくなっちゃうんです。
金にならないとボクシングなんてやる人はいません。

言いすぎました。
いるとは思いますが、素質のある選手は他のスポーツやった方がいいと考えます。
ファンも退屈な試合を見るくらいなら別の激しくてエキサイトできるスポーツ見ますよね。
そのために金を払っているんですから。

まとめ

スポイラーが増えすぎるとやばい。
ボクシング終わる。

今回は負けない戦略スポイラーとその弊害についてお話しました。

※P4Pのランキングに関してはネットで調べました。
各メディアが独自に決めているので正式なランキングはありませんので悪しからず。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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