フロイド・メイウェザー vs. リッキー・ハットン ラフなプレッシャーファイター対策

選手分析
選手分析

フロイド・メイウェザー選手から学ぶディフェンスシリーズです。
今回の試合はメイウェザー vs. ハットンです。

ハットン選手は超しつこいプレッシャーファイターです。
プレッシャーをかけて距離を縮め、インサイドからのラフな戦術を駆使する、見ているこっちが嫌になってくるような超絶やり難い選手です。
パンチが強くてボディーブローが得意な選手です。

一見すると華麗さもなく何故強いのか分かり辛い選手ですが、このタイプの選手がボクシングにおいて大きな戦果を挙げているのも事実ですね。
僕はハットン選手のようなスタイルではありませんが、ハットン選手のような戦略をとる選手との戦いも想定しなければなりません。
なので、まずはハットン選手が一体「何をしているのか?」を先に分析し、その後にメイウェザー選手の「対策は何か?」を学んでみます。

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ハットン

ハットン選手は1ラウンドからメイウェザー選手に対してMMAのタックルのような勢いで突っ込んでいきます。
この時頭を左右に振って的を散らします。
ある程度頭の振りでパンチを外しますが、基本的には守りより攻めを重視していて、フックやジャブを受けてもお構いなしです。
もう、本当に小走りくらいの速さで駆けていきます
とにかくプレッシャーをかけて、ラフな戦術で相手をパニックへ陥らせ、嫌になるまでしつこく削っていく戦い方です。


普通、ボクシングはジャブを突いて、フェイントをかけてとリードハンドでの争いがあります。
それは不要な被弾を避けるためです。
しかし、ハットン選手はそれをやらずいきなり仕掛けていきます。
パンチを受けることはある程度許容し、とにかく接近戦に持ち込むことを優先しています。
接近戦に持ち込んでしまえばハットン選手のラフな戦術が活かせる、圧倒できるからです。
ある程度の犠牲を払いながら、まずは自分の土俵であるラフな接近戦に持ち込もうとします。

ハットン選手の腹のくくり方は半端じゃなくて、多少の被弾は全く意に介しません。
このレベルで肉を切らせて的なタックルは相手からすると地獄だと思います。
ハットン選手はこの戦いに関してはかなり熟練していて、並みのボクサーならどんなに抵抗されても接近戦の土俵に引きずり込めると思います。

フロイド・メイウェザー

パニックに陥るとプレッシャーファイターの思うつぼなので、まずは冷静さを保つことです。
メイウェザー選手は超冷静でした。

ハットン選手の土俵に持ち込ませないために「ジャブ」と「フットワーク」で距離を保ちつつ、くっつかれたら即「クリンチ」。

ある程度被弾することを覚悟してタックルしてくる選手をジャブで突き放すことは困難です。

メイウェザー選手は距離を詰められてもクリンチでハットン選手の腕を封じたり、そして目には目を、ラフファイトにはラフファイトを。
肘を押し付けたり、相手が嫌がることをして辛抱強く対応していました。

右ストレート

試合の途中からはジャブでは止まらないハットン選手に対して、ダイレクトに打ち込む右ストレートを多用していました。
これがかなり効果的でハットン選手は半分はまともにもらっていたんじゃないかと思います。

右の打ち終わりはすかさず体を寄せてクリンチし、ハットン選手の得意な接近戦を封じます。
ここでも一切慌てず、ハットン選手の腕を抱えたり肘を押し付けたりで冷静かつ丁寧に、そしてラフに対応していました。
レフリーが見かねて割って入るまでとにかくディフェンス。
時々、レフリーに対してハットン選手の反則をアピールして仕切り直させました。

この繰り返しがかなりはまっている感じで、ハットン選手は思い通りにラフな接近戦に持ち込めない感じでした。

チェックフック

後半からはKOにもなった左フックによるカウンターも多様していました。
顎を引いて、固い額(超固い)から突っ込んでくるハットン選手に右ストレートでダメージを与えようと思うと怪我をしてしまうと思いますが、後半からは左フックに切り替えました。

横からのチェックフックがとても効果的で、突進するハットン選手を上手く受け流しながらダメージを与えていました。

ストレートから左フックへの切り替えが奏功して少しづつダメージを与えてKOに繋がりました。

接近戦もやる

接近戦が得意な相手の土俵で戦うことは避けることは当たり前なんですが、完全に嫌がる素振りを見せてしまうとそれはそれで相手の自信になってしまいます。

メイウェザー選手も4ラウンドは打ち合いました。
接近戦でも上手くいかないということを相手に認識させれば、相手が考えている間に時間を稼ぐことができます。
その隙にパンチを打ち込んでもいいし、上手く落ち着くことができれば、カウンターのタイミングを計ることもできます。

インサイドでのメイウェザー選手はまずはディフェンス第一で対応していました。
ハットン選手の腕を抑え込みながら左右に頭の位置を常に変え、さらに肘をハットン選手に押し付けて(反則)空間を作ったりと、とにかく冷静に接近戦をこなしていきました。
接近戦が上手くいかず時間ばかりが過ぎていくのでハットン選手は焦ったはずです。
焦ると強引になります。
後半に左フックのカウンターが当たり始めた一つの要因だと考えられます。

後半は動きの落ちてきたハットン選手を接近戦のボディーブローで削ります。

まとめ

この試合のメイウェザー選手のインサイドでの肘の使い方頭の置き方はとても参考になりました。
そしてやっぱり足とカウンターだけでは相手の能力を奪うことはできません。

時には相手の土俵で戦って混乱を誘うのも手です。
相手に次の動きを読ませないという駆け引きの一つでもあります。
「こいつ接近戦を嫌がっていない」と考えさせると時間を稼いで心理的な余裕を作ることもできます。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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