エマヌエル・ナバレッテは隙だらけ?じゃあその隙を突いてみろよ?

選手分析
選手分析

スーパーバンタム級の王者で対戦候補に井上選手の名前も挙げているので知っている方も多いと思います。
一言で言うと『変則 + パワー』です。

カシメロ選手のページでもやりましが変則的な攻撃で相手の意表を突き、そしてそれで試合を終わらせてしまえます。
『変則 + パワー』は相性がいい。
ナバレッテ選手はカシメロ選手とは比較にならないほど変則的で、さらにカシメロ選手を超えるパワーを持っています。

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分析

体格

身長は170cmでドネア選手とほとんど変わらないので、そこまで大きいという感じではありませんがリーチが長い。183cmと異様なリーチがあります。
ウェルター級の僕のリーチが180cmなので、その異様なまでの長さが分かると思います。

スイッチヒッター

ナバレッテ選手は左右構えを頻繁に変えてきます。
打ちながらスイッチし、まるで歩くように構えを変えていきます。
このスイッチで相手の意表を突いて強いパンチを打ち込みます。

また攻めた後大きく足を入れ替えて距離をとったりとディフェンスでもスイッチを多用します。

パワー

29勝のうち25個がKOです。
スーパーバンタム級とは思えないパワーがあります。
それだけでなくこの一発で倒せるパワーをコンビネーションできます。

スタミナ

12ラウンドスタミナが切れることはありません。
しかも薄く伸ばしたスタミナではなく激しく12ラウンド攻め続けることができるんです。
12ラウンドあのペースで攻められるのは頭のネジが外れています。
仮にクリーンヒットしなくても序盤から終盤にかけてひたすら殴られ続ければ嫌になります。
相手の心を折る手数もナバレッテ選手の武器です。

鉄の顎と鉄のメンタル

ナバレッテ選手は大振りで隙はあります。
カウンターを受けることもあります。
でもカウンターを受けて効きません。
頑丈な身体をしています。

また心理的にもダメージを受けません。
普通危険なカウンターをもらうと「危なかった、気をつけよう」「攻めれない…どうしよう」みたいな感じで少しネガティブになります。
でもナバレッテ選手は全くそんなことはなく、危険なカウンターが鼻先をかすめてもお構いなく攻めていけます。

この強打を12ラウンド持続するスタミナと相手のパンチをカウンターで受けても怯まない心身の強さ。

これらを組み合わせが選手の強さを考えるときに重要になります。
ただ「パワーがある」で話が終わりません。

ボクシングの強さ

ナバレッテ選手はよく言われているように大振りです。スイッチして足を入れ替える瞬間にバランスを崩すこともあります。
隙のある選手です。「その隙を突けばいい」と思うかもしれません。
でもボクシングはそう甘くはありません。

ナバレッテ選手ほどの攻撃力はミスが命取りになります。
「もしカウンターを狙って失敗したら…」こんな発想が生まれます。
こうゆう発想が少しでも芽生えると攻撃が後ろ向きになって力が乗らなくなります。
いつもの力が出せなくなってしまうのです。
そして不安や恐怖は意識とは無関係に勝手に湧いてきます。
意識的に「怖くない」と考えていても、身体(本能)は正直です。
大勢の前でいつも通り話すことができないのと全く同じ現象です。
友達と話すときに失敗しないのに、大勢の前だと失敗してしまう。
慌てて外出してカギを閉め忘れる。

ボクシングは他のスポーツと違い暴力で勝敗を競う原始的な闘争です。
本能に根差した恐怖があります。
躊躇い、迷い。
つまり、普段なら絶対にしないようなことをしてしまうんです。

そしてそうやって躊躇っている間にナバレッテ選手は無尽蔵のスタミナと破格の強打で襲い掛かります。

ナバレッテ選手はの強さはそこです。
パワー、打たれ強さ、変則、スタミナ、体格の組み合わせ。

打っても打っても倒れない、強いパンチを当てたのに全く怯まない。
そんな選手がもしハードパンチャーで無尽蔵のスタミナを持っていたとしたら。
長丁場の試合ではこんな風に考えたりします。
「打ちすぎでスタミナを失うのは危険だな。少し温存するか…」。

一時のミドル級のゴロフキン選手がそうだったと思います。
打たれ強くてパワーがあって、とにかくしつこい。
ナバレッテ選手も華麗ではありませんが、似たようなものだと感じています。

ボクシングはパワーやスピード、技術の単体で勝負するわけではありません。
その組み合わせの総合力を競います。
フロイド・メイウェザー選手のディフェンスとスピードと頭脳、ゴロフキン選手のパワーと鉄の心身とスタミナ。
組み合わせが重要なんです。

鉄の顎に鉄のメンタル、さらにハードパンチが加わるとディフェンスになるんです。
相手の手数と攻撃の意思を間接的に削いでしまいます。

僕は駆け出しの頃パワーだけ、スピードだけを見て相手を判断していました。
でもボクシングの強さはそんなに簡単じゃない、甘くないんです。

経験を積むうちにパワーやスピード、技術といった目に見えるものよりメンタルや経験、頭脳、戦略といった目に見ないものが何よりも恐ろしいものだと気がつかされました。

これはボクシングビートのインタビューでも話しています。

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Die Hard – ダイ・ハード
この記事を書いた人

第41第東洋太平洋(OPBF)ウェルター級王者
元WBC世界同級34位
元WBO-AP同級3位
元角海老宝石ジム所属

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